Oct 24-25, 2009 [Clipping News]
****************************************
1.新生児ICU 満床状態、空き平均0.8床…64施設本社調査
2.米大統領、新型インフルエンザで非常事態宣言
3.2万人中7人に副作用 新型インフルワクチン
4.延命中止例の登録制度導入へ 救急医学会、透明性確保
5.慢性骨髄性白血病「命の薬」不況の影 1錠3,200円、患者所得144万円減
6.子どもの異常行動 原因化学物質追究 来年度から30万人調査
7.鼻から吸って、肌にはって…痛くないワクチン開発進む
8.[たらい回し問題から1年]妊婦搬送、工夫進むが…
9.脂質高い人、脳卒中リスク低い=4万8000人データ分析
10.ファブリー病:腎不全、心不全の原因 治療に効果の新物質、明治薬科大など開発
11.熱ショックタンパク質損傷で脳疾患 金大・山嶋准教授ら研究
12.マイタケ 新型インフル予防に期待の食材 間接的にウイルス抑制
13.ジェネリック医薬品 医療費抑制 自治体、普及に本腰
14.太陽工業の医療用陰圧テント、新型インフル対策で問い合わせ相次ぐ
****************************************
1.新生児ICU 満床状態、空き平均0.8床…64施設本社調査
読売新聞社2009年10月25日
重症の妊産婦や新生児の緊急治療にあたる全国の総合周産期母子医療センターに対し、治療態勢などについて読売新聞がアンケートしたところ、早産児などを受け入れる新生児集中治療室(NICU)の今年4月~9月の平均稼働率は93・7%で、「ほぼ100%」「100%以上」などと答えた施設も20施設にのぼった。脳出血を起こした妊婦が8病院から受け入れられず、東京都立墨東病院で死亡した問題から1年たつが、受け入れ困難の背景となっている病床不足の実態が改めて浮き彫りになった。
調査は今月、全国のセンター77か所(4月時点)に行い、64施設(回収率83%)から回答を得た。1施設当たりの平均病床数(13床)からみると空き病床は0・8床程度しかないことになり、緊急入院を受け入れる余裕がないことが分かる。
青森県立中央病院(青森市)では、新たな入院がある時には、比較的症状が軽い患者を、本来は退院や一般病棟への転棟を控えた時期に入る「回復室」に移し、やりくり。鹿児島市立病院では、新生児専用のドクターカーで医師らが現場に急行し、応急処置をしながら他の協力病院に搬送するなどして対応している。
2.米大統領、新型インフルエンザで非常事態宣言
CNN News2009年10月25日
ワシントン(CNN) オバマ米大統領は24日、新型インフルエンザ(H1N1型)の感染者が全国で急増している事態を受け、非常事態宣言を発令した。
大統領は声明で、新型インフルエンザの大流行が拡大を続けており、一部自治体の保健医療に過度の負担を与える恐れがあるとして、連邦政府の対策強化を表明した。
大統領は非常事態宣言に23日に署名し、24日に発令した。米政権関係者は匿名を条件に、大統領が新たな感染状況に対応したのではなく「未然防止策」を取った、とコメント。別の関係者は、各州に対する連邦政府の支援権限を強化するため、形式的な条件を省くことが狙いだと語った。
米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長によると、今年4月以来新型インフルエンザで入院した患者は少なくとも2万人、死者は1000人余りにのぼった。感染報告は46州からあり、例年より早くピークを迎えている。23日までに製造されたワクチンは接種1610万回分で、既に1130万回分が全国に配布された。
3.2万人中7人に副作用 新型インフルワクチン
共同通信社2009年10月24日
厚生労働省は23日、新型インフルエンザのワクチン接種で、安全性調査の対象とした病院の医療従事者約2万2千人のうち、7人の副作用報告があったと発表した。うち嘔吐、意識低下などの重い副作用は4人。いずれも快方に向かっているか回復しているという。
4千万~5千万人のうち副作用報告が121人だった昨年度の季節性ワクチンより割合が高いが、厚労省は「入念に反応を見ている部分があり、単純に比較できない。最初の1週間は比較的安全に接種できたのではないか」としている。
ほかの病院からも2人の重篤なケースを含む25人の副作用報告があり、計32人のうち半数の16人には気管支ぜんそくや食べ物、薬など何らかのアレルギーがあった。厚労省は「アレルギーのある人には適切な準備をし、接種後30分は病院に待機させ、健康状態を確認してほしい」と呼び掛けている。
安全性調査の対象は国立病院機構の67病院。副作用報告は接種を始めた19日からの4日間分で、症状の多くは、じんましんなど季節性ワクチンと同様だった
4.延命中止例の登録制度導入へ 救急医学会、透明性確保
共同通信社2009年10月25日
日本救急医学会は25日までに、死期が迫った患者の延命治療を中止する判断やプロセスの透明性を高めるため、会員の医師が経験した中止例を任意で登録する制度を導入する方針を決めた。
11月にも運用を始める予定。任意登録のため全例を把握できない限界はあるが、「命の切り捨て」を防ぐ方策として注目される。
学会によると、インターネット上の会員専用ページから、人工呼吸器などの延命措置を中止した患者の年代や性別、症状、中止を決めた診断やプロセスなどについて記入を求める。学会内の終末期医療に関する特別委員会が月1回程度内容をチェック、判断や経過に疑問のある事例があれば調査することなどを検討している。登録内容は一般公開しない。
日本救急医学会は、各地で呼吸器外し問題が発覚し、一部の医師が殺人罪に問われたことなどを受け、07年に指針を策定。「脳死」や「余命が数日以内」といった死期が近い患者に限り、医療チームで対応することなどを条件に、呼吸器外しを容認した。
しかし、指針に従っても刑事責任を免れる法的担保はなく、救急医療現場の混乱は続いている。
特別委員会の有賀徹委員長(昭和大教授)は「医療チームや病院内で十分に検討し、中止の判断やプロセスを対外的に説明できるようにすることが大切。登録制度で現場の抱える課題を把握し、議論を深めていきたい」としている
5.慢性骨髄性白血病「命の薬」不況の影 1錠3,200円、患者所得144万円減
毎日新聞社2009年10月25日
◇7割「負担重い」
慢性骨髄性白血病(CML)の進行を抑える特効薬「グリベック」の医療費支払いを負担に感じている患者が急増し、現在では7割以上に達したことが東京大医科学研究所の研究チームの調査で分かった。高い医療費を理由に、内服の中断やその経験のある患者も3%いた。数年間で患者の所得が大きく減少していることが背景にあり、深刻な景気悪化が高額治療薬の使用に影響を与えていることが浮き彫りになった。 グリベックは1錠約3200円。患者は通常1日4錠、毎日服用する。国の高額療養費制度を活用しても、処方の頻度に応じて年間50万~20万円程度を自己負担する。
研究チームは、血液専門医のいる医療機関485施設と患者会などにアンケート用紙を郵送。今年8月末までに回答が得られた患者566人分の実態を分析した。
その結果、グリベックの医療費の支払いに負担を感じている患者が73%の412人に達し、使用中断を考えたことがある患者も37%の211人いることが分かった。また、医療費が高いため、内服を中断した人や、中断の経験のある人は3%の17人だった。
患者の所得は、00年は533万円だったが、昨年は389万円と144万円減少していた。支払いに負担を感じている患者も42%から73%へと約30ポイント増えている。一方で、中断経験のある17人の08年の所得は300万円台が最も多かった。
同研究所の児玉有子特任研究員は「グリベックの登場でCMLの生存率が伸びた。一方で、患者は高い治療費を長期間支払う。こうした治療薬が今後も増えるだろう。限られた医療財源の中で、患者をどこまで救済していくのか議論が求められる」と話す。
■解説
◇「特定疾病」指定に透明性を
高額な治療薬を使う患者が服用を控えるなど、不況が与える実態が浮かんだ。慢性骨髄性白血病(CML)の患者が使うグリベックは代表例だが、他の疾患でも同様の課題を抱えているとみられる。
調査では、CML患者の悲鳴が寄せられた。服用を中断した男性(54)は「会社が倒産して無職になった。再発したら死ぬ覚悟だ」と打ち明けた。年収300万円台という女性(45)は「年をとれば働けなくなる。支払い続けるとなると先が不安で怖い」と訴えた。
グリベック以外にも、大腸がん治療のアバスチンなど20~30種類の抗がん剤も高い治療費がかかる。国は高額療養費制度で、治療が長期化などして医療費が高額化する病気の患者を支援している。
一方、厚生労働相が特定疾病(高額長期疾病)に指定すれば、医療費の自己負担は原則月1万円以内で済む。対象は、人工透析をしている慢性腎不全▽血友病▽一部の後天性免疫不全症候群(エイズ)の三つしかない。人工透析患者は約25万人と推定されるが、血友病患者は約5000人。エイズで特定疾病対象は約100人。CML患者数と大差なく、いずれも長期間の治療を強いられる。
特定疾病に指定される対象は、患者や関係学会の強い訴えのほか、患者が出た行政上の責任も背景との指摘もあるが、線引きは不透明だ。国民負担で、どの病気の患者を、どこまで支えるべきか。難しい判断だが、行政の裁量に委ねるだけでは患者は納得できない。透明性のある議論を求めたい。
◇慢性骨髄性白血病(CML)
白血球などになる前の多能性幹細胞ががん化して異常増殖する病気。急性骨髄性白血病と違い、症状の緩やかな数年の慢性期を経て、激しい症状が表れる急性転化期に移行する。治療しなければ死亡する。日本では毎年約600人が発症しているとみられ、患者数は約8000人と推定されている。
6.子どもの異常行動 原因化学物質追究 来年度から30万人調査
東京新聞社2009年10月25日
子どもの教室での立ち歩きや、引きこもりなどの異常行動が、化学物質を原因とする可能性があるとして、環境省は来年度、両親や子ども三十万人を対象とした調査に乗り出す。同様の問題は世界各地で指摘されており、米国と韓国とも連携し二十一年間にわたって原因物質を追究する。
自分の感情や行動を抑制できず、病院で「人間関係の取り方に問題がある」と診断される児童は昭和五十年代から年々増加。こうした障害は遺伝的要因だけでなく、胎児のころから接する化学物質が神経の発達に影響を与えている可能性があると研究者から指摘されていた。
環境省は、全国の病院や研究施設十五カ所を拠点に、受診に訪れた妊婦から調査参加者を三年間で募集。全国の出生児の十万人を対象に臍帯(さいたい)血や毛髪、尿を定期的に採取し十三歳になるまで追跡調査する。その後、五年間で分析する。
対象となる化学物質はダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニール(PCB)、重金属、内分泌かく乱物質など。
対象者から約一万人を抽出し、精神神経発達状態について定期的な面談調査もする。
母親や父親からも血液提供などの協力を得るため、調査対象は最大で三十万人に上る見通し。
子どもの症状と化学物質に明確な相関関係が認められた場合、大気、水、土壌について、新たな環境基準をつくり規制を強化する。
日米韓の三カ国は今年四月、イタリアで開かれたG8環境相会合時に調査協力することで合意している。得られた知見は国連環境計画(UNEP)などを通じ、発展途上国の子どもの成育環境の改善にも役立てる予定。
環境省環境リスク評価室の塚本直也室長は「最近の研究では、大人よりも胎児や生まれたての赤ちゃんの方が化学物質に敏感で、神経に影響し体の中の情報伝達を邪魔していると指摘されている。安心できる子育て環境を整えるため物質を特定し対策を取っていきたい」としている。
◆十分な説明、情報保全を
<解説> 環境省が子どもと化学物質の関係についての調査に乗り出したのは、世界レベルで子どもたちの健康異常の増加が認められているからだ。
小児ぜんそくは二〇〇七年までの二十年間で三倍、先天異常は二十五年間で二倍に増加。同様の傾向は米国でも報告されている。
遺伝的、社会的、生活習慣的要因も考えられているが、環境省の調査は「胎児期から小児期にかけての子どもの化学物質暴露が健康に大きな影響を与えているのではないか」という学術的“仮説”に基づいている。来年度予算の概算要求で三十四億円が計上された。
懸念されることが二つある。一つは、家族のプライバシーにもかかわる長期の調査に、協力を得ることができるのか。環境省は一回あたりの謝礼を約五千円と想定している。産科医らに参加を呼び掛けてもらうことになるが、三十万人もの人の協力を得るには、十分な説明をして理解してもらうことが不可欠だろう。
もう一つは、採取されたデータの管理。国立環境研究所などで分析する予定だが、血液や毛髪などの遺伝子レベルの究極の個人情報の管理には細心の注意が必要だ。
7.鼻から吸って、肌にはって…痛くないワクチン開発進む
朝日新聞社2009年10月25日
新型の豚インフルエンザの感染が広がるなか、ワクチン接種が始まったが、痛みを我慢して注射針を腕に刺すといった接種のイメージが将来、変わるかもしれない。鼻スプレーや、肌にはるタイプのワクチン開発が進んでいる。子どもの負担を減らそうと、努力も続く。
「注射じゃないので、子どもが嫌がらないんです」
東京都世田谷区にある「ふたばクリニック」の広瀬久人院長は言う。鼻の粘膜にスプレーするタイプの季節性インフルエンザワクチンを米国から輸入して使っている。
米国では今月5日、新型の豚インフルワクチンの接種も始まった。使われたのが、このスプレー式ワクチン。
日本ではまだ承認されていないため、医師が個人輸入した。接種は自己責任、費用は自己負担だ。
ただ、季節性用は量が限られ、新型用は輸入されていない。
日本で使われているワクチンは体に注射する方式で、最初にウイルスが感染する場所である鼻やのどの粘膜には増えにくい。
聖マリアンナ医科大学(川崎市)の清野研一郎准教授は「スプレー式だと、鼻や気道の粘膜にも抗体が分泌されるようになり、ウイルスの体内への侵入を防げると考えられている」と話す。
国内の研究機関でもスプレー式の実用化を目指して研究開発が進められている。
京都薬科大学の高田寛治教授らは、実用化に向けて肌にはるタイプのワクチン開発に取り組む。
直径約1.5センチのシートに、長さ0.5ミリの突起が100~250本並ぶ。突起はマイクロニードル(微小針)と呼ばれ、ワクチン液が付いている。腕などにはると溶け出し、体内に吸収される仕組み。皮膚に刺さるのは突起の長さの半分ほど。痛みを感じる真皮には届かないという。
海外では、はるタイプのインフルワクチンが、注射式の5分の1の量で、同レベルの効果が得られたとの報告も。
接種する部位を数秒間、指で圧迫してから注射方式で接種するとどれほど痛みが減るか。札幌市で9月にあった日本ワクチン学会で、川崎医大(岡山県)の寺田喜平准教授はこんな演題を発表した。
学生約1200人を対象にB型肝炎ワクチンを、圧迫するグループとしないグループに分けて、本人に圧迫の意味などを伝えず接種。痛みを6段階で評価してもらうと、圧迫したグループに痛みを感じない人が多かった。
個人差もあるが、「痛みが少ないと感じる子が少しでもいるならばやる価値はある」と寺田さんは感じる。
インフルワクチンでは、防腐剤のチメロサールが痛みに関連するのでは、との指摘もある。有機水銀化合物のため、世界保健機関(WHO)はなるべく除くよう勧めているが、除かれたものには痛みが少ないという声が多いという。
名鉄病院(名古屋市)の宮津光伸予防接種センター部長は、チメロサールに代わって入るようになったフェノキシエタノールに「痛みを抑える効果があるのでは」という。
看護学生や職員約200人で調べると、フェノキシエタノール入りに痛みが少ないという人が多かった。
東京都立駒込病院では、今年から子ども向けの5種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日ぜき、ポリオ、Hib)を導入した。任意接種なので自己負担となり約4万5千円かかる。
「子どもが何度も痛い思いをせずに済み、連れてくる親の負担も減らせる」と中山栄一小児科医長。これまで20人ほど接種し、大きな副作用などはないという。
8.[たらい回し問題から1年]妊婦搬送、工夫進むが…
読売新聞社2009年10月25日
医師不足は変わらず
助産師や看護師が搬送先の調整にあたる搬送コーディネーター(東京消防庁で)=吉岡毅撮影
脳出血を起こした妊婦が8病院で受け入れを断られ、東京都立墨東病院で死亡した問題が発覚してから約1年。
東京都では、最重症の妊産婦は、必ず受け入れる新たな搬送システムを整備した。だが、全国的にも産科医療を取り巻く環境は依然厳しく、新生児を受け入れる新生児集中治療室(NICU)不足も続いている。
「必ず受け入れ」都内3施設指定 「病院探し」コーディネーター制
「お産後、出血が止まらない。命の危険がある」。8月のある夜。日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)に、産婦人科病院からの連絡が入った。
同センターでは、直ちに自宅待機中の産科医1人を呼び出して院内の妊婦の対応に当たらせるとともに、3人いる産科当直医が全員で、この女性の搬送を待った。運ばれてきた女性は大量出血を起こしていたが、輸血と、子宮の周囲の動脈を縛るなどの緊急止血手術で一命を取り留めた。
都内での妊婦の救急搬送はそれまで、かかりつけ医を通して産科医が電話で受け入れ先を探す仕組みだった。昨年10月の妊婦死亡問題を機に、「再発」を防ごうと都が設置したのが、重症の妊産婦を必ず受け入れる「スーパー総合周産期センター」だ。日赤医療センターのほか、昭和大病院、日大板橋病院の3か所が指定されている。
近くの病院で受けられない場合、かかりつけ医が119番通報すると、東京消防庁が「スーパー周産期」に運ぶ手はずを整えつつ、病院を探す。毎日いずれかの「スーパー周産期」が、輪番制で緊急搬送に備える。
運用を開始した今年3月から、これまでに24人の重症妊産婦がこのシステムで運ばれた。このうち、救命できなかったのは搬送前に心肺停止に陥ったケースなど2人。「すべての妊婦さんを救えるわけではないが、搬送先探しに手間取ることはなくなったと思う」(日赤医療センターの杉本充弘産科部長)という。
「スーパー周産期」に運ぶほど重症でない場合にも対応する「搬送コーディネーター」制度もスタート。計16人の助産師、看護師が24時間態勢で東京消防庁に交代で詰め、地域内で受け入れ先が見つからない場合に、コーディネーターが仲介役となって都内の別の地域の病院を探す。8月末の運用開始から50日間で、59件の搬送にかかわった。
しかし、問題がすべて解消されたわけではない。読売新聞が今月、全国の総合周産期母子医療センターに行ったアンケートでも、今年に入って東京から群馬、栃木などに搬送された例があった。また、都内に搬送される妊婦の約3割は周辺の県から運ばれている。
都立墨東病院(墨田区)では、医師の事務書類作成などを補助する事務職員を雇うなど、「職場環境の改善をアピールして」(都幹部)、常勤医を4人から6人に増員。それでも定員には3人足りず、開業医の応援を受けて、当直体制を維持している。ある都幹部は「根本的な問題は解決していない」と漏らした。
東京都周産期医療協議会長として新体制の整備に当たった岡井崇・昭和大産婦人科教授は「あくまでも今の態勢でできる緊急措置。長期的には医師の確保が不可欠」と話す。
都立墨東病院の妊婦死亡問題 昨年10月、脳出血を起こして緊急搬送先を探していた都内の妊婦(当時36歳)が8病院から「当直の産科医が1人しかいない」「NICUが満床」などの理由で受け入れを断られ、最終的にいったん断った東京都立墨東病院に運ばれたが、出産後に死亡した。
新生児ICU 病床数に地域差
読売新聞は全国47都道府県に対してもアンケートを実施した。搬送コーディネーターは、東京など10自治体が導入し、医師や看護師らを中核となる総合周産期母子医療センターなどに配置している。また近畿地方と徳島、福井、三重の9府県が2007年、府県境を越えて妊産婦を搬送する広域連携体制を結ぶなどの取り組みも進んでいる。
アンケートによると、全国のNICUの合計数は2429床と、1年前に比べ145床増えていた。とはいえ、都道府県別にみると、厚生労働省の有識者会議が今年2月に示した必要病床数(出生数1000人当たり2・5~3床)を満たしていたのは16自治体(34%)だった。多いのは山口(4・67床)、鹿児島(3・5床)、少ないのは徳島(1・02床)、茨城(1・22床)などで、地域差がみられた。
文部科学省は、全国の大学病院のうち、保険認可のNICUがなかった7大学病院に6床ずつの新設を計画。ところがこのうち、来年4月に開設する予定の弘前大では専任の医師が1人しかおらず、准教授、講師ら3人の医師を公募中だ。9床のNICUを持つ富山大では増床を視野に、新設の教授を募ったが見つからなかったという。
一方、過去10年間に1万1000人から約1割減った産婦人科医は、今年に入ってやや増える兆しも。日本産科婦人科学会によると、今年4月~9月の新入会員数は435人で、昨年同時期の378人に比べて57人増えた。
ただ、読売新聞が、全国の総合周産期母子医療センターに行ったアンケートでは「産科医が増え、当直回数が軽減された」とした施設もあったが、「常に人員は綱渡り状態」(岩手医大)、「限界は超えている」(三重中央医療センター)、「勤務状況悪化」(杏林大=東京都)などと答えた施設も目立った。青森県立中央病院新生児集中治療管理部の網塚貴介部長は「人材難が深刻で、現在ある病床の維持さえ大変だ」と話す。
9.脂質高い人、脳卒中リスク低い=4万8000人データ分析
時事通信社2009年10月24日
コレステロールや中性脂肪の値が高い人の方が脳卒中を起こしにくく、発症した場合も状態が良いとのデータを、大櫛陽一東海大教授らがまとめ、24日までに日本脂質栄養学会誌に発表した。
同教授らはこれまでにも、これらの値が低いほど死亡率が高いなどの研究結果を発表。「(悪玉とされる)LDLコレステロールも中性脂肪も実は善玉なのに、リスクが強調され、無駄な治療がなされている」と問題視している。
同教授らは、脳卒中患者のデータベースに登録された男性約2万8000人、女性約2万人のデータと、福島県郡山市の一般住民のデータを比較。計約4万8000人のうち、脳梗塞(こうそく)を起こした患者を見ると、高脂血症でない人と高脂血症を治療している人の比率が一般住民より高く、高脂血症(未治療)の人の割合は低かった。
年齢や性別の影響を除いて解析したところ、高脂血症(未治療)の人の脳梗塞発症リスクは、高脂血症でない人の約4分の1にとどまり、治療している人のリスクは、未治療の人の4.6倍だった。
10.ファブリー病:腎不全、心不全の原因 治療に効果の新物質、明治薬科大など開発
毎日新聞社2009年10月24日
腎不全や心不全を起こしやすい難病「ファブリー病」の治療に役立つ可能性が高い物質を、明治薬科大などが開発した。従来の治療薬にはアレルギーなどの副作用があり、新たな治療法開発につながると期待される。22日付の米人類遺伝学会誌(電子版)に発表した。
ファブリー病は、特定の糖脂質の分解に欠かせない「GLA」という酵素が作れなかったり、すぐ壊れてしまう遺伝病。GLAがないと、この糖脂質が腎臓や心臓などに蓄積し、腎不全や心不全、脳梗塞などの原因になる。患者は3000人に1人程度と推定される。研究チームは、GLAと構造が似た別の酵素「NAGA」に注目。構造の一部を変え、ファブリー病のマウスに注射したところ、GLAと同様に糖脂質を分解し蓄積が減った。桜庭均・明治薬科大教授(臨床遺伝学)は「アレルギーの心配は少ない。新しい治療薬として有望」と話す。
11.熱ショックタンパク質損傷で脳疾患 金大・山嶋准教授ら研究
富山新聞社2009年10月24日
金大大学院医学系研究科・再生脳外科学教室の山嶋哲盛准教授と三重大の共同研究グループは23日までに、ニホンザルの脳を使った実験で、脳梗塞やアルツハイマー病など脳疾患の原因である神経細胞死が、細胞を保護する「熱ショックタンパク質」(HSP)の損傷によって生じることを突き止めた。ヒトの脳疾患にもHSPの保護や補給が有効とみられ、新薬開発や治療への応用が期待される。
山嶋准教授らは、人工的に脳梗塞を起こしたニホンザルの脳からタンパク質を抽出。三重大と島津製作所(京都市)の協力を受けて詳細に解析した。
この結果、熱ショックタンパク質の一つである「HSP70」の損傷が平常時と比べ、10倍以上に増えていることが判明した。
HSP70は細胞内の小器官「リソソーム」から、タンパク質を分解する「カテプシン」の漏出を防ぎ、細胞が壊れないようにしている。解析結果では、HSP70が損傷を受けたことにより、リソソームが破裂して細胞成分が破壊されていた。
これまで脳疾患にはカテプシンの漏出が関係していることは知られていたが、リソソームが破裂する原因は分かっていなかった。
山嶋准教授によると、ニホンザルの脳はアミノ酸の構成がヒトと極めて近く、共通性が高いと考えられる。HSP70の損傷と脳疾患の因果関係が明らかになったことで、酸化からHSP70を守る抗酸化剤の活用や、HSP70を使った医薬品、健康食品の開発も期待できるという。
研究成果は23日までに、オランダの医学雑誌「プログレス イン ニューロバイオロジー」の電子版に掲載された。山嶋准教授は「脳疾患の多くにかかわる神経細胞死の全容解明に大きく近づいた。一日も早い臨床応用を目指したい」と話した。
九州大生体防御医学研究所の中別府雄作教授(脳機能制御学) 今回の研究成果によってHSP70の酸化を制御できれば、神経細胞死を防ぐことができると考えられる。分子標的の一つが判明したことで、創薬などへの活用も期待される。
12.マイタケ 新型インフル予防に期待の食材 間接的にウイルス抑制
毎日新聞社2009年10月24日
新型インフルエンザにかかる人が一向に減らない。ワクチン接種による予防法が進みつつあるが、日ごろの備えも欠かせない。今回は食べて予防になる可能性のあるいくつかの研究をリポートする。
◇抽出物が免疫細胞を活性化
■キノコの作用に着目
新型インフルエンザの治療薬ではタミフルやリレンザが知られているが、最近はタミフルが効かない耐性ウイルスも現れた。耐性ウイルスが人から人に感染する事態までは至っていないが、今後どう対処すべきかは大きな課題だ。
そんな中、どのウイルスにも予防効果が期待できるかもしれないと言われる食材がある。キノコの一種、マイタケだ。
研究しているのは落合宏・富山大学医学部名誉教授(微生物学)と小尾信子さん(医学博士)らの研究チーム。キノコや生薬が、がん細胞の増殖を抑えたり免疫を強めたりする作用があることから、インフルエンザウイルスの増殖にも抑制効果があるのではと着目した。
まずはマイタケから温水で抽出した多糖を主成分とするエキス(煮汁を凍結乾燥させた粉末)が、ウイルスの増殖を抑えるかどうかを実験。ウイルスにはA香港型を使った。
ウイルスは生物の細胞(宿主細胞)に取りついて初めて増殖する。落合さんらはイヌの腎臓由来の細胞にウイルスを感染させ、その細胞が生きている培養液にマイタケ抽出物を加え、増殖を抑えることができるかを調べた。
結果は予想を裏切り、ウイルスの増殖を抑えることはできなかった。
■病原微生物を撃退
そこで、次に目をつけたのが白血球の一種であるマクロファージという免疫細胞。サイトカインといわれる生理活性物質を出し、病原微生物などを撃退する働きをする。
実験はマクロファージを添加した培地にマイタケ抽出物(濃度1ミリリットルあたり300マイクログラム)を加え、ウイルス増殖にどう影響するかを見た。すると、マクロファージとマイタケ抽出物の接触時間が長いほどウイルスが減り、12時間で3分の1~4分の1まで抑えることができた。
落合さんは「マイタケ抽出物自体がウイルスを直接攻撃するのではなく、免疫細胞を活性化させることで間接的にウイルスを減らせた」と説明する。
■生理活性物質が抑制
では、どんな物質がウイルスの増殖を抑えたのか。
マイタケ抽出物の刺激時間が長くなるとともに、TNF-αが増えていることが分かった。TNF-αはマクロファージなどが分泌するもので、腫瘍細胞を壊死させる生理活性物質として以前から知られるたんぱく質だ。
こうした実験結果を昨年、米国の医学雑誌「米国漢方ジャーナル」に発表した落合さんは「ウイルスの増殖を抑制した有効物質はTNF-αではないか」とみる。TNF-αがエイズウイルス(HIV)などを抑えることは以前から知られていたが、今回のように自然界にある食品(マイタケ抽出物)がマクロファージを刺激することで生成されるTNF-αがウイルスの増殖を抑えるという事実は、新しい研究結果だという。
同様の作用はショウガでも得られた。漢方薬の麻黄や桂皮にも抗ウイルス作用があるという。
■マクロファージ刺激
では、どれくらい摂取すれば有効なのか。
今回の実験から推定すると、100ミリリットルの水に15~30グラムの生マイタケを入れて鍋で煮て、その汁をすべて飲む量に相当するという。落合さんは「マイタケを食べると腸管粘膜で顔を出すマクロファージを刺激するのではないか」と推測。ただ、今回の実験は培養細胞を用いたものなので、人や動物に直接与えて効果を確かめたものではない。効果の判定にはさらに厳密な追跡試験が求められる。
■センダン、牛初乳も
新型インフルエンザウイルスの予防法としては、南西諸島や九州などに自生するセンダンの葉も注目され、ウイルス研究で知られる根路銘国昭氏(沖縄県)が抽出成分を生かしたスプレーを開発。桑の葉にある成分の抗ウイルス作用に着目した研究も進んでいる。
また、牛の初乳(出産後6、7日目の乳)を含む市販の初乳サプリメント(栄養補助食品)が子供や大人の風邪やインフルエンザを予防したり、症状を軽くする効果が学会で発表され、保育園などで効果を確かめるモニター試験も行われている。
13.ジェネリック医薬品 医療費抑制 自治体、普及に本腰
産経新聞社2009年10月24日
新薬と同じ成分で価格が安い後発医薬品(ジェネリ
ック医薬品)の普及を進める取り組みが、各地の自治
体に広がってきた。割安な後発薬の利用が増えれば、
患者の負担軽減とともに医療費抑制にもつながる。各
自治体では後発薬に切り替えた場合の「差額通知」や
「希望カード」の配布など本格的な対策に乗り出して
いる。
◆言い出しにくい人も
「今飲んでいる薬と後発薬では、ベンツと軽自動車
ほど性能に差があります。処方はできません」
栃木県に住む無職の女性(75)は、長年服用する高血圧の薬を後発薬に変更してもらおうとかかりつけ医に相談すると、こう説明を受け拒否された。女性は「少しでも節約したくて勇気を出して頼んだのに」と納得がいかない。
先発メーカーの特許が切れた後に他メーカーが製造する後発薬は、新薬に比べ3~8割程度安く、増え続ける医療費削減の“切り札”として国も普及に本腰を入れる。だが、品質、供給面への不安や理解不足もあって医療機関が使用をためらう傾向にあり、普及が遅れているのが現状だ。
こうした中、東京都足立区は9月末までに国民健康保険と後期高齢者医療制度加入の全世帯(約19万世帯)に「ジェネリック医薬品希望カード」を配布した。後発薬の処方を言い出しづらい人にも病院や薬局に提示してもらい、利用を促す狙いだ。同区は全体の1割が切り替わるだけで、年間約5億円が削減できると試算。増え続ける医療費の抑制効果を期待する。
厚生労働省が今年1月、各都道府県に後発薬の利用促進に努めるよう通達を出したこともあって、多くの自治体で希望カードやリーフレットの作成など住民に周知・啓発を図る活動が本格化してきた。
◆月1万5000円節約
広島県呉市は昨年7月から、後発薬に変更することで節約できる薬代を個別に知らせる「ジェネリック医薬品促進通知サービス」を開始。毎月約3000人を対象に実施し、今年3月までに通知を受けた人の約6割が後発薬に切り替え、約4400万円の削減効果があったという。
同市保険年金課の浅谷匡課長補佐は「糖尿病や高脂血症などで長期間服用している場合は節約効果が大きい。1カ月の薬代が1万5000円も安くなった人もいる」と説明する。
一昨年5月に全国に先駆け希望カードを配布した茨城県常陸太田市は、職員が地域に出向いて高齢者らに説明する「押しかけ講座」も開き、普及に努める。
後発薬が普及しない事情について、日本ジェネリック医薬品学会代表理事で国際医療福祉大学大学院の武藤正樹教授は「医師や薬剤師の知識不足もあって、かつての『安かろう悪かろう』のイメージから抜けきれず抵抗感を抱くケースも多い」と指摘。そのうえで、「不況で薬の服用回数を減らして節約する『間引き飲み』や、処方箋をもらっても薬を買わない人が増えている。具体的な節約効果が分かる差額通知は選択肢を広げる有効な手段。患者側も自分の使う薬を調べ、考えるきっかけにして」と呼びかける。
【後発医薬品】
■価格は新薬の7割以下
新薬の特許期間切れ後、同じ有効成分と薬効で製造される医薬品。製法や主成分以外の添加物は異なる場合もある。多額の研究開発費が不要のため、価格は新薬の7割以下。日本の普及率は17・2%(平成19年度、数量ベース)で、欧米諸国に比べると格段に低い。政府は医療費抑制策の一環として24年度までに普及率30%以上の目標を掲げる。日本ジェネリック医薬品学会のホームページ「かんじゃさんの薬箱」(http://www.generic.gr.jp)で、後発薬の種類や使用に積極的な病院・薬局を検索できる。
14.太陽工業の医療用陰圧テント、新型インフル対策で問い合わせ相次ぐ
日経メディカル2009年10月24日
新型インフルエンザの流行に伴い、太陽工業の医療用陰圧テントに問い合わせが相次いでいる。9月には自治体を中心に40件余の納入実績があるなど、今年5月から10月までに納入予定も含めるとすでに100件を越えたという。その後も、自治体や医療機関などからも引き合いが増え続けていることから、同社は在庫製品を確保するなど生産体制を強化した。
医療用陰圧テントは、同社の内袋式エアチューブを採用した「マク・クイック・シェルター」をベースにしたもの。陰圧式フィルター装置を接続することで、本体テント内部の気圧を外部より下げ、汚染された室内の空気が外部に拡散するのを防ぐ。前室や冷暖房設備を取り付けることで、緊急時でも医療行為を行いやすい環境を実現できることが特徴の1つだ。また、テントの形状を維持するために屋根膜と一体化したエアビーム(空気の柱)を採用したことで、約15分で設営が可能な点も評価されている。
写真2 医療用陰圧テントの室内(危機管理産業展2009から)
医療用陰圧テントの大きさは、間口4m、奥行き5m、高さ2.5m(写真2)。テント重量は、本体テント約65kg、前室約45kg(オプション)で合計約110kgとなっている。価格はテント本体に加え陰圧式フィルター装置や内膜、照明などを含めて330万7500円(税込)。
■参考情報
・マク・クイックシェルターの設営の様子(動画)
http://www.taiyokogyo.co.jp/maku_quick/movie.html
1.新生児ICU 満床状態、空き平均0.8床…64施設本社調査
2.米大統領、新型インフルエンザで非常事態宣言
3.2万人中7人に副作用 新型インフルワクチン
4.延命中止例の登録制度導入へ 救急医学会、透明性確保
5.慢性骨髄性白血病「命の薬」不況の影 1錠3,200円、患者所得144万円減
6.子どもの異常行動 原因化学物質追究 来年度から30万人調査
7.鼻から吸って、肌にはって…痛くないワクチン開発進む
8.[たらい回し問題から1年]妊婦搬送、工夫進むが…
9.脂質高い人、脳卒中リスク低い=4万8000人データ分析
10.ファブリー病:腎不全、心不全の原因 治療に効果の新物質、明治薬科大など開発
11.熱ショックタンパク質損傷で脳疾患 金大・山嶋准教授ら研究
12.マイタケ 新型インフル予防に期待の食材 間接的にウイルス抑制
13.ジェネリック医薬品 医療費抑制 自治体、普及に本腰
14.太陽工業の医療用陰圧テント、新型インフル対策で問い合わせ相次ぐ
****************************************
1.新生児ICU 満床状態、空き平均0.8床…64施設本社調査
読売新聞社2009年10月25日
重症の妊産婦や新生児の緊急治療にあたる全国の総合周産期母子医療センターに対し、治療態勢などについて読売新聞がアンケートしたところ、早産児などを受け入れる新生児集中治療室(NICU)の今年4月~9月の平均稼働率は93・7%で、「ほぼ100%」「100%以上」などと答えた施設も20施設にのぼった。脳出血を起こした妊婦が8病院から受け入れられず、東京都立墨東病院で死亡した問題から1年たつが、受け入れ困難の背景となっている病床不足の実態が改めて浮き彫りになった。
調査は今月、全国のセンター77か所(4月時点)に行い、64施設(回収率83%)から回答を得た。1施設当たりの平均病床数(13床)からみると空き病床は0・8床程度しかないことになり、緊急入院を受け入れる余裕がないことが分かる。
青森県立中央病院(青森市)では、新たな入院がある時には、比較的症状が軽い患者を、本来は退院や一般病棟への転棟を控えた時期に入る「回復室」に移し、やりくり。鹿児島市立病院では、新生児専用のドクターカーで医師らが現場に急行し、応急処置をしながら他の協力病院に搬送するなどして対応している。
2.米大統領、新型インフルエンザで非常事態宣言
CNN News2009年10月25日
ワシントン(CNN) オバマ米大統領は24日、新型インフルエンザ(H1N1型)の感染者が全国で急増している事態を受け、非常事態宣言を発令した。
大統領は声明で、新型インフルエンザの大流行が拡大を続けており、一部自治体の保健医療に過度の負担を与える恐れがあるとして、連邦政府の対策強化を表明した。
大統領は非常事態宣言に23日に署名し、24日に発令した。米政権関係者は匿名を条件に、大統領が新たな感染状況に対応したのではなく「未然防止策」を取った、とコメント。別の関係者は、各州に対する連邦政府の支援権限を強化するため、形式的な条件を省くことが狙いだと語った。
米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長によると、今年4月以来新型インフルエンザで入院した患者は少なくとも2万人、死者は1000人余りにのぼった。感染報告は46州からあり、例年より早くピークを迎えている。23日までに製造されたワクチンは接種1610万回分で、既に1130万回分が全国に配布された。
3.2万人中7人に副作用 新型インフルワクチン
共同通信社2009年10月24日
厚生労働省は23日、新型インフルエンザのワクチン接種で、安全性調査の対象とした病院の医療従事者約2万2千人のうち、7人の副作用報告があったと発表した。うち嘔吐、意識低下などの重い副作用は4人。いずれも快方に向かっているか回復しているという。
4千万~5千万人のうち副作用報告が121人だった昨年度の季節性ワクチンより割合が高いが、厚労省は「入念に反応を見ている部分があり、単純に比較できない。最初の1週間は比較的安全に接種できたのではないか」としている。
ほかの病院からも2人の重篤なケースを含む25人の副作用報告があり、計32人のうち半数の16人には気管支ぜんそくや食べ物、薬など何らかのアレルギーがあった。厚労省は「アレルギーのある人には適切な準備をし、接種後30分は病院に待機させ、健康状態を確認してほしい」と呼び掛けている。
安全性調査の対象は国立病院機構の67病院。副作用報告は接種を始めた19日からの4日間分で、症状の多くは、じんましんなど季節性ワクチンと同様だった
4.延命中止例の登録制度導入へ 救急医学会、透明性確保
共同通信社2009年10月25日
日本救急医学会は25日までに、死期が迫った患者の延命治療を中止する判断やプロセスの透明性を高めるため、会員の医師が経験した中止例を任意で登録する制度を導入する方針を決めた。
11月にも運用を始める予定。任意登録のため全例を把握できない限界はあるが、「命の切り捨て」を防ぐ方策として注目される。
学会によると、インターネット上の会員専用ページから、人工呼吸器などの延命措置を中止した患者の年代や性別、症状、中止を決めた診断やプロセスなどについて記入を求める。学会内の終末期医療に関する特別委員会が月1回程度内容をチェック、判断や経過に疑問のある事例があれば調査することなどを検討している。登録内容は一般公開しない。
日本救急医学会は、各地で呼吸器外し問題が発覚し、一部の医師が殺人罪に問われたことなどを受け、07年に指針を策定。「脳死」や「余命が数日以内」といった死期が近い患者に限り、医療チームで対応することなどを条件に、呼吸器外しを容認した。
しかし、指針に従っても刑事責任を免れる法的担保はなく、救急医療現場の混乱は続いている。
特別委員会の有賀徹委員長(昭和大教授)は「医療チームや病院内で十分に検討し、中止の判断やプロセスを対外的に説明できるようにすることが大切。登録制度で現場の抱える課題を把握し、議論を深めていきたい」としている
5.慢性骨髄性白血病「命の薬」不況の影 1錠3,200円、患者所得144万円減
毎日新聞社2009年10月25日
◇7割「負担重い」
慢性骨髄性白血病(CML)の進行を抑える特効薬「グリベック」の医療費支払いを負担に感じている患者が急増し、現在では7割以上に達したことが東京大医科学研究所の研究チームの調査で分かった。高い医療費を理由に、内服の中断やその経験のある患者も3%いた。数年間で患者の所得が大きく減少していることが背景にあり、深刻な景気悪化が高額治療薬の使用に影響を与えていることが浮き彫りになった。 グリベックは1錠約3200円。患者は通常1日4錠、毎日服用する。国の高額療養費制度を活用しても、処方の頻度に応じて年間50万~20万円程度を自己負担する。
研究チームは、血液専門医のいる医療機関485施設と患者会などにアンケート用紙を郵送。今年8月末までに回答が得られた患者566人分の実態を分析した。
その結果、グリベックの医療費の支払いに負担を感じている患者が73%の412人に達し、使用中断を考えたことがある患者も37%の211人いることが分かった。また、医療費が高いため、内服を中断した人や、中断の経験のある人は3%の17人だった。
患者の所得は、00年は533万円だったが、昨年は389万円と144万円減少していた。支払いに負担を感じている患者も42%から73%へと約30ポイント増えている。一方で、中断経験のある17人の08年の所得は300万円台が最も多かった。
同研究所の児玉有子特任研究員は「グリベックの登場でCMLの生存率が伸びた。一方で、患者は高い治療費を長期間支払う。こうした治療薬が今後も増えるだろう。限られた医療財源の中で、患者をどこまで救済していくのか議論が求められる」と話す。
■解説
◇「特定疾病」指定に透明性を
高額な治療薬を使う患者が服用を控えるなど、不況が与える実態が浮かんだ。慢性骨髄性白血病(CML)の患者が使うグリベックは代表例だが、他の疾患でも同様の課題を抱えているとみられる。
調査では、CML患者の悲鳴が寄せられた。服用を中断した男性(54)は「会社が倒産して無職になった。再発したら死ぬ覚悟だ」と打ち明けた。年収300万円台という女性(45)は「年をとれば働けなくなる。支払い続けるとなると先が不安で怖い」と訴えた。
グリベック以外にも、大腸がん治療のアバスチンなど20~30種類の抗がん剤も高い治療費がかかる。国は高額療養費制度で、治療が長期化などして医療費が高額化する病気の患者を支援している。
一方、厚生労働相が特定疾病(高額長期疾病)に指定すれば、医療費の自己負担は原則月1万円以内で済む。対象は、人工透析をしている慢性腎不全▽血友病▽一部の後天性免疫不全症候群(エイズ)の三つしかない。人工透析患者は約25万人と推定されるが、血友病患者は約5000人。エイズで特定疾病対象は約100人。CML患者数と大差なく、いずれも長期間の治療を強いられる。
特定疾病に指定される対象は、患者や関係学会の強い訴えのほか、患者が出た行政上の責任も背景との指摘もあるが、線引きは不透明だ。国民負担で、どの病気の患者を、どこまで支えるべきか。難しい判断だが、行政の裁量に委ねるだけでは患者は納得できない。透明性のある議論を求めたい。
◇慢性骨髄性白血病(CML)
白血球などになる前の多能性幹細胞ががん化して異常増殖する病気。急性骨髄性白血病と違い、症状の緩やかな数年の慢性期を経て、激しい症状が表れる急性転化期に移行する。治療しなければ死亡する。日本では毎年約600人が発症しているとみられ、患者数は約8000人と推定されている。
6.子どもの異常行動 原因化学物質追究 来年度から30万人調査
東京新聞社2009年10月25日
子どもの教室での立ち歩きや、引きこもりなどの異常行動が、化学物質を原因とする可能性があるとして、環境省は来年度、両親や子ども三十万人を対象とした調査に乗り出す。同様の問題は世界各地で指摘されており、米国と韓国とも連携し二十一年間にわたって原因物質を追究する。
自分の感情や行動を抑制できず、病院で「人間関係の取り方に問題がある」と診断される児童は昭和五十年代から年々増加。こうした障害は遺伝的要因だけでなく、胎児のころから接する化学物質が神経の発達に影響を与えている可能性があると研究者から指摘されていた。
環境省は、全国の病院や研究施設十五カ所を拠点に、受診に訪れた妊婦から調査参加者を三年間で募集。全国の出生児の十万人を対象に臍帯(さいたい)血や毛髪、尿を定期的に採取し十三歳になるまで追跡調査する。その後、五年間で分析する。
対象となる化学物質はダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニール(PCB)、重金属、内分泌かく乱物質など。
対象者から約一万人を抽出し、精神神経発達状態について定期的な面談調査もする。
母親や父親からも血液提供などの協力を得るため、調査対象は最大で三十万人に上る見通し。
子どもの症状と化学物質に明確な相関関係が認められた場合、大気、水、土壌について、新たな環境基準をつくり規制を強化する。
日米韓の三カ国は今年四月、イタリアで開かれたG8環境相会合時に調査協力することで合意している。得られた知見は国連環境計画(UNEP)などを通じ、発展途上国の子どもの成育環境の改善にも役立てる予定。
環境省環境リスク評価室の塚本直也室長は「最近の研究では、大人よりも胎児や生まれたての赤ちゃんの方が化学物質に敏感で、神経に影響し体の中の情報伝達を邪魔していると指摘されている。安心できる子育て環境を整えるため物質を特定し対策を取っていきたい」としている。
◆十分な説明、情報保全を
<解説> 環境省が子どもと化学物質の関係についての調査に乗り出したのは、世界レベルで子どもたちの健康異常の増加が認められているからだ。
小児ぜんそくは二〇〇七年までの二十年間で三倍、先天異常は二十五年間で二倍に増加。同様の傾向は米国でも報告されている。
遺伝的、社会的、生活習慣的要因も考えられているが、環境省の調査は「胎児期から小児期にかけての子どもの化学物質暴露が健康に大きな影響を与えているのではないか」という学術的“仮説”に基づいている。来年度予算の概算要求で三十四億円が計上された。
懸念されることが二つある。一つは、家族のプライバシーにもかかわる長期の調査に、協力を得ることができるのか。環境省は一回あたりの謝礼を約五千円と想定している。産科医らに参加を呼び掛けてもらうことになるが、三十万人もの人の協力を得るには、十分な説明をして理解してもらうことが不可欠だろう。
もう一つは、採取されたデータの管理。国立環境研究所などで分析する予定だが、血液や毛髪などの遺伝子レベルの究極の個人情報の管理には細心の注意が必要だ。
7.鼻から吸って、肌にはって…痛くないワクチン開発進む
朝日新聞社2009年10月25日
新型の豚インフルエンザの感染が広がるなか、ワクチン接種が始まったが、痛みを我慢して注射針を腕に刺すといった接種のイメージが将来、変わるかもしれない。鼻スプレーや、肌にはるタイプのワクチン開発が進んでいる。子どもの負担を減らそうと、努力も続く。
「注射じゃないので、子どもが嫌がらないんです」
東京都世田谷区にある「ふたばクリニック」の広瀬久人院長は言う。鼻の粘膜にスプレーするタイプの季節性インフルエンザワクチンを米国から輸入して使っている。
米国では今月5日、新型の豚インフルワクチンの接種も始まった。使われたのが、このスプレー式ワクチン。
日本ではまだ承認されていないため、医師が個人輸入した。接種は自己責任、費用は自己負担だ。
ただ、季節性用は量が限られ、新型用は輸入されていない。
日本で使われているワクチンは体に注射する方式で、最初にウイルスが感染する場所である鼻やのどの粘膜には増えにくい。
聖マリアンナ医科大学(川崎市)の清野研一郎准教授は「スプレー式だと、鼻や気道の粘膜にも抗体が分泌されるようになり、ウイルスの体内への侵入を防げると考えられている」と話す。
国内の研究機関でもスプレー式の実用化を目指して研究開発が進められている。
京都薬科大学の高田寛治教授らは、実用化に向けて肌にはるタイプのワクチン開発に取り組む。
直径約1.5センチのシートに、長さ0.5ミリの突起が100~250本並ぶ。突起はマイクロニードル(微小針)と呼ばれ、ワクチン液が付いている。腕などにはると溶け出し、体内に吸収される仕組み。皮膚に刺さるのは突起の長さの半分ほど。痛みを感じる真皮には届かないという。
海外では、はるタイプのインフルワクチンが、注射式の5分の1の量で、同レベルの効果が得られたとの報告も。
接種する部位を数秒間、指で圧迫してから注射方式で接種するとどれほど痛みが減るか。札幌市で9月にあった日本ワクチン学会で、川崎医大(岡山県)の寺田喜平准教授はこんな演題を発表した。
学生約1200人を対象にB型肝炎ワクチンを、圧迫するグループとしないグループに分けて、本人に圧迫の意味などを伝えず接種。痛みを6段階で評価してもらうと、圧迫したグループに痛みを感じない人が多かった。
個人差もあるが、「痛みが少ないと感じる子が少しでもいるならばやる価値はある」と寺田さんは感じる。
インフルワクチンでは、防腐剤のチメロサールが痛みに関連するのでは、との指摘もある。有機水銀化合物のため、世界保健機関(WHO)はなるべく除くよう勧めているが、除かれたものには痛みが少ないという声が多いという。
名鉄病院(名古屋市)の宮津光伸予防接種センター部長は、チメロサールに代わって入るようになったフェノキシエタノールに「痛みを抑える効果があるのでは」という。
看護学生や職員約200人で調べると、フェノキシエタノール入りに痛みが少ないという人が多かった。
東京都立駒込病院では、今年から子ども向けの5種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日ぜき、ポリオ、Hib)を導入した。任意接種なので自己負担となり約4万5千円かかる。
「子どもが何度も痛い思いをせずに済み、連れてくる親の負担も減らせる」と中山栄一小児科医長。これまで20人ほど接種し、大きな副作用などはないという。
8.[たらい回し問題から1年]妊婦搬送、工夫進むが…
読売新聞社2009年10月25日
医師不足は変わらず
助産師や看護師が搬送先の調整にあたる搬送コーディネーター(東京消防庁で)=吉岡毅撮影
脳出血を起こした妊婦が8病院で受け入れを断られ、東京都立墨東病院で死亡した問題が発覚してから約1年。
東京都では、最重症の妊産婦は、必ず受け入れる新たな搬送システムを整備した。だが、全国的にも産科医療を取り巻く環境は依然厳しく、新生児を受け入れる新生児集中治療室(NICU)不足も続いている。
「必ず受け入れ」都内3施設指定 「病院探し」コーディネーター制
「お産後、出血が止まらない。命の危険がある」。8月のある夜。日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)に、産婦人科病院からの連絡が入った。
同センターでは、直ちに自宅待機中の産科医1人を呼び出して院内の妊婦の対応に当たらせるとともに、3人いる産科当直医が全員で、この女性の搬送を待った。運ばれてきた女性は大量出血を起こしていたが、輸血と、子宮の周囲の動脈を縛るなどの緊急止血手術で一命を取り留めた。
都内での妊婦の救急搬送はそれまで、かかりつけ医を通して産科医が電話で受け入れ先を探す仕組みだった。昨年10月の妊婦死亡問題を機に、「再発」を防ごうと都が設置したのが、重症の妊産婦を必ず受け入れる「スーパー総合周産期センター」だ。日赤医療センターのほか、昭和大病院、日大板橋病院の3か所が指定されている。
近くの病院で受けられない場合、かかりつけ医が119番通報すると、東京消防庁が「スーパー周産期」に運ぶ手はずを整えつつ、病院を探す。毎日いずれかの「スーパー周産期」が、輪番制で緊急搬送に備える。
運用を開始した今年3月から、これまでに24人の重症妊産婦がこのシステムで運ばれた。このうち、救命できなかったのは搬送前に心肺停止に陥ったケースなど2人。「すべての妊婦さんを救えるわけではないが、搬送先探しに手間取ることはなくなったと思う」(日赤医療センターの杉本充弘産科部長)という。
「スーパー周産期」に運ぶほど重症でない場合にも対応する「搬送コーディネーター」制度もスタート。計16人の助産師、看護師が24時間態勢で東京消防庁に交代で詰め、地域内で受け入れ先が見つからない場合に、コーディネーターが仲介役となって都内の別の地域の病院を探す。8月末の運用開始から50日間で、59件の搬送にかかわった。
しかし、問題がすべて解消されたわけではない。読売新聞が今月、全国の総合周産期母子医療センターに行ったアンケートでも、今年に入って東京から群馬、栃木などに搬送された例があった。また、都内に搬送される妊婦の約3割は周辺の県から運ばれている。
都立墨東病院(墨田区)では、医師の事務書類作成などを補助する事務職員を雇うなど、「職場環境の改善をアピールして」(都幹部)、常勤医を4人から6人に増員。それでも定員には3人足りず、開業医の応援を受けて、当直体制を維持している。ある都幹部は「根本的な問題は解決していない」と漏らした。
東京都周産期医療協議会長として新体制の整備に当たった岡井崇・昭和大産婦人科教授は「あくまでも今の態勢でできる緊急措置。長期的には医師の確保が不可欠」と話す。
都立墨東病院の妊婦死亡問題 昨年10月、脳出血を起こして緊急搬送先を探していた都内の妊婦(当時36歳)が8病院から「当直の産科医が1人しかいない」「NICUが満床」などの理由で受け入れを断られ、最終的にいったん断った東京都立墨東病院に運ばれたが、出産後に死亡した。
新生児ICU 病床数に地域差
読売新聞は全国47都道府県に対してもアンケートを実施した。搬送コーディネーターは、東京など10自治体が導入し、医師や看護師らを中核となる総合周産期母子医療センターなどに配置している。また近畿地方と徳島、福井、三重の9府県が2007年、府県境を越えて妊産婦を搬送する広域連携体制を結ぶなどの取り組みも進んでいる。
アンケートによると、全国のNICUの合計数は2429床と、1年前に比べ145床増えていた。とはいえ、都道府県別にみると、厚生労働省の有識者会議が今年2月に示した必要病床数(出生数1000人当たり2・5~3床)を満たしていたのは16自治体(34%)だった。多いのは山口(4・67床)、鹿児島(3・5床)、少ないのは徳島(1・02床)、茨城(1・22床)などで、地域差がみられた。
文部科学省は、全国の大学病院のうち、保険認可のNICUがなかった7大学病院に6床ずつの新設を計画。ところがこのうち、来年4月に開設する予定の弘前大では専任の医師が1人しかおらず、准教授、講師ら3人の医師を公募中だ。9床のNICUを持つ富山大では増床を視野に、新設の教授を募ったが見つからなかったという。
一方、過去10年間に1万1000人から約1割減った産婦人科医は、今年に入ってやや増える兆しも。日本産科婦人科学会によると、今年4月~9月の新入会員数は435人で、昨年同時期の378人に比べて57人増えた。
ただ、読売新聞が、全国の総合周産期母子医療センターに行ったアンケートでは「産科医が増え、当直回数が軽減された」とした施設もあったが、「常に人員は綱渡り状態」(岩手医大)、「限界は超えている」(三重中央医療センター)、「勤務状況悪化」(杏林大=東京都)などと答えた施設も目立った。青森県立中央病院新生児集中治療管理部の網塚貴介部長は「人材難が深刻で、現在ある病床の維持さえ大変だ」と話す。
9.脂質高い人、脳卒中リスク低い=4万8000人データ分析
時事通信社2009年10月24日
コレステロールや中性脂肪の値が高い人の方が脳卒中を起こしにくく、発症した場合も状態が良いとのデータを、大櫛陽一東海大教授らがまとめ、24日までに日本脂質栄養学会誌に発表した。
同教授らはこれまでにも、これらの値が低いほど死亡率が高いなどの研究結果を発表。「(悪玉とされる)LDLコレステロールも中性脂肪も実は善玉なのに、リスクが強調され、無駄な治療がなされている」と問題視している。
同教授らは、脳卒中患者のデータベースに登録された男性約2万8000人、女性約2万人のデータと、福島県郡山市の一般住民のデータを比較。計約4万8000人のうち、脳梗塞(こうそく)を起こした患者を見ると、高脂血症でない人と高脂血症を治療している人の比率が一般住民より高く、高脂血症(未治療)の人の割合は低かった。
年齢や性別の影響を除いて解析したところ、高脂血症(未治療)の人の脳梗塞発症リスクは、高脂血症でない人の約4分の1にとどまり、治療している人のリスクは、未治療の人の4.6倍だった。
10.ファブリー病:腎不全、心不全の原因 治療に効果の新物質、明治薬科大など開発
毎日新聞社2009年10月24日
腎不全や心不全を起こしやすい難病「ファブリー病」の治療に役立つ可能性が高い物質を、明治薬科大などが開発した。従来の治療薬にはアレルギーなどの副作用があり、新たな治療法開発につながると期待される。22日付の米人類遺伝学会誌(電子版)に発表した。
ファブリー病は、特定の糖脂質の分解に欠かせない「GLA」という酵素が作れなかったり、すぐ壊れてしまう遺伝病。GLAがないと、この糖脂質が腎臓や心臓などに蓄積し、腎不全や心不全、脳梗塞などの原因になる。患者は3000人に1人程度と推定される。研究チームは、GLAと構造が似た別の酵素「NAGA」に注目。構造の一部を変え、ファブリー病のマウスに注射したところ、GLAと同様に糖脂質を分解し蓄積が減った。桜庭均・明治薬科大教授(臨床遺伝学)は「アレルギーの心配は少ない。新しい治療薬として有望」と話す。
11.熱ショックタンパク質損傷で脳疾患 金大・山嶋准教授ら研究
富山新聞社2009年10月24日
金大大学院医学系研究科・再生脳外科学教室の山嶋哲盛准教授と三重大の共同研究グループは23日までに、ニホンザルの脳を使った実験で、脳梗塞やアルツハイマー病など脳疾患の原因である神経細胞死が、細胞を保護する「熱ショックタンパク質」(HSP)の損傷によって生じることを突き止めた。ヒトの脳疾患にもHSPの保護や補給が有効とみられ、新薬開発や治療への応用が期待される。
山嶋准教授らは、人工的に脳梗塞を起こしたニホンザルの脳からタンパク質を抽出。三重大と島津製作所(京都市)の協力を受けて詳細に解析した。
この結果、熱ショックタンパク質の一つである「HSP70」の損傷が平常時と比べ、10倍以上に増えていることが判明した。
HSP70は細胞内の小器官「リソソーム」から、タンパク質を分解する「カテプシン」の漏出を防ぎ、細胞が壊れないようにしている。解析結果では、HSP70が損傷を受けたことにより、リソソームが破裂して細胞成分が破壊されていた。
これまで脳疾患にはカテプシンの漏出が関係していることは知られていたが、リソソームが破裂する原因は分かっていなかった。
山嶋准教授によると、ニホンザルの脳はアミノ酸の構成がヒトと極めて近く、共通性が高いと考えられる。HSP70の損傷と脳疾患の因果関係が明らかになったことで、酸化からHSP70を守る抗酸化剤の活用や、HSP70を使った医薬品、健康食品の開発も期待できるという。
研究成果は23日までに、オランダの医学雑誌「プログレス イン ニューロバイオロジー」の電子版に掲載された。山嶋准教授は「脳疾患の多くにかかわる神経細胞死の全容解明に大きく近づいた。一日も早い臨床応用を目指したい」と話した。
九州大生体防御医学研究所の中別府雄作教授(脳機能制御学) 今回の研究成果によってHSP70の酸化を制御できれば、神経細胞死を防ぐことができると考えられる。分子標的の一つが判明したことで、創薬などへの活用も期待される。
12.マイタケ 新型インフル予防に期待の食材 間接的にウイルス抑制
毎日新聞社2009年10月24日
新型インフルエンザにかかる人が一向に減らない。ワクチン接種による予防法が進みつつあるが、日ごろの備えも欠かせない。今回は食べて予防になる可能性のあるいくつかの研究をリポートする。
◇抽出物が免疫細胞を活性化
■キノコの作用に着目
新型インフルエンザの治療薬ではタミフルやリレンザが知られているが、最近はタミフルが効かない耐性ウイルスも現れた。耐性ウイルスが人から人に感染する事態までは至っていないが、今後どう対処すべきかは大きな課題だ。
そんな中、どのウイルスにも予防効果が期待できるかもしれないと言われる食材がある。キノコの一種、マイタケだ。
研究しているのは落合宏・富山大学医学部名誉教授(微生物学)と小尾信子さん(医学博士)らの研究チーム。キノコや生薬が、がん細胞の増殖を抑えたり免疫を強めたりする作用があることから、インフルエンザウイルスの増殖にも抑制効果があるのではと着目した。
まずはマイタケから温水で抽出した多糖を主成分とするエキス(煮汁を凍結乾燥させた粉末)が、ウイルスの増殖を抑えるかどうかを実験。ウイルスにはA香港型を使った。
ウイルスは生物の細胞(宿主細胞)に取りついて初めて増殖する。落合さんらはイヌの腎臓由来の細胞にウイルスを感染させ、その細胞が生きている培養液にマイタケ抽出物を加え、増殖を抑えることができるかを調べた。
結果は予想を裏切り、ウイルスの増殖を抑えることはできなかった。
■病原微生物を撃退
そこで、次に目をつけたのが白血球の一種であるマクロファージという免疫細胞。サイトカインといわれる生理活性物質を出し、病原微生物などを撃退する働きをする。
実験はマクロファージを添加した培地にマイタケ抽出物(濃度1ミリリットルあたり300マイクログラム)を加え、ウイルス増殖にどう影響するかを見た。すると、マクロファージとマイタケ抽出物の接触時間が長いほどウイルスが減り、12時間で3分の1~4分の1まで抑えることができた。
落合さんは「マイタケ抽出物自体がウイルスを直接攻撃するのではなく、免疫細胞を活性化させることで間接的にウイルスを減らせた」と説明する。
■生理活性物質が抑制
では、どんな物質がウイルスの増殖を抑えたのか。
マイタケ抽出物の刺激時間が長くなるとともに、TNF-αが増えていることが分かった。TNF-αはマクロファージなどが分泌するもので、腫瘍細胞を壊死させる生理活性物質として以前から知られるたんぱく質だ。
こうした実験結果を昨年、米国の医学雑誌「米国漢方ジャーナル」に発表した落合さんは「ウイルスの増殖を抑制した有効物質はTNF-αではないか」とみる。TNF-αがエイズウイルス(HIV)などを抑えることは以前から知られていたが、今回のように自然界にある食品(マイタケ抽出物)がマクロファージを刺激することで生成されるTNF-αがウイルスの増殖を抑えるという事実は、新しい研究結果だという。
同様の作用はショウガでも得られた。漢方薬の麻黄や桂皮にも抗ウイルス作用があるという。
■マクロファージ刺激
では、どれくらい摂取すれば有効なのか。
今回の実験から推定すると、100ミリリットルの水に15~30グラムの生マイタケを入れて鍋で煮て、その汁をすべて飲む量に相当するという。落合さんは「マイタケを食べると腸管粘膜で顔を出すマクロファージを刺激するのではないか」と推測。ただ、今回の実験は培養細胞を用いたものなので、人や動物に直接与えて効果を確かめたものではない。効果の判定にはさらに厳密な追跡試験が求められる。
■センダン、牛初乳も
新型インフルエンザウイルスの予防法としては、南西諸島や九州などに自生するセンダンの葉も注目され、ウイルス研究で知られる根路銘国昭氏(沖縄県)が抽出成分を生かしたスプレーを開発。桑の葉にある成分の抗ウイルス作用に着目した研究も進んでいる。
また、牛の初乳(出産後6、7日目の乳)を含む市販の初乳サプリメント(栄養補助食品)が子供や大人の風邪やインフルエンザを予防したり、症状を軽くする効果が学会で発表され、保育園などで効果を確かめるモニター試験も行われている。
13.ジェネリック医薬品 医療費抑制 自治体、普及に本腰
産経新聞社2009年10月24日
新薬と同じ成分で価格が安い後発医薬品(ジェネリ
ック医薬品)の普及を進める取り組みが、各地の自治
体に広がってきた。割安な後発薬の利用が増えれば、
患者の負担軽減とともに医療費抑制にもつながる。各
自治体では後発薬に切り替えた場合の「差額通知」や
「希望カード」の配布など本格的な対策に乗り出して
いる。
◆言い出しにくい人も
「今飲んでいる薬と後発薬では、ベンツと軽自動車
ほど性能に差があります。処方はできません」
栃木県に住む無職の女性(75)は、長年服用する高血圧の薬を後発薬に変更してもらおうとかかりつけ医に相談すると、こう説明を受け拒否された。女性は「少しでも節約したくて勇気を出して頼んだのに」と納得がいかない。
先発メーカーの特許が切れた後に他メーカーが製造する後発薬は、新薬に比べ3~8割程度安く、増え続ける医療費削減の“切り札”として国も普及に本腰を入れる。だが、品質、供給面への不安や理解不足もあって医療機関が使用をためらう傾向にあり、普及が遅れているのが現状だ。
こうした中、東京都足立区は9月末までに国民健康保険と後期高齢者医療制度加入の全世帯(約19万世帯)に「ジェネリック医薬品希望カード」を配布した。後発薬の処方を言い出しづらい人にも病院や薬局に提示してもらい、利用を促す狙いだ。同区は全体の1割が切り替わるだけで、年間約5億円が削減できると試算。増え続ける医療費の抑制効果を期待する。
厚生労働省が今年1月、各都道府県に後発薬の利用促進に努めるよう通達を出したこともあって、多くの自治体で希望カードやリーフレットの作成など住民に周知・啓発を図る活動が本格化してきた。
◆月1万5000円節約
広島県呉市は昨年7月から、後発薬に変更することで節約できる薬代を個別に知らせる「ジェネリック医薬品促進通知サービス」を開始。毎月約3000人を対象に実施し、今年3月までに通知を受けた人の約6割が後発薬に切り替え、約4400万円の削減効果があったという。
同市保険年金課の浅谷匡課長補佐は「糖尿病や高脂血症などで長期間服用している場合は節約効果が大きい。1カ月の薬代が1万5000円も安くなった人もいる」と説明する。
一昨年5月に全国に先駆け希望カードを配布した茨城県常陸太田市は、職員が地域に出向いて高齢者らに説明する「押しかけ講座」も開き、普及に努める。
後発薬が普及しない事情について、日本ジェネリック医薬品学会代表理事で国際医療福祉大学大学院の武藤正樹教授は「医師や薬剤師の知識不足もあって、かつての『安かろう悪かろう』のイメージから抜けきれず抵抗感を抱くケースも多い」と指摘。そのうえで、「不況で薬の服用回数を減らして節約する『間引き飲み』や、処方箋をもらっても薬を買わない人が増えている。具体的な節約効果が分かる差額通知は選択肢を広げる有効な手段。患者側も自分の使う薬を調べ、考えるきっかけにして」と呼びかける。
【後発医薬品】
■価格は新薬の7割以下
新薬の特許期間切れ後、同じ有効成分と薬効で製造される医薬品。製法や主成分以外の添加物は異なる場合もある。多額の研究開発費が不要のため、価格は新薬の7割以下。日本の普及率は17・2%(平成19年度、数量ベース)で、欧米諸国に比べると格段に低い。政府は医療費抑制策の一環として24年度までに普及率30%以上の目標を掲げる。日本ジェネリック医薬品学会のホームページ「かんじゃさんの薬箱」(http://www.generic.gr.jp)で、後発薬の種類や使用に積極的な病院・薬局を検索できる。
14.太陽工業の医療用陰圧テント、新型インフル対策で問い合わせ相次ぐ
日経メディカル2009年10月24日
新型インフルエンザの流行に伴い、太陽工業の医療用陰圧テントに問い合わせが相次いでいる。9月には自治体を中心に40件余の納入実績があるなど、今年5月から10月までに納入予定も含めるとすでに100件を越えたという。その後も、自治体や医療機関などからも引き合いが増え続けていることから、同社は在庫製品を確保するなど生産体制を強化した。
医療用陰圧テントは、同社の内袋式エアチューブを採用した「マク・クイック・シェルター」をベースにしたもの。陰圧式フィルター装置を接続することで、本体テント内部の気圧を外部より下げ、汚染された室内の空気が外部に拡散するのを防ぐ。前室や冷暖房設備を取り付けることで、緊急時でも医療行為を行いやすい環境を実現できることが特徴の1つだ。また、テントの形状を維持するために屋根膜と一体化したエアビーム(空気の柱)を採用したことで、約15分で設営が可能な点も評価されている。
写真2 医療用陰圧テントの室内(危機管理産業展2009から)
医療用陰圧テントの大きさは、間口4m、奥行き5m、高さ2.5m(写真2)。テント重量は、本体テント約65kg、前室約45kg(オプション)で合計約110kgとなっている。価格はテント本体に加え陰圧式フィルター装置や内膜、照明などを含めて330万7500円(税込)。
■参考情報
・マク・クイックシェルターの設営の様子(動画)
http://www.taiyokogyo.co.jp/maku_quick/movie.html









コメント 0