Aug 04, 2010 [Clipping News]
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1.7件の治験省略認める 「ドラッグ・ラグ」解消へ…未承認薬検討会
2.海外普及薬、早期承認…厚労省方針
3.【日本臨床救急医学会】救急認定薬剤師制度の認定試験を12年から実施へ
4.薬用植物の総合DB構築へ‐75品目を対象に選定
5.米成人の27%が肥満、2年前から1%超増える=CDC
6.心疾患、患者本人の弁移植で生存率高まる 英研究
7.デリミートの摂取はぼうこうがんリスクを高める、 米国立がん研究所
8.自分の妊娠を認識しない「妊娠否認」、女性500人に1人?
9.うつ病発症防ぐ脳内分子機能を解明 群大研究グループ
10.手術ロボット:遠隔操作で触覚も伝わる 慶応大が開発
11.「ポンペ病」に理解を 米映画公開を機に関係者期待
12.隠れ塩分にご用心-米は食生活ガイドラインを強化へ
13.認知症抑制にサプリメント
14.血糖センサー付インスリンポンプ、1型糖尿病患者の血糖コントロール有意に改善
15.膝前十字靱帯断裂の急性期は、まずリハビリを
16.カルシウム補給、心筋梗塞リスク上昇と関連、メタアナリシス
17.学校ベースの介入、小児の2型糖尿病リスクに有効?
18.去勢抵抗性前立腺癌への細胞免疫療法、生存期間を4.1カ月延長
19.院外心停止に対する胸骨圧迫単独CPR、標準的CPRと生存率に有意差なし
20.Vitamin B May Not Guard Against Second Stroke, Heart Attack
21.Patients With Hepatitis B May Face Greater Risk of Blood Cancer
22.プレスリリース
1) COPD治療薬として「インダカテロールマレイン酸塩」を日本で承認申請
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1.7件の治験省略認める 「ドラッグ・ラグ」解消へ…未承認薬検討会
産経新聞社2010年8月4日
日本国内での医薬品の承認が海外に比べて遅れる「ドラッグ・ラグ」の解消を目指し、患者らから要望のあった未承認薬などの「医療上の必要性」を検討してきた厚生労働省の検討会が3日開かれた。血栓塞栓症やがんの治療薬など7件について、国内での治験(臨床試験)を省略して承認期間の短縮が図れる「公知申請」を認めることを決めた。
2月に設置された検討会は患者や学会から承認の要望があった374件の必要性を審議。厚労省は5月、検討会で必要性が認められた108件について、国内での販売に向けた準備に入るよう製薬企業に要請している。
この日の検討会は承認手続きについても踏み込んで検証。国内外の使用状況や製薬会社の意見もふまえ、7件の公知申請を認めた。
公知申請は、すでに海外で使われていたり、国内の臨床試験で治療実績のある医薬品について、治験を省略して治療データや論文などで承認申請ができる方法。
通常、治験には3~7年、承認申請から販売までは1~2年かかるとされるが、時間を要する治験の省略により、承認までの期間が大幅に短縮される。今回、公知申請が認められた7件について厚労省は「早ければ来春にも承認される」としている。公的医療保険の適用は来年の夏ごろになるとみられる。
検討会ではさらに、慢性リンパ性白血病や筋無力症候群による筋力低下の改善薬など20件が新たに医療上の必要性が高い医薬品として選定された。要望のあった374品目のうち、検討が残っているのは102品目。厚労省は秋をめどに審議を終え、11月下旬には製薬会社への2度目の要請を実施する方針。
【ドラッグ・ラグ】
外国で新薬が発売されてから、日本で発売されるまでにかかる時間差(タイムラグ)。日本製薬工業協会によると外国で新薬が発売されてから、日本で発売されるまでに平均4.7年がかかる。米国(1.2年)の場合と比べて、約4倍の期間が必要とされる。
(1)海外ではほとんど下がらない特許期間中の新薬の価格が2年に1度の改定で引き下げられてきた(2)欧米に比べて審査態勢が整っていない(3)治験に参加する人が集まりにくい-などが原因とされる。
2.海外普及薬、早期承認…厚労省方針
読売新聞社2010年8月4日
5種類 治験省き来春にも
海外で広く使われている薬が日本で未承認だったり、一部の病気への使用に限られていたりする「ドラッグ・ラグ」を解消するため、厚生労働省検討会議は3日、卵巣がん治療薬など5種類の適応拡大を認め、国内の臨床試験(治験)を省略して早期に承認すべきだと判断した。早ければ来春にも使えるようになる。
検討会議は今年4月、患者団体や学会から要望があった計374件のうち、109件を「医療上の必要性が高い」と判断。うち108件について、厚労省は5月、製薬企業に開発スケジュールやこれまでの治験データなどの資料提出を求めた。
資料を検討した結果、省略できると判断されたのは、対象疾患3件への適応拡大が認められた「エンドキサン」や、肺がん治療などに使われる抗がん剤で患者団体が要望していた「ジェムザール」の卵巣がんへの適応など5種7件にとどまった。製薬企業は11月までに承認申請を提出する。
日本製薬工業協会によると、海外で初めて発売された新薬が日本で発売されるまで平均4・7年かかる。米国は同1・2年。特に、患者数が少ない難病治療薬は、臨床試験のコストが高く、開発が遅れがちとなっている。
患者から喜びの声
「亡くなった仲間に報告を」
海外で承認されている薬が日本では使えない「ドラッグ・ラグ」問題。厚生労働省の新制度で、「必要性が高い」とされ、検討対象となった108件のうち7件の「適応拡大」が事実上決まった3日、待ちわびた患者から喜びの声が上がった。一方、対象の薬が「先送り」になった患者から落胆の声が漏れた。〈本文記事1面〉
「この薬を使えずに亡くなった仲間もいる。やっと良い報告ができる」。厚労省の検討会議が開かれた会場で結果を待っていた「卵巣がん体験者の会スマイリー」代表の片木美穂さん(36)(東京都三鷹市)はしみじみと語った。対象の薬はジェムザール。肺がんなど5種類のがんで承認されているが、年に約9000人が発症するとされる卵巣がんでは適応外だった。
片木さんも2004年に卵巣がんが見つかった。承認済みの抗がん剤は治療効果があったが、「抗がん剤は使用を続けると効果が薄くなる。一つでも多くの種類が必要」との思いから、06年、ジェムザールの早期承認を求める活動を始めた。
片木さんは「もっと素早く対応しなければ助からない命もある」とも話した。
この日は、乳幼児期から発熱を繰り返し、関節が痛んで歩行困難になる難病「クリオピリン関連周期性発熱症候群」の未承認薬への対応も協議された。
国内の推定患者数50人とまれな病気で、効果が期待できる薬が少ない。しかし米国では、炎症を抑えて症状を改善する2種の新薬が08、09年に認められている。このうち1種については開発を担う製薬会社が現れず、もう1種は通常の国内での臨床試験が始まっており、今回は見送りになった。
次女(5)がこの病気を患う戸根川理登さん(38)(横浜市)は「患者数が少ない小児難病の薬は、利益も少ないため製薬会社が臨床試験を実施したがらない。海外で有効性が確認された薬をもっと早く使える制度を作ってほしい」と話した。
3.【日本臨床救急医学会】救急認定薬剤師制度の認定試験を12年から実施へ
薬事日報社2010年8月4日
日本臨床救急医学会は、「救急認定薬剤師制度」の概要を学会Webサイトで公表した。認定の取得には、学会が実施する認定試験に合格することや、救急領域における2年以上の実務経験などが必要。今後、細部の規定を検討して決め、2012年に第1回目の認定試験を実施する計画だ。試験実施に向け、来春には、救急領域における薬剤師の業務内容をまとめた書籍の発刊を予定している。
公表された認定資格の骨子は次の通り。
[1]日本の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格及び救急治療における薬物療法に関する見識を備えていること
[2]薬剤師としての実務経験を5年以上有し、かつ救急治療における薬物療法に2年以上従事していること
[3]日本臨床救急医学会の正会員であり会員歴が2年以上あること
[4]日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師、日本医療薬学会認定薬剤師、薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師、あるいは日本臨床薬理学会認定薬剤師であること
[5]医療機関において、救急治療における薬物療法に関する業務を通じて患者の治療に自ら参加した25例以上の症例を報告できること
[6]申請時において、ICLSコース受講もしくはBLS/AEDコース指導経験があること
[7]研修委員会が指定する学術集会、研究発表などにおいて、別に定める単位数を履修していること
試験の実施時期や場所などが正式に決まっていないため、今回の認定資格骨子には記載されなかったが、認定取得には、学会が実施する認定試験に合格する必要がある。今後、認定の英語名、単位履修を認める学術集会など、細部の規定を検討し、認定制度の全体像を年内に決める計画だ。
救急領域は医師を筆頭にマンパワーが不足しており、多職種が参画するチーム医療の実践が求められている。08年の診療報酬改定で、意識のない患者への薬剤管理指導料の算定が実現したこともあって、ICUやCCU病棟、救命救急センターで、チーム医療に参画する薬剤師が増えてきた。
その業務の標準化や質の向上を支援するのが、認定制度構築の目的。約1年前、医師や薬剤師が委員となって学会内に発足した、「救急認定薬剤師制度検討委員会」が、これまで制度の骨格を話し合ってきた。
4.薬用植物の総合DB構築へ‐75品目を対象に選定
薬事日報社2010年8月4日
厚生労働科学研究費補助金による「漢方薬に使用される薬用植物の総合情報データベース構築のための基盤整備に関する研究」(主任研究者:川原信夫医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター長)が、今年度から3年計画で始まった。研究は70~80品目の薬用植物について、成分、遺伝子、生物活性、官能データ等の情報を、総合的にデータベース化して公開するもの。わが国では初めての試みで、輸入依存度の高い重要生薬の国内栽培振興、貴重な遺伝資源の確保・維持などを図ることが狙いだ。まず今年度は、オウゴン、カンゾウ、ショウキョウ、ソウジュツ、ニンジンの5品目を中心に行われる。
栽培振興や資源確保が狙い
川原氏によれば、薬用植物資源研究センターは既に119品目の薬用植物について、データを取りまとめて公開しているが、生薬や栽培法などの情報が主体で、化学的情報や遺伝子情報が不足しているという。また、このようなデータベースは、富山大学和漢医薬学総合研究所等でも作成されているものの、様々な情報を網羅したデータベースはない。そこで、公的機関として総合的なデータベースを構築し、薬用植物の栽培や研究の振興に役立てようと考えたものだ。
薬用植物データベース作成の目標は、▽漢方薬の品質、有効性、安全性の確保▽日本薬局方収載生薬の高度利用▽国内における効率的増殖法の確立▽薬用植物栽培の振興▽漢方製剤の原料となる遺伝資源の確保・維持▽生物資源を基盤とする研究活動、産業振興への寄与――など。
データベース化される品目は、重要度の高さで選定された。わが国の医療用漢方製剤は約150処方に上るが、そのうち44処方で生産量の約90%を占める。これら最重要処方に配合されている生薬75品目(別掲)が、主要な対象として選び出された。初年度はそのうち、オウゴンなど5品目を中心に、データの収集が進められる。
従来のデータベースには、生データを収めているケースが少ないことから、研究班は構築するデータベースに、種々の測定データを載せていく方針だ。また、生薬は産地等の違いによって、含有成分等にも違いが出てくるため、市場に流通し、かつ今後も供給可能な汎用性の高い生薬を集め、共同研究機関も含め全て共通のサンプルで測定を行うことにしている。
登載される情報は、[1]成分分析データ(薄層クロマトグラフの写真、高速液体クロマトグラフのチャート、NMRによる主要成分の構造情報)[2]遺伝子の識別部位に関する情報、植物組織培養物の効率的増殖法、植物の効率的生産法[3]生物活性情報、副作用情報[4]さく葉標本の画像、生薬の内部形態写真[5]保存種子や種苗特性等の情報[6]官能データ(味、におい、色などを数値化)[7]漢方処方関連(食薬区分やエキス量の情報)――等が想定されている。
研究は、薬用植物資源研究センターが中心になるが、国立医薬品食品衛生研究所、富山大学和漢医薬学総合研究所、金沢大学自然科学研究科、岐阜薬科大学、慶応大学薬学部が一部を分担する。さらに医薬品医療機器総合機構、日本漢方生薬製剤協会、日本生薬連合会、日本試薬協会などの協力も得る。
この研究では、75品目を中心に3年かけてデータベースの作成が行われるが、研究班では44処方以外の漢方処方に配合されている生薬や、その他の日本薬局方収載生薬を含め、全部で168品目をリストアップしている。これら全てをデータベース化することは、1期3年間では無理。そのため川原氏は、「できれば、さらに3年間、継続して研究を進めたい」と述べている。
44処方に配合される重要生薬75品目
アキョウ、イレイセン、オウギ、オウゴン、オウバク、オウレン、オンジ、カッコン、カッセキ、カンキョウ、カンゾウ、キキョウ、キクカ、キジツ、キョウカツ、キョウニン、ケイガイ、ケイヒ、コウジン、コウベイ、コウボク、ゴシツ、ゴシュユ、ゴミン、サイコ、サイシン、サンシシ、サンシュユ、サンショウ、サンソウニン、サンヤク、ジオウ、シャクヤク、シャゼンシ、ショウキョウ、ショウマ、シンイ、セッコウ、センキュウ、ソウジュツ、ソヨウ
ダイオウ、タイソウ、タクシャ、チョウトウコウ、チモ、チョレイ、チンピ、テンマ、トウキ、トウニン、ドクカツ、ニンジン、バクガ、バクモンドウ、ハッカ、ハンゲ、ビャクシ、ビャクジュツ、ブクリョウ、ブシ、ボウイ、ボウショウ、ボウフウ、ボクソク、ボタンピ、ボレイ、マオウ、マシニン、モクツウ、モッコウ、リュウガンニク、リュウコツ、リュウタン、レンギョウ
5.米成人の27%が肥満、2年前から1%超増える=CDC
Reuters2010年8月4日
米疾病対策センター(CDC)は3日、同国成人の26.7%に当たる7200万人以上が肥満であり、割合が2年前から1.1%ポイント増加したとのデータを発表。肥満は「国民の健康を脅かす大きな要因」となっており、着実に悪化していると指摘した。
CDCは、40万人の身長や体重などを集めたデータを分析。その結果、成人の3割が肥満という州が9つあった。2000年には3割を超える州はなかったという。また、肥満の増加率については、人々が自分の身長は高めに、体重は少なめに申告する傾向があるため、実際にはさらに悪い可能性が高いともしている。
CDCのディレクターであるトーマス・フリーデン博士は、声明で「徹底的、包括的かつ継続した取り組みが必要」と指摘。それを怠れば、心臓病や脳卒中、2型糖尿病、一部のがんなど肥満と関連した症状で病気になったり死亡する人が増えるだろうと警告した。
6.心疾患、患者本人の弁移植で生存率高まる 英研究
AFPBB NEWS2010年8月4日
心臓に疾患を持つ患者について、ドナーから提供された動脈弁を移植するよりも、患者本人の心臓の肺動脈弁を大動脈弁に移植する方が、生存率、QOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)ともに高まるとした英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)大による研究結果が2日、発表された。
大動脈弁は、酸素を豊富に含む血液を体内に送り出す働きをもつ。一方、肺動脈弁は血液が肺に到達する前に酸素を取り除く働きをしている。
過去30年あまり、大動脈弁に異常や疾患が認められる患者に対しては、細心かつ基本的な注意を要する大動脈弁の移植手術が行われてきた。
移植用の大動脈弁に人工弁を用いる場合は、頑丈で長持ちする一方、血栓を防ぐための治療が一生続く。また、患者への身体的負担が少ない自身の肺動脈弁や、遺体から摘出した大動脈弁が移植に用いられることもある。
インペリアル・カレッジの研究チームは、人工弁を用いない移植の効果を比較するため、自身の肺動脈弁を移植した患者108人と、ごく最近に死亡したドナーから提供された大動脈弁を移植した患者108人について、移植後の大動脈弁の働きなどを調べた。
その結果、10年後までの死亡者数は、自身の肺動脈弁を移植した「自家移植」の患者群で4人、ドナーの大動脈弁を移植した「同種移植」の患者群で15人のみだった。生存率にすると、「自家移植」群が97%、「同種移植」群が83%となる。
この結果について、研究チームは、患者自身の動脈弁を移植するほうが、はるかに効果が高いとの仮説を裏付けるものだと説明している。
生活の質を測るQOLについても、患者本人の弁を大動脈弁に「自家移植」する「ロス手術」で高い改善率がみられたという。
この理由について、研究チームは、移植された組織も本人のものであるため、体が順応しやすいためではないかと推測している。
7.デリミートの摂取はぼうこうがんリスクを高める、 米国立がん研究所
AFPBB NEWS2010年8月4日
赤身肉の摂取と心疾患やすい臓がんなどのがんリスクとの関連は、これまでも指摘されてきたが、デリミートなど加工肉製品の摂取はぼうこうがんリスクを高めるとした米国立がん研究所(US National Cancer Institute)による研究結果がこのほど、医学誌「Cancer」に掲載された。
米国立がん研究所は、米国8つの州に住む50歳から71歳までの男女3万人を8年間、追跡調査し、赤身肉に含まれる硝酸塩や亜硝酸塩などの摂取と、がん発症率との関連を調べた。その結果、調査期間中に854人がぼうこうがんと診断されたという。
硝酸塩や亜硝酸塩の摂取が少ない対象群と比較して、肉類以外の食品からも亜硝酸塩を摂取していた対象群とデリミートなど加工肉製品から多くの硝酸塩を摂取していた対象群では、ぼうこうがんの発症リスクが28~29%も高かった。
この結果から、研究員らはデリミートに保存料や添加物として用いられる硝酸塩や亜硝酸塩が、リスクを高める原因と結論づけた。硝酸塩や亜硝酸塩は、ぼうこうなどの臓器で腫瘍の形成を誘発するNニトロソ化合物の先駆物質だからだ。
一方、ベーコンやハンバーガー、ソーセージ、ステーキなどと、ぼうこうがんとの間には関連性は認められなかったという。
8.自分の妊娠を認識しない「妊娠否認」、女性500人に1人?
AFPBB NEWS2010年8月4日
フランスの村で新生児の遺体8体が見つかった事件で、殺害容疑がかけられている母親(45)の弁護士が主張し、注目されているのが「妊娠否認」と呼ばれる精神症状だ。
この「妊娠否認」は、フランスでは幼児殺害事件の際に弁護側が、責任能力を問えないことを主張するために、これまでにも持ち出されてきた。それは正当だと、ナント(Nantes)にある産婦人科病院の精神科医、ソフィー・マリノプロス(Sophie Marinopoulos)医師は語る。「わたしが知っている限り、子どもを殺すために妊娠しようとする女性はいません。これは精神的症状なのです」
■3種類の妊娠否認
「妊娠否認」を専門家は3種類に分類している。第1の種類は「広汎性否認」と呼ばれるタイプで、米ボストン(Boston)のブリガム婦人科病院(Brigham and Women's Hospital)のローラ・ミラー(Laura Miller)医師によると「感情面の距離だけではなく、意識からして妊娠をまったく認識していない」状態だ。
次が精神病性否認で、時に虐待の結果も含む深刻な精神障害を抱えた女性が、妊娠していることを自分で認めない状態を言う。
3番目の感情的否認は、頭では妊娠していることを理解していても、「妊娠していないように考え、感じ、振る舞い続ける」状態を指す。例えば胎児の健康に悪影響を及ぼすだろうドラッグの中毒に陥っている女性が妊娠すると、罪の意識を和らげようとする心理状態が生まれ、この症状が起こることがある。
すべてに共通して、体重の増加や胸の張りの変化、あるいは陣痛でさえも患者の精神が認めず、現実と異なった解釈をしようとする。
また今回のフランスの容疑者のように、妊娠した女性が過度の肥満だった場合には、パートナーや家族も妊娠に気付きにくい。
■米調査では500人に1人
米ケース・ウエスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)、スーザン・ハッターズ・フリードマン(Susan Hatters Friedman)氏は、英心身医学誌「サイコソマティック・メディシン(Psychosomatic Medicine)」に掲載された研究で、1998~2003年の5年間に同大病院で行われた3万1475件の出産について調査した。
妊娠否認の症状を示しているかどうかは、胎児検診をまったく希望しないことを主要な判断材料とし、そのほかの基準と合わせると合計61例、500人に1人の割合で妊娠否認とみられる女性がいた。
出産するまでまったく妊娠していることに気付かなかったという完全否認の例はもっと少なく、2500人に1人だった。新生児を殺害した例はなかった。また家族や友人に妊娠した事実を意図的に隠すという「妊娠の秘匿」という事例は、20例みられた。ドイツやフランスの調査でも、この米国の調査と同様の数字が現れている。
また米国の調査で予想に反したのは妊娠を否認する女性の人物像で、まだ経済力がなく両親と同居する10代の少女という患者像を裏切り、20代に入り、勤めもしていて、虐待的なパートナーをもったこともない女性のほうが多かった。
妊娠の否認に関するフランスの学会で理事長を務めるフェリックス・ナバロ(Felix Navarro)医師は、「年齢も教育水準も社会的立場も関係なく、さまざまな女性に起こる」症状だと述べている。
9.うつ病発症防ぐ脳内分子機能を解明 群大研究グループ
産経新聞社2010年8月4日
ストレスを受けた際、特定の脳内分子が反応し、うつ病の発症を防ぐ働きをしていることを、群馬大生体調節研究所・的崎尚客員教授らの研究グループが発見し、4日付の米科学誌「ジャーナル オブ ニューロサイエンス」に発表した。既存の抗うつ剤では効果の表れない患者に適応する新たな治療薬開発につながる可能性があるという。
的崎教授によると、外部からのストレスに反応していることが分かったのは「SIRPα」といわれる脳内分子。
研究グループでは、この分子はストレスを受けると細胞内の酵素と結合し、「リン酸化」という化学変化を起こす点に着目。「SIRPα」を取り除いた「ノックアウトマウス(KOマウス)」と通常のマウスのそれぞれに「強制水泳テスト」を行い比較。その結果、KOマウスの脳細胞内では「リン酸化」が起きず、うつ状態を示す無動の時間が増加する結果が出た。
うつ病を発症する仕組みとしてはこれまで、ホルモンや神経伝達物質の機能異常が指摘され、対応した薬物などが治療に用いられてきた。しかし、薬の効かない患者もおり、発病原因は十分に解明されていない。
的崎教授は「『リン酸化』を制御できる方法を考案し、自殺の大きな要因にもなっているうつ病対策につなげたい」としている。
10.手術ロボット:遠隔操作で触覚も伝わる 慶応大が開発
毎日新聞社2010年8月4日
遠隔操作するロボットの「手」を通して触覚が伝わる手術支援ロボットを慶応大が開発し、4日公開した。触覚を伝える手術用ロボットの開発は世界初という。エックス線写真などで発見が難しい場所のがんの触診や、より難度の高い手術が可能になるとしている。
理工学部の大西公平教授と、医学部の森川康英教授らが共同で開発した。
遠隔操作による手術支援ロボットは多くの場合、開腹手術をする代わりに患者の腹部に小さな穴を開けて微小なカメラや器具を挿入し、患部を観察したり腫瘍などを切除する手術に使われている。しかし従来のものは、医師が患部を触る感覚が得られなかった。
新しいロボットは、医師の手の動きに応じて動いたロボットの「手」に当たる鉗子の体内での挙動を、1秒間に1万回という精密な計算で医師側に再現する。これにより、医師は実際に手術器具や患部を触っているような手応えを感じられるという。
大西教授は「医師が直接触れない感染症患者や、デリケートな操作が必要な子宮内の胎児への治療にも応用できる」と話す。
11.「ポンペ病」に理解を 米映画公開を機に関係者期待
産経新聞社2010年8月4日
筋力や心臓の働きが低下する遺伝性の難病「ポンペ病」。娘と息子がこの病気に苦しむビジネスマンが研究者とベンチャー企業を立ち上げ、治療薬開発に挑む実話をもとにした米映画「小さな命が呼ぶとき」(ソニー・ピクチャーズ配給)が公開されている。国内の患者・家族や研究者は、患者の少ないこの病気にもっと光が当たり、社会の理解や医療が進むのを期待している。
ポンペ病は、体内のグリコーゲン(糖)を分解する酵素の一つが生まれつき出ないか、少ないために起きる。酵素の不足で、分解が行われる細胞内の器官に老廃物がたまり、周囲の筋肉の働きを悪くする。患者は4万人に1人程度とされる。
3つの型のうち、生後数カ月以内に発症する「乳児型」は心臓が肥大し、治療しないと1~2歳で亡くなることが多い。遅れて発症する「小児型」や成人以降の「成人型」も、筋力や呼吸機能などが徐々に低下する。
映画でハリソン・フォード演じる研究者が薬の開発に取り組むのが、酵素を患者の体内に入れる「酵素補充療法」。現在は実用化され、薬剤を2週間に1度、点滴で投与する方法が平成19年から日本でも始まった。
北海道旭川市の吉田彩芽君(10)は国内で治療を受けた六十数人の1人。乳児期から筋力が弱く、5歳でポンペ病と診断、7歳から補充療法を続けている。
「(以前は)運動会の競走で歩いていたけれど、走れるようになってうれしい。おはしも持てるようになった」と彩芽君。映画の試写を見た母の香澄さん(33)も薬の早期承認を国に陳情した活動などを振り返り、「主人公(のビジネスマン)の気持ちを自分のことのようにとらえて見させてもらった」と話す。
映画で日本語字幕を監修した衛藤義勝・慈恵医大教授は、リハビリや人工呼吸器の装着など補助的手段しかなかった治療が補充療法で大きく変わったとしたうえで、「できるだけ早期にこの病気と診断し、治療を始めることが重要」と強調する。補充療法の効果は乳児型が最も大きいとされ、台湾では新生児対象のスクリーニング検査が始まっているという。
酵素がより筋肉に取り込まれやすいようにした薬や、酵素をつくる遺伝子を体内に入れる遺伝子治療の研究も進んでおり衛藤教授は「治療が一度で済む時代がやがて来るだろう」と期待する。
◆参考:日本ボンベ病研究会
http://www.japan-soc-pompe-d.jp/index.html
◆厚生労働省難治性疾患事業
http://www.japan-lsd-mhlw.jp/lsd_doctors/pompe.html
12.隠れ塩分にご用心-米は食生活ガイドラインを強化へ
THE WALL STREET JOUNAL2010年8月4日
米国では成人の90%近くが、食生活ガイドライン以上の塩分を摂取している。しかも、新たなガイドラインはさらに厳しくなる見通しだ。
塩の主成分であるナトリウムの取りすぎは、心臓疾患など健康上の問題を引き起こしかねない高血圧につながる恐れがある。ただ、塩分は隠れていることも多いことなどから、減らすのが難しい。摂取量の4分の3以上が加工食品や外食によるものだ。その上、口にする食品中のナトリウムが必ずしもしょっぱいとは限らない。食パンや鶏肉料理がその例だ。
米国人はこれまでもっぱら、肥満と戦うために砂糖を減らし、心臓を守るために脂肪を減らそうと努めてきた。当局は40年にわたり減塩を訴えてもうまくいかず、摂取量が増える一方だったため、対策の強化に乗り出した。
政府は年内に新たなガイドラインを発表する予定。諮問委員会は最近、成人は1日当たりのナトリウム摂取量を1500ミリグラムに抑えるべきだと勧告した。食卓塩に換算するとティースプーン約3分の2さじに当たる。従来は一部の人について2300ミリグラムとしていた上限を引き下げた形だが、多くの人にとって変わりはない。5年ごとに改訂されるガイドラインが現在1500ミリグラムを上限としているのは、高血圧の人や高血圧のリスクが高い40歳以上の人とアフリカ系市民だ。このグループは全成人の約70%を占める。
疾病管理予防センターの最近の調査によると、成人の現在のナトリウム摂取量は平均3400ミリグラム以上(料理に使ったり食卓で振りかける塩は含まない)と、大半の人が推奨量の2倍を上回る。中年男性の平均摂取量は1970年代初頭を約54%上回っている。女性の摂取量は67%増えた。
塩を減らすには、加工食品や外食を減らし、新鮮な食品を食べ、食事自体の量を減らすのがベストだ。栄養士はパンでなく穀物をそのまま食べることを勧めている。袋入りのパン1枚には150~200ミリグラムないしそれ以上のナトリウムが含まれていると考えられる。少しずつ減らし、塩分控えめの味に舌を慣らすことだ。
それでも加工食品を買う場合は、1食分当たりのナトリウム含有量が300ミリグラム未満、あるいは食品1キロカロリー当たりのナトリウム量が1ミリグラム以下の商品を探すようハーバード公衆衛生大学院は勧めている。
ここ数年、脂肪を減らすことに集中するあまり、健康に良さそうな食品に大量のナトリウムが含まれる可能性に気づかない消費者が多いかもしれない。たとえばクラフト・フーズのドレッシング「フリー・ゼスティー・イタリアン」2さじのカロリーはたった15キロカロリーだが、ナトリウムは480ミリグラムだ。これに対し、普通の「ゼスティー・イタリアン」なら、カロリーは60キロカロリーあるが、ナトリウムは310ミリグラム。クラフトのスポークスマンは同社が年内にドレッシング20品目以上のナトリウムを減らす計画だと述べた。
ナトリウムの量はブランドによってかなり違うことがあるため、ラベルをよくチェックすることだ。ユダヤ教の戒律に従って調理したり、海塩で味付けしたがるシェフも多いが、科学者によるとこうした食品のナトリウム含有量は普通の食卓塩と大差ない。
食品メーカーにとってナトリウムを減らすのは頭の痛い問題だ。ナトリウムを使えば、多額の費用をかけずに風味を増せるだけでなく、保存できる期間も長くなる。
ただ、政府の圧力や消費者の懸念を受け、塩を減らしている食品メーカーもある。消費者が気づかないほどゆっくりと、徐々に減らす企業もあれば、減塩をうたい文句にした商品ラインを立ち上げている会社もある。また、細かくひいて舌のより多くの部分に当たるようにしているメーカーもある。ペプシコはスナック菓子用に、食べる時にナトリウム摂取量が減るような形と大きさの結晶の塩を開発中だ。
一方、塩の業界団体ソルト・インスティテュートは、食生活におけるナトリウムに関する指針を強化することに反対だ。より広範な調査が必要であり、ナトリウム不足は健康を害すると訴えている。
しかし、医療専門家の大半は、調査によって高塩分のリスクが示されたため、全国的なガイドラインは当然だと語っている。ジョンズ・ホプキンス大学のローレンス・アッペル教授は米国の50歳以上の成人90%が高血圧になる可能性があるとの考えを示した。全米心臓協会は、全成人に対するナトリウム摂取量1500ミリグラムの制限を支持している。
ただ、塩を減らせとのかけ声だけでは足りないかもしれない。食品医薬品局(FDA)は食品中に認められるナトリウムの量を制限することを規制すべきか否か検討中だ。ただ、スポークスマンの電子メールによると、最終決定はまだ下されていない。
ニューヨーク市保健精神衛生局は、クラフト、ハインツ、スターバックス、サブウェイなど16社と、自発的な減塩イニシアチブに関する契約を結んだ。14年までに塩分摂取量を20%減らすのが目標だ。
13.認知症抑制にサプリメント
脳血流を増やし周辺症状を改善するとの報告も
日経メディカル2010年8月4日
ドネペジルのほかに治療薬がない認知症。最近、フェルラ酸などを含むサプリメントが、その進行を抑制するとして注目を集めている。だが、エビデンスや安全性に疑問を投げ掛ける声もある。
フェルガードを摂取した患者12人のSPECTの結果を、SPM(statistic parametric mapping)で解析したもの。赤色は血流量が摂取前に比べて有意に増加していることを示す。
フェルラ酸とセイヨウトウキの根抽出物を混合したサプリメント(商品名フェルガード)の摂取で、せん妄や異常行動など、認知症に伴う周辺症状が改善─。このような研究結果を、6月26日の日本老年医学会学術集会で、東京医大八王子医療センター老年科部長の金谷潔史氏が発表した。
せん妄や異常行動が改善
金谷氏はアルツハイマー病患者20人とレビー小体型認知症患者4人の計24人を対象に、観察期間4カ月の無作為化クロスオーバー試験を実施。フェルガード摂取群と非摂取群に分けて経過を観察した。患者の精神症状と介護の負担度(NPI-D)を評価し、認知機能検査、うつスケールの測定、脳血流シンチグラフィー(SPECT)なども行った。
その結果、フェルガードの摂取により、認知機能には変化がなかったが、精神症状と介護の負担度が改善。また、SPECTでは、右後頭葉と左小脳半球に脳血流量の増加が認められた(写真1)。これらの結果は、7月に米国で開かれる国際アルツハイマー病会議でも発表する予定だ。
金谷氏は、脳血管性認知症に周辺症状を合併した患者でも、症状の改善を認めたケースを経験。「興奮や妄想が強く、家族も困り果てていた患者が、投与後は異常行動、易刺激性、妄想、脱抑制、興奮などが劇的に改善し、介護負担度も低下した」(同氏)という。
フェルラ酸は、米ぬかや小麦のふすまなどから抽出されるポリフェノールの一種だ。抗酸化作用のほか、神経保護効果を有するなどの報告もあり、アルツハイマー病に対しても何らかの効果があると期待されている。もう一つのセイヨウトウキはセリ科シシウド属の植物。アセチルコリン分解酵素を阻害するとされる成分(クマリン類)が含まれており、海外ではハーブや生薬として利用されている。
国内では08年、フェルラ酸とセイヨウトウキ根抽出物の別の混合サプリメント(商品名ANM176顆粒、アルチーマ-J)を143人のアルツハイマー病患者が9カ月間摂取する臨床試験が行われた。その結果、軽症であるほど認知障害が悪化しないという結果が得られている(図1)。同試験をまとめた洛和会音羽病院神経内科の中村重信氏は、「今後は軽症患者を対象とした二重盲検比較試験でも検討したい」と話す。
軽症の患者ほど、認知機能(ADAS-Jcog:アルツハイマー病用心理テスト)が低下しにくい傾向にあった。
(出典:Geriatric Medicine 2008; 46: 1511-9.)
DHA摂取にも効果か
現在、アルツハイマー病の治療薬として承認されているのはドネペジルのみ。東北大老年科教授の荒井啓行氏は、「現状では、患者が自覚するほどにまで物忘れの症状が改善する、といった治療法はなく、現在の認知症治療薬に対する患者満足度はまだまだ低い」と話す。そのような背景から、ほかの選択肢を待ち望む声も多い。治療薬にとどまらず、サプリメントなどで認知症の進行抑制や発症予防を図れないかと、多くの施設で研究が行われている。
島根大環境生理学講座准教授の橋本道男氏らは、65歳以上の健常者108人を対象に、魚油成分であるDHA1700mg、EPA400mgを添加した食品を毎日摂取した群と、オリーブ油を添加した食品を摂取した対照群とで、認知機能を比較した。半年後、DHA強化群で認知機能が改善したと同時に、赤血球膜中のDHA濃度が上昇。DHA濃度と認知機能には相関性が認められた(図2)。
認知機能の変化(介入6カ月後の前頭葉機能検査[FAB]の値から介入前の値を引いたもの)と赤血球膜中のDHA濃度に相関関係が認められた。
「加齢により脳内の脂肪酸量は減少するが、特にDHA量の減少は顕著だ。アルツハイマー病患者は、海馬のDHA量が極端に少ないともいわれている。DHAの摂取により、認知機能の低下を抑制できる可能性がある」と橋本氏は話す。
RCTで否定されたサプリも
しかし、これらのサプリメントの有効性は、患者を対象としたプラセボ対照無作為化比較試験(RCT)で実証されたわけではなく、認知症への効果があると結論付けるのは早計だ。かつて認知機能の低下を抑制すると期待され、広く用いられているイチョウ葉抽出物については、米国でThe Ginkgo Evaluation of Memory(GEM)Studyという大規模臨床試験が行われたが、08年には否定的な結果が報告された。
同試験では、75歳以上の高齢者約3000人を無作為に2群に分け、一方のグループはイチョウ葉抽出物120mgを1日2回、もう一方のグループはプラセボを摂取し、平均6年間追跡した。その結果、イチョウ葉抽出物を長期に摂取しても、認知症全般やアルツハイマー病の発症率には影響しないことが示された。
ただ、筑波大精神神経科講師の久永明人氏は、「同試験は、既にβアミロイドの凝集が進行していたと考えられる高齢者が対象者であったため、介入効果が表れにくかった可能性もある」と分析する。
一方、医薬品に匹敵する効果があるとすれば、それ相応の副作用も生じ得るのではないか、という懸念もある。サプリメントは、食品衛生法で定める食品の範疇に含まれる。効果・効能の表記は禁じられているが、一方で安全性を改めて検討する義務は課されない。久永氏は「抽出・精製された成分は、厳密には食品と同等でないため、長期に投与した場合の安全性についても確認できることが望ましい」と話す。荒井氏も、「生薬成分を含むサプリメントなどについては、たとえ医薬品とは異なるとしても、安全性の担保が必要だろう」と話している。
14.血糖センサー付インスリンポンプ、1型糖尿病患者の血糖コントロール有意に改善
CareNet2010年8月4日
近年、1型糖尿病患者向けにインスリン治療器具が様々に開発され、従来の注射療法に代わる、小型携帯型24時間自動注入可能なインスリンポンプ、さらには血糖センサー付インスリンポンプが登場した。本論は、米国ミネアポリスにあるPark Nicollet国際糖尿病センターのRichard M. Bergenstal氏ら「STAR 3」研究グループが、最新の血糖センサー付インスリンポンプについて、従来の注射療法との有効性を比較した1年にわたる多施設共同無作為化試験結果の報告で、小児、成人とも有意に血糖コントロールが改善し、目標血糖値達成割合も高かったという。これまでも、インスリンポンプが注射療法よりも有効であることは明らかにされていたが、小児については結果にバラつきがあった。NEJM誌2010年7月22日号(オンライン版2010年6月29日号)掲載より。
成人329例、小児156例を、最新ポンプ療法群と従来注射療法群に無作為化
試験は、1型糖尿病で血糖コントロール不良の、成人(19~70歳)329例と小児(7~18歳)156例の計485例を、血糖センサー付インスリンポンプで治療する群(ポンプ療法群、成人166例、小児78例)と、1日複数回の注射療法群(成人163例、小児78例)とに無作為化して行われた。
主要エンドポイントは、追跡1年時点の血糖値(HbA1c)の、ベースラインからの変化。患者は、遺伝子組み換え型インスリンアナログ製剤を投与され、専門家医療チームが管理指導にあたった。
1年時点の血糖値低下、7%未満達成割合ともにポンプ療法群に軍配
ベースラインでの両群の平均HbA1c値はともに、8.3%だった。
1年時点で、その値は、ポンプ療法群は7.5%と、注射療法群の8.1%よりも有意に低下していた(P<0.001)。
<7%目標達成患者の割合は、注射療法群よりもポンプ療法群で大きかった(27%対10%、P<0.001)。
重症低血糖発生は、ポンプ療法群は100人・年につき13.31例、注射療法群は100人・年につき13.48例で、有意差は認められなかった(P=0.58)。また、両群とも体重増加はみられなかった。
Bergenstal RM et al. Effectiveness of Sensor-Augmented Insulin-Pump Therapy in Type 1 Diabetes. N Engl J Med. 2010 Jul 22;363(4):311-320. Epub 2010 Jun 29.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20587585
15.膝前十字靱帯断裂の急性期は、まずリハビリを
CareNet2010年8月4日
米国では毎年20万件以上の膝前十字靱帯(ACL)再建手術が行われ、直接医療費は約30億ドルに上ると推計されるが、ACL再建が他の治療に比べて優れているとのエビデンスは、質の高い無作為化試験によっても明らかにはなっていない。ACL断裂は、若年者の活動性に重大な損傷をもたらすため、特にスポーツ愛好者・選手は、スポーツ再開を望み断裂修復こそが最良であるとみなし手術を受けるが、治療の中心はあくまで保存療法(体系的リハビリテーション)である。ただし現状では必ずしもリハビリは行われていない。そこで、スウェーデンのランド大学臨床科学整形学部門のRichard B. Frobell氏らは、ACL断裂の至適な治療戦略に関する検討を行った。NEJM誌2010年7月22日号掲載より。
リハビリ+早期ACL再建 vs.リハビリ+必要に応じたACL再建
Frobell氏らが検討した治療戦略は、体系的リハビリテーション+早期ACL再建(早期再建術群)と、体系的リハビリテーション+必要に応じて行うACL再建(待機的再建術群)の2つで、無作為化試験にて行われた。
対象は急性期のACL断裂を有した活動的な若年者121例。
主要アウトカムは、ベースラインから2年時点までの、KOOS(Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score)の、4つのサブスケール(疼痛、症状、スポーツ・レクリエーション時の機能、膝に関係するQOL)の平均スコア(0~100;点が高いほど良好)の変化とした。
副次アウトカムには、KOOSのサブスケール5つすべて(前述+ADL機能)、SF-36健康調査票の結果、Tegner Activity Scaleスコアを含んだ。
2年時の主要アウトカムの差は0.2ポイント
早期再建術群に割り付けられた被験者62例のうち、1例は手術を受けなかった。一方、待機的再建術群に割り付けられた被験者59例は、手術を受けたのは23例で、36例はリハビリテーションのみで手術は必要としなかった。
KOOS(4)の平均スコアの変化は、2年時点で、早期再建術群が39.2ポイント、待機的再建術群が39.4ポイントで、両群の絶対差は0.2ポイント(95%信頼区間:-6.5~6.8、P=0.96)だった。
副次アウトカムについても、両群治療戦略間に有意な違いは認められなかった。有害事象は両群で同等に認められた。実際に行われた治療に基づき分析した結果も同様だった。
これらからFrobell氏は、「ACL断裂を有した活動的な若年者では、リハビリ+早期ACL再建術の治療戦略が、リハビリ+必要に応じたACL再建術の治療戦略と比べ、優れているとは認められなかった。また後者の治療戦略を取ることで、再建手術がかなり減った」と結論している。
Frobell RB et al. A randomized trial of treatment for acute anterior cruciate ligament tears. N Engl J Med. 2010 Jul 22;363(4):331-42.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20660401
16.カルシウム補給、心筋梗塞リスク上昇と関連、メタアナリシス
文献:Bolland MJ et al. Effect of calcium supplements on risk of myocardial infarction and cardiovascular events: meta-analysis. BMJ. 2010;341:c3691
カルシウム補給と心血管イベントリスクの関連を無作為化プラセボ対照試験のメタアナリシスで調査。プラセボ群に比べカルシウム補給群で心筋梗塞リスクの有意な上昇が見られ、脳卒中・死亡などのリスク上昇は有意ではなかった。著者らは、骨粗鬆症治療におけるカルシウム補給の役割を見直す必要があると指摘している。
http://www.bmj.com/cgi/content/abstract/341/jul29_1/c3691
17.学校ベースの介入、小児の2型糖尿病リスクに有効?
文献:The HEALTHY Study Group. A School-Based Intervention for Diabetes Risk Reduction. NEJM. 2010;363:443-453
42の学校(参加児童数4603名)を対象に、糖尿病リスク因子に対処する学校ベースの多面的介入の効果をクラスター無作為化比較試験で検討。介入群で評価のみ実施した対照群に比べ、主要評価項目とした過体重・肥満の複合有病率の低下に有意差は見られなかったものの、脂肪蓄積の各指標では有意な低下を認めた。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1001933
18.去勢抵抗性前立腺癌への細胞免疫療法、生存期間を4.1カ月延長
文献:Kantoff PW et al. Sipuleucel-T Immunotherapy for Castration-Resistant Prostate Cancer. NEJM. 2010; 363:411-422
sipuleucel-T免疫療法の転移性去勢抵抗性前立腺癌に対する有効性を多施設二重盲検プラセボ対照第3相試験で検討。sipuleucel-T群(341名)ではプラセボ群(171名)に比べ死亡リスクが22%低下し、生存期間中央値が4.1カ月改善した(25.8カ月対21.7カ月)。無増悪生存期間は両群で同程度だった。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1001294
19.院外心停止に対する胸骨圧迫単独CPR、標準的CPRと生存率に有意差なし
文献:Svensson L et al. Compression-Only CPR or Standard CPR in Out-of-Hospital Cardiac Arrest. NEJM. 2010; 363:434-442
救急隊の到着まで電話で指示する心肺蘇生(CPR)に関して、院外心停止者1276名を対象に、換気を併用する標準的CPRに対する胸骨圧迫単独CPRの優越性を前向き無作為化試験で検討。主要評価項目の30日生存率は、胸骨圧迫単独群8.7%、標準的CPR群7.0%であり、両群に有意差は見られなかった。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0908991
20.Vitamin B May Not Guard Against Second Stroke, Heart Attack
Jury still out on the vascular benefits of supplementation, experts say
HealthDay News2010年8月3日
Stroke patients who take vitamin B supplements to lower their homocysteine levels may not be protected from second strokes or heart attacks, a new study finds.
Earlier studies found an association between homocysteine, an amino acid, in the blood, and an increased risk for stroke and heart attack. Vitamin B supplements lower homocysteine levels, but whether this really has an effect on stroke and heart attack risk has been unclear, the Australian researchers noted.
"B vitamins are safe, but they were not, statistically, significantly more effective than placebo in preventing major vascular events among stroke and TIA [transient ischemic attack] patients," said lead researcher Dr. Graeme J. Hankey, head of the stroke unit at Royal Perth Hospital in Western Australia. "B vitamins have not been proven to have a role in secondary stroke prevention."
The report is published in the Aug. 4 online edition of The Lancet Neurology, and will appear in the September print issue of the journal.
For the study, Hankey and his colleagues in the Vitamins to Prevent Stroke (VITATOPS) trial tested whether lowering homocysteine with a combination of folic acid, vitamin B6 and vitamin B12 would lower the risk of a second stroke or heart attack in patients who had a recent stroke or transient ischemic attack.
In the trial, 8,164 patients were randomly assigned to daily doses of either B vitamins or a placebo in addition to standard care.
Over 3.4 years of follow-up, the researchers found the vitamins were no more effective than placebo. In all, 15 percent of the people taking B vitamins had a second stroke, heart attack or died, compared with 17 percent of those receiving placebo. B vitamins did, however, lower homocysteine levels.
People taking the vitamins had no adverse reactions and the vitamins were well-tolerated, the researchers noted.
Despite these findings, Hankey isn't sure that B vitamins don't work. "Our study may well have been underpowered statistically," he said.
Had the trial gone on longer, a "significant treatment effect may have emerged, and has thus been missed in our study," Hankey added.
"I don't think it is the end of the road for B vitamins in stroke prevention. We need to see the effect of B vitamins in the three other ongoing trials, particularly in patients who have been treated for several years, and particularly in patients with stroke caused by small vessel intracranial disease," he added.
Dr. Larry B. Goldstein, director of the Duke Stroke Center at Duke University Medical Center, agreed that the question of whether or not B vitamins lower the risk of a second stroke or heart attack was not answered fully by this trial.
"High homocysteine is associated with both stroke and coronary heart disease. Homocysteine can be lowered with B-complex vitamin supplements, but whether doing so lowers the risk of vascular events is uncertain," Goldstein said.
Earlier studies found no benefit of homocysteine lowering in subjects with coronary heart disease or renal failure. "The VISP trial, conducted in North America, found no benefit of B-vitamin treatment in subjects with prior stroke, but had several important methodological limitations," Goldstein added.
This new report also finds no benefit of treatment with B-complex vitamins in patients with stroke or TIA, but the adverse event rates in both the treatment and placebo groups were lower than anticipated, he pointed out.
"A benefit by as much as an 18 percent reduction in risk remains possible," Goldstein said. "Treatment with B vitamins appeared safe, and the results of other ongoing trials should help more definitively answer the question."
21.Patients With Hepatitis B May Face Greater Risk of Blood Cancer
Study finds twice the risk of non-Hodgkin lymphoma
HealthDay News2010年8月3日
People with hepatitis B infection have about twice the risk of developing non-Hodgkin lymphoma, finds a new study.
Previous research has established that hepatitis C infection is linked with increased risk of non-Hodgkin lymphoma (NHL), but only small studies have been conducted on hepatitis B and NHL.
It's believed that liver infection caused by hepatitis results in sustained immune system activation that may trigger lymphocytes (white blood cells that are part of the immune system) to develop DNA mutations that can lead to NHL.
This study, published online Aug. 4 in The Lancet Oncology, included people in South Korea, where hepatitis B (HBV) was endemic until 1995 when the country began vaccination of all newborns. However, HBV infection remains common in adults because of infections acquired in childhood.
The researchers analyzed data from the Korean Cancer Prevention Study and found that 53,045 -- or 9 percent -- of 603,585 participants tested positive for HBV at baseline. During 14 years of follow-up, NHL was diagnosed in 133 people with HBV infection and 905 people who were HBV-negative.
The incidence of NHL was 19.4 per 100,000 person-years among those with HBV infection and 12.3 in those who were HBV-negative.
The American and South Korean researchers also found that people with HBV infection were nearly four times more likely to develop a rare condition called malignant immunoproliferation, a collection of immune disorders related to NHL.
"In this large cohort study of health workers and their families in South Korea, we documented an excess risk of NHL in people infected with HBV ... Additional research is needed to clarify whether the association between HBV infection and NHL is causal," the researchers wrote in a news release from the journal publisher.
"For HCV-infected patients with low-grade NHL [especially marginal zone lymphomas], HCV treatment seems effective for hematological remission. Thus, we speculate that treatment directed at HBV in similar low-grade NHLs might lead to a clinical response and remove the need for chemotherapy. Further investigation in appropriate clinical series will be important," they conclude
22.プレスリリース
1) COPD治療薬として「インダカテロールマレイン酸塩」を日本で承認申請
慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として「インダカテロールマレイン酸塩」を日本で承認申請
ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:三谷 宏幸)は、7月30日、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として、長時間作用性吸入気管支拡張剤である「インダカテロールマレイン酸塩(一般名、以下:インダカテロール)」(開発コード:QAB149)の製造販売承認申請を行いました。
インダカテロールは、吸入5分後から気管支拡張効果が発現し、1日1回の吸入で呼吸機能改善効果が24時間持続することが示された新しい長時間作用性β2刺激剤です。COPD患者を対象とした国内外の臨床試験結果から、インダカテロールは、1日1回の吸入で、優れた呼吸機能の改善効果を示しました。さらに、日常生活の活動度が改善するといったQOLの向上が認められ、良好な安全性も確認されたことから、臨床的に有用な薬剤であることが示唆されました。インダカテロールは、即効性と持続性の両特性を兼ね備えた新しい気管支拡張剤となる可能性があります。
COPDは、たばこの煙などの有害物質を長期間にわたり吸入することで発症する肺の慢性疾患です。気管支や肺の慢性的な閉塞症状をきたし、主な症状は、咳、痰や息切れなどで、その症状は徐々に進行して肺の機能が失われ、呼吸不全を起こす命にかかわる病気です。
厚生労働省の2008年の患者調査によると、医療機関でCOPDと診断された患者数は17万3000人ですが1、2000年に実施された疫学調査によるとCOPD患者数は約530万人と推定されており2、多くの潜在患者がいることが示唆されています。また、喫煙率が高く、喫煙開始年齢が若年化している日本では、今後さらに患者数が増えることが懸念されています。
Onbrez(R) Breezhaler(R)の製品名で、欧州連合(EU)、スイス、オーストリアをはじめ世界30カ国以上で承認されている(2010年7月現在)インダカテロールは、有効性、安全性、および1日1回投与という利便性の面から有用な薬剤であり、今後日本でも、COPDの治療において重要な選択肢の一つとなるものと期待しています。
1.7件の治験省略認める 「ドラッグ・ラグ」解消へ…未承認薬検討会
2.海外普及薬、早期承認…厚労省方針
3.【日本臨床救急医学会】救急認定薬剤師制度の認定試験を12年から実施へ
4.薬用植物の総合DB構築へ‐75品目を対象に選定
5.米成人の27%が肥満、2年前から1%超増える=CDC
6.心疾患、患者本人の弁移植で生存率高まる 英研究
7.デリミートの摂取はぼうこうがんリスクを高める、 米国立がん研究所
8.自分の妊娠を認識しない「妊娠否認」、女性500人に1人?
9.うつ病発症防ぐ脳内分子機能を解明 群大研究グループ
10.手術ロボット:遠隔操作で触覚も伝わる 慶応大が開発
11.「ポンペ病」に理解を 米映画公開を機に関係者期待
12.隠れ塩分にご用心-米は食生活ガイドラインを強化へ
13.認知症抑制にサプリメント
14.血糖センサー付インスリンポンプ、1型糖尿病患者の血糖コントロール有意に改善
15.膝前十字靱帯断裂の急性期は、まずリハビリを
16.カルシウム補給、心筋梗塞リスク上昇と関連、メタアナリシス
17.学校ベースの介入、小児の2型糖尿病リスクに有効?
18.去勢抵抗性前立腺癌への細胞免疫療法、生存期間を4.1カ月延長
19.院外心停止に対する胸骨圧迫単独CPR、標準的CPRと生存率に有意差なし
20.Vitamin B May Not Guard Against Second Stroke, Heart Attack
21.Patients With Hepatitis B May Face Greater Risk of Blood Cancer
22.プレスリリース
1) COPD治療薬として「インダカテロールマレイン酸塩」を日本で承認申請
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1.7件の治験省略認める 「ドラッグ・ラグ」解消へ…未承認薬検討会
産経新聞社2010年8月4日
日本国内での医薬品の承認が海外に比べて遅れる「ドラッグ・ラグ」の解消を目指し、患者らから要望のあった未承認薬などの「医療上の必要性」を検討してきた厚生労働省の検討会が3日開かれた。血栓塞栓症やがんの治療薬など7件について、国内での治験(臨床試験)を省略して承認期間の短縮が図れる「公知申請」を認めることを決めた。
2月に設置された検討会は患者や学会から承認の要望があった374件の必要性を審議。厚労省は5月、検討会で必要性が認められた108件について、国内での販売に向けた準備に入るよう製薬企業に要請している。
この日の検討会は承認手続きについても踏み込んで検証。国内外の使用状況や製薬会社の意見もふまえ、7件の公知申請を認めた。
公知申請は、すでに海外で使われていたり、国内の臨床試験で治療実績のある医薬品について、治験を省略して治療データや論文などで承認申請ができる方法。
通常、治験には3~7年、承認申請から販売までは1~2年かかるとされるが、時間を要する治験の省略により、承認までの期間が大幅に短縮される。今回、公知申請が認められた7件について厚労省は「早ければ来春にも承認される」としている。公的医療保険の適用は来年の夏ごろになるとみられる。
検討会ではさらに、慢性リンパ性白血病や筋無力症候群による筋力低下の改善薬など20件が新たに医療上の必要性が高い医薬品として選定された。要望のあった374品目のうち、検討が残っているのは102品目。厚労省は秋をめどに審議を終え、11月下旬には製薬会社への2度目の要請を実施する方針。
【ドラッグ・ラグ】
外国で新薬が発売されてから、日本で発売されるまでにかかる時間差(タイムラグ)。日本製薬工業協会によると外国で新薬が発売されてから、日本で発売されるまでに平均4.7年がかかる。米国(1.2年)の場合と比べて、約4倍の期間が必要とされる。
(1)海外ではほとんど下がらない特許期間中の新薬の価格が2年に1度の改定で引き下げられてきた(2)欧米に比べて審査態勢が整っていない(3)治験に参加する人が集まりにくい-などが原因とされる。
2.海外普及薬、早期承認…厚労省方針
読売新聞社2010年8月4日
5種類 治験省き来春にも
海外で広く使われている薬が日本で未承認だったり、一部の病気への使用に限られていたりする「ドラッグ・ラグ」を解消するため、厚生労働省検討会議は3日、卵巣がん治療薬など5種類の適応拡大を認め、国内の臨床試験(治験)を省略して早期に承認すべきだと判断した。早ければ来春にも使えるようになる。
検討会議は今年4月、患者団体や学会から要望があった計374件のうち、109件を「医療上の必要性が高い」と判断。うち108件について、厚労省は5月、製薬企業に開発スケジュールやこれまでの治験データなどの資料提出を求めた。
資料を検討した結果、省略できると判断されたのは、対象疾患3件への適応拡大が認められた「エンドキサン」や、肺がん治療などに使われる抗がん剤で患者団体が要望していた「ジェムザール」の卵巣がんへの適応など5種7件にとどまった。製薬企業は11月までに承認申請を提出する。
日本製薬工業協会によると、海外で初めて発売された新薬が日本で発売されるまで平均4・7年かかる。米国は同1・2年。特に、患者数が少ない難病治療薬は、臨床試験のコストが高く、開発が遅れがちとなっている。
患者から喜びの声
「亡くなった仲間に報告を」
海外で承認されている薬が日本では使えない「ドラッグ・ラグ」問題。厚生労働省の新制度で、「必要性が高い」とされ、検討対象となった108件のうち7件の「適応拡大」が事実上決まった3日、待ちわびた患者から喜びの声が上がった。一方、対象の薬が「先送り」になった患者から落胆の声が漏れた。〈本文記事1面〉
「この薬を使えずに亡くなった仲間もいる。やっと良い報告ができる」。厚労省の検討会議が開かれた会場で結果を待っていた「卵巣がん体験者の会スマイリー」代表の片木美穂さん(36)(東京都三鷹市)はしみじみと語った。対象の薬はジェムザール。肺がんなど5種類のがんで承認されているが、年に約9000人が発症するとされる卵巣がんでは適応外だった。
片木さんも2004年に卵巣がんが見つかった。承認済みの抗がん剤は治療効果があったが、「抗がん剤は使用を続けると効果が薄くなる。一つでも多くの種類が必要」との思いから、06年、ジェムザールの早期承認を求める活動を始めた。
片木さんは「もっと素早く対応しなければ助からない命もある」とも話した。
この日は、乳幼児期から発熱を繰り返し、関節が痛んで歩行困難になる難病「クリオピリン関連周期性発熱症候群」の未承認薬への対応も協議された。
国内の推定患者数50人とまれな病気で、効果が期待できる薬が少ない。しかし米国では、炎症を抑えて症状を改善する2種の新薬が08、09年に認められている。このうち1種については開発を担う製薬会社が現れず、もう1種は通常の国内での臨床試験が始まっており、今回は見送りになった。
次女(5)がこの病気を患う戸根川理登さん(38)(横浜市)は「患者数が少ない小児難病の薬は、利益も少ないため製薬会社が臨床試験を実施したがらない。海外で有効性が確認された薬をもっと早く使える制度を作ってほしい」と話した。
3.【日本臨床救急医学会】救急認定薬剤師制度の認定試験を12年から実施へ
薬事日報社2010年8月4日
日本臨床救急医学会は、「救急認定薬剤師制度」の概要を学会Webサイトで公表した。認定の取得には、学会が実施する認定試験に合格することや、救急領域における2年以上の実務経験などが必要。今後、細部の規定を検討して決め、2012年に第1回目の認定試験を実施する計画だ。試験実施に向け、来春には、救急領域における薬剤師の業務内容をまとめた書籍の発刊を予定している。
公表された認定資格の骨子は次の通り。
[1]日本の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格及び救急治療における薬物療法に関する見識を備えていること
[2]薬剤師としての実務経験を5年以上有し、かつ救急治療における薬物療法に2年以上従事していること
[3]日本臨床救急医学会の正会員であり会員歴が2年以上あること
[4]日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師、日本医療薬学会認定薬剤師、薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師、あるいは日本臨床薬理学会認定薬剤師であること
[5]医療機関において、救急治療における薬物療法に関する業務を通じて患者の治療に自ら参加した25例以上の症例を報告できること
[6]申請時において、ICLSコース受講もしくはBLS/AEDコース指導経験があること
[7]研修委員会が指定する学術集会、研究発表などにおいて、別に定める単位数を履修していること
試験の実施時期や場所などが正式に決まっていないため、今回の認定資格骨子には記載されなかったが、認定取得には、学会が実施する認定試験に合格する必要がある。今後、認定の英語名、単位履修を認める学術集会など、細部の規定を検討し、認定制度の全体像を年内に決める計画だ。
救急領域は医師を筆頭にマンパワーが不足しており、多職種が参画するチーム医療の実践が求められている。08年の診療報酬改定で、意識のない患者への薬剤管理指導料の算定が実現したこともあって、ICUやCCU病棟、救命救急センターで、チーム医療に参画する薬剤師が増えてきた。
その業務の標準化や質の向上を支援するのが、認定制度構築の目的。約1年前、医師や薬剤師が委員となって学会内に発足した、「救急認定薬剤師制度検討委員会」が、これまで制度の骨格を話し合ってきた。
4.薬用植物の総合DB構築へ‐75品目を対象に選定
薬事日報社2010年8月4日
厚生労働科学研究費補助金による「漢方薬に使用される薬用植物の総合情報データベース構築のための基盤整備に関する研究」(主任研究者:川原信夫医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター長)が、今年度から3年計画で始まった。研究は70~80品目の薬用植物について、成分、遺伝子、生物活性、官能データ等の情報を、総合的にデータベース化して公開するもの。わが国では初めての試みで、輸入依存度の高い重要生薬の国内栽培振興、貴重な遺伝資源の確保・維持などを図ることが狙いだ。まず今年度は、オウゴン、カンゾウ、ショウキョウ、ソウジュツ、ニンジンの5品目を中心に行われる。
栽培振興や資源確保が狙い
川原氏によれば、薬用植物資源研究センターは既に119品目の薬用植物について、データを取りまとめて公開しているが、生薬や栽培法などの情報が主体で、化学的情報や遺伝子情報が不足しているという。また、このようなデータベースは、富山大学和漢医薬学総合研究所等でも作成されているものの、様々な情報を網羅したデータベースはない。そこで、公的機関として総合的なデータベースを構築し、薬用植物の栽培や研究の振興に役立てようと考えたものだ。
薬用植物データベース作成の目標は、▽漢方薬の品質、有効性、安全性の確保▽日本薬局方収載生薬の高度利用▽国内における効率的増殖法の確立▽薬用植物栽培の振興▽漢方製剤の原料となる遺伝資源の確保・維持▽生物資源を基盤とする研究活動、産業振興への寄与――など。
データベース化される品目は、重要度の高さで選定された。わが国の医療用漢方製剤は約150処方に上るが、そのうち44処方で生産量の約90%を占める。これら最重要処方に配合されている生薬75品目(別掲)が、主要な対象として選び出された。初年度はそのうち、オウゴンなど5品目を中心に、データの収集が進められる。
従来のデータベースには、生データを収めているケースが少ないことから、研究班は構築するデータベースに、種々の測定データを載せていく方針だ。また、生薬は産地等の違いによって、含有成分等にも違いが出てくるため、市場に流通し、かつ今後も供給可能な汎用性の高い生薬を集め、共同研究機関も含め全て共通のサンプルで測定を行うことにしている。
登載される情報は、[1]成分分析データ(薄層クロマトグラフの写真、高速液体クロマトグラフのチャート、NMRによる主要成分の構造情報)[2]遺伝子の識別部位に関する情報、植物組織培養物の効率的増殖法、植物の効率的生産法[3]生物活性情報、副作用情報[4]さく葉標本の画像、生薬の内部形態写真[5]保存種子や種苗特性等の情報[6]官能データ(味、におい、色などを数値化)[7]漢方処方関連(食薬区分やエキス量の情報)――等が想定されている。
研究は、薬用植物資源研究センターが中心になるが、国立医薬品食品衛生研究所、富山大学和漢医薬学総合研究所、金沢大学自然科学研究科、岐阜薬科大学、慶応大学薬学部が一部を分担する。さらに医薬品医療機器総合機構、日本漢方生薬製剤協会、日本生薬連合会、日本試薬協会などの協力も得る。
この研究では、75品目を中心に3年かけてデータベースの作成が行われるが、研究班では44処方以外の漢方処方に配合されている生薬や、その他の日本薬局方収載生薬を含め、全部で168品目をリストアップしている。これら全てをデータベース化することは、1期3年間では無理。そのため川原氏は、「できれば、さらに3年間、継続して研究を進めたい」と述べている。
44処方に配合される重要生薬75品目
アキョウ、イレイセン、オウギ、オウゴン、オウバク、オウレン、オンジ、カッコン、カッセキ、カンキョウ、カンゾウ、キキョウ、キクカ、キジツ、キョウカツ、キョウニン、ケイガイ、ケイヒ、コウジン、コウベイ、コウボク、ゴシツ、ゴシュユ、ゴミン、サイコ、サイシン、サンシシ、サンシュユ、サンショウ、サンソウニン、サンヤク、ジオウ、シャクヤク、シャゼンシ、ショウキョウ、ショウマ、シンイ、セッコウ、センキュウ、ソウジュツ、ソヨウ
ダイオウ、タイソウ、タクシャ、チョウトウコウ、チモ、チョレイ、チンピ、テンマ、トウキ、トウニン、ドクカツ、ニンジン、バクガ、バクモンドウ、ハッカ、ハンゲ、ビャクシ、ビャクジュツ、ブクリョウ、ブシ、ボウイ、ボウショウ、ボウフウ、ボクソク、ボタンピ、ボレイ、マオウ、マシニン、モクツウ、モッコウ、リュウガンニク、リュウコツ、リュウタン、レンギョウ
5.米成人の27%が肥満、2年前から1%超増える=CDC
Reuters2010年8月4日
米疾病対策センター(CDC)は3日、同国成人の26.7%に当たる7200万人以上が肥満であり、割合が2年前から1.1%ポイント増加したとのデータを発表。肥満は「国民の健康を脅かす大きな要因」となっており、着実に悪化していると指摘した。
CDCは、40万人の身長や体重などを集めたデータを分析。その結果、成人の3割が肥満という州が9つあった。2000年には3割を超える州はなかったという。また、肥満の増加率については、人々が自分の身長は高めに、体重は少なめに申告する傾向があるため、実際にはさらに悪い可能性が高いともしている。
CDCのディレクターであるトーマス・フリーデン博士は、声明で「徹底的、包括的かつ継続した取り組みが必要」と指摘。それを怠れば、心臓病や脳卒中、2型糖尿病、一部のがんなど肥満と関連した症状で病気になったり死亡する人が増えるだろうと警告した。
6.心疾患、患者本人の弁移植で生存率高まる 英研究
AFPBB NEWS2010年8月4日
心臓に疾患を持つ患者について、ドナーから提供された動脈弁を移植するよりも、患者本人の心臓の肺動脈弁を大動脈弁に移植する方が、生存率、QOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)ともに高まるとした英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)大による研究結果が2日、発表された。
大動脈弁は、酸素を豊富に含む血液を体内に送り出す働きをもつ。一方、肺動脈弁は血液が肺に到達する前に酸素を取り除く働きをしている。
過去30年あまり、大動脈弁に異常や疾患が認められる患者に対しては、細心かつ基本的な注意を要する大動脈弁の移植手術が行われてきた。
移植用の大動脈弁に人工弁を用いる場合は、頑丈で長持ちする一方、血栓を防ぐための治療が一生続く。また、患者への身体的負担が少ない自身の肺動脈弁や、遺体から摘出した大動脈弁が移植に用いられることもある。
インペリアル・カレッジの研究チームは、人工弁を用いない移植の効果を比較するため、自身の肺動脈弁を移植した患者108人と、ごく最近に死亡したドナーから提供された大動脈弁を移植した患者108人について、移植後の大動脈弁の働きなどを調べた。
その結果、10年後までの死亡者数は、自身の肺動脈弁を移植した「自家移植」の患者群で4人、ドナーの大動脈弁を移植した「同種移植」の患者群で15人のみだった。生存率にすると、「自家移植」群が97%、「同種移植」群が83%となる。
この結果について、研究チームは、患者自身の動脈弁を移植するほうが、はるかに効果が高いとの仮説を裏付けるものだと説明している。
生活の質を測るQOLについても、患者本人の弁を大動脈弁に「自家移植」する「ロス手術」で高い改善率がみられたという。
この理由について、研究チームは、移植された組織も本人のものであるため、体が順応しやすいためではないかと推測している。
7.デリミートの摂取はぼうこうがんリスクを高める、 米国立がん研究所
AFPBB NEWS2010年8月4日
赤身肉の摂取と心疾患やすい臓がんなどのがんリスクとの関連は、これまでも指摘されてきたが、デリミートなど加工肉製品の摂取はぼうこうがんリスクを高めるとした米国立がん研究所(US National Cancer Institute)による研究結果がこのほど、医学誌「Cancer」に掲載された。
米国立がん研究所は、米国8つの州に住む50歳から71歳までの男女3万人を8年間、追跡調査し、赤身肉に含まれる硝酸塩や亜硝酸塩などの摂取と、がん発症率との関連を調べた。その結果、調査期間中に854人がぼうこうがんと診断されたという。
硝酸塩や亜硝酸塩の摂取が少ない対象群と比較して、肉類以外の食品からも亜硝酸塩を摂取していた対象群とデリミートなど加工肉製品から多くの硝酸塩を摂取していた対象群では、ぼうこうがんの発症リスクが28~29%も高かった。
この結果から、研究員らはデリミートに保存料や添加物として用いられる硝酸塩や亜硝酸塩が、リスクを高める原因と結論づけた。硝酸塩や亜硝酸塩は、ぼうこうなどの臓器で腫瘍の形成を誘発するNニトロソ化合物の先駆物質だからだ。
一方、ベーコンやハンバーガー、ソーセージ、ステーキなどと、ぼうこうがんとの間には関連性は認められなかったという。
8.自分の妊娠を認識しない「妊娠否認」、女性500人に1人?
AFPBB NEWS2010年8月4日
フランスの村で新生児の遺体8体が見つかった事件で、殺害容疑がかけられている母親(45)の弁護士が主張し、注目されているのが「妊娠否認」と呼ばれる精神症状だ。
この「妊娠否認」は、フランスでは幼児殺害事件の際に弁護側が、責任能力を問えないことを主張するために、これまでにも持ち出されてきた。それは正当だと、ナント(Nantes)にある産婦人科病院の精神科医、ソフィー・マリノプロス(Sophie Marinopoulos)医師は語る。「わたしが知っている限り、子どもを殺すために妊娠しようとする女性はいません。これは精神的症状なのです」
■3種類の妊娠否認
「妊娠否認」を専門家は3種類に分類している。第1の種類は「広汎性否認」と呼ばれるタイプで、米ボストン(Boston)のブリガム婦人科病院(Brigham and Women's Hospital)のローラ・ミラー(Laura Miller)医師によると「感情面の距離だけではなく、意識からして妊娠をまったく認識していない」状態だ。
次が精神病性否認で、時に虐待の結果も含む深刻な精神障害を抱えた女性が、妊娠していることを自分で認めない状態を言う。
3番目の感情的否認は、頭では妊娠していることを理解していても、「妊娠していないように考え、感じ、振る舞い続ける」状態を指す。例えば胎児の健康に悪影響を及ぼすだろうドラッグの中毒に陥っている女性が妊娠すると、罪の意識を和らげようとする心理状態が生まれ、この症状が起こることがある。
すべてに共通して、体重の増加や胸の張りの変化、あるいは陣痛でさえも患者の精神が認めず、現実と異なった解釈をしようとする。
また今回のフランスの容疑者のように、妊娠した女性が過度の肥満だった場合には、パートナーや家族も妊娠に気付きにくい。
■米調査では500人に1人
米ケース・ウエスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)、スーザン・ハッターズ・フリードマン(Susan Hatters Friedman)氏は、英心身医学誌「サイコソマティック・メディシン(Psychosomatic Medicine)」に掲載された研究で、1998~2003年の5年間に同大病院で行われた3万1475件の出産について調査した。
妊娠否認の症状を示しているかどうかは、胎児検診をまったく希望しないことを主要な判断材料とし、そのほかの基準と合わせると合計61例、500人に1人の割合で妊娠否認とみられる女性がいた。
出産するまでまったく妊娠していることに気付かなかったという完全否認の例はもっと少なく、2500人に1人だった。新生児を殺害した例はなかった。また家族や友人に妊娠した事実を意図的に隠すという「妊娠の秘匿」という事例は、20例みられた。ドイツやフランスの調査でも、この米国の調査と同様の数字が現れている。
また米国の調査で予想に反したのは妊娠を否認する女性の人物像で、まだ経済力がなく両親と同居する10代の少女という患者像を裏切り、20代に入り、勤めもしていて、虐待的なパートナーをもったこともない女性のほうが多かった。
妊娠の否認に関するフランスの学会で理事長を務めるフェリックス・ナバロ(Felix Navarro)医師は、「年齢も教育水準も社会的立場も関係なく、さまざまな女性に起こる」症状だと述べている。
9.うつ病発症防ぐ脳内分子機能を解明 群大研究グループ
産経新聞社2010年8月4日
ストレスを受けた際、特定の脳内分子が反応し、うつ病の発症を防ぐ働きをしていることを、群馬大生体調節研究所・的崎尚客員教授らの研究グループが発見し、4日付の米科学誌「ジャーナル オブ ニューロサイエンス」に発表した。既存の抗うつ剤では効果の表れない患者に適応する新たな治療薬開発につながる可能性があるという。
的崎教授によると、外部からのストレスに反応していることが分かったのは「SIRPα」といわれる脳内分子。
研究グループでは、この分子はストレスを受けると細胞内の酵素と結合し、「リン酸化」という化学変化を起こす点に着目。「SIRPα」を取り除いた「ノックアウトマウス(KOマウス)」と通常のマウスのそれぞれに「強制水泳テスト」を行い比較。その結果、KOマウスの脳細胞内では「リン酸化」が起きず、うつ状態を示す無動の時間が増加する結果が出た。
うつ病を発症する仕組みとしてはこれまで、ホルモンや神経伝達物質の機能異常が指摘され、対応した薬物などが治療に用いられてきた。しかし、薬の効かない患者もおり、発病原因は十分に解明されていない。
的崎教授は「『リン酸化』を制御できる方法を考案し、自殺の大きな要因にもなっているうつ病対策につなげたい」としている。
10.手術ロボット:遠隔操作で触覚も伝わる 慶応大が開発
毎日新聞社2010年8月4日
遠隔操作するロボットの「手」を通して触覚が伝わる手術支援ロボットを慶応大が開発し、4日公開した。触覚を伝える手術用ロボットの開発は世界初という。エックス線写真などで発見が難しい場所のがんの触診や、より難度の高い手術が可能になるとしている。
理工学部の大西公平教授と、医学部の森川康英教授らが共同で開発した。
遠隔操作による手術支援ロボットは多くの場合、開腹手術をする代わりに患者の腹部に小さな穴を開けて微小なカメラや器具を挿入し、患部を観察したり腫瘍などを切除する手術に使われている。しかし従来のものは、医師が患部を触る感覚が得られなかった。
新しいロボットは、医師の手の動きに応じて動いたロボットの「手」に当たる鉗子の体内での挙動を、1秒間に1万回という精密な計算で医師側に再現する。これにより、医師は実際に手術器具や患部を触っているような手応えを感じられるという。
大西教授は「医師が直接触れない感染症患者や、デリケートな操作が必要な子宮内の胎児への治療にも応用できる」と話す。
11.「ポンペ病」に理解を 米映画公開を機に関係者期待
産経新聞社2010年8月4日
筋力や心臓の働きが低下する遺伝性の難病「ポンペ病」。娘と息子がこの病気に苦しむビジネスマンが研究者とベンチャー企業を立ち上げ、治療薬開発に挑む実話をもとにした米映画「小さな命が呼ぶとき」(ソニー・ピクチャーズ配給)が公開されている。国内の患者・家族や研究者は、患者の少ないこの病気にもっと光が当たり、社会の理解や医療が進むのを期待している。
ポンペ病は、体内のグリコーゲン(糖)を分解する酵素の一つが生まれつき出ないか、少ないために起きる。酵素の不足で、分解が行われる細胞内の器官に老廃物がたまり、周囲の筋肉の働きを悪くする。患者は4万人に1人程度とされる。
3つの型のうち、生後数カ月以内に発症する「乳児型」は心臓が肥大し、治療しないと1~2歳で亡くなることが多い。遅れて発症する「小児型」や成人以降の「成人型」も、筋力や呼吸機能などが徐々に低下する。
映画でハリソン・フォード演じる研究者が薬の開発に取り組むのが、酵素を患者の体内に入れる「酵素補充療法」。現在は実用化され、薬剤を2週間に1度、点滴で投与する方法が平成19年から日本でも始まった。
北海道旭川市の吉田彩芽君(10)は国内で治療を受けた六十数人の1人。乳児期から筋力が弱く、5歳でポンペ病と診断、7歳から補充療法を続けている。
「(以前は)運動会の競走で歩いていたけれど、走れるようになってうれしい。おはしも持てるようになった」と彩芽君。映画の試写を見た母の香澄さん(33)も薬の早期承認を国に陳情した活動などを振り返り、「主人公(のビジネスマン)の気持ちを自分のことのようにとらえて見させてもらった」と話す。
映画で日本語字幕を監修した衛藤義勝・慈恵医大教授は、リハビリや人工呼吸器の装着など補助的手段しかなかった治療が補充療法で大きく変わったとしたうえで、「できるだけ早期にこの病気と診断し、治療を始めることが重要」と強調する。補充療法の効果は乳児型が最も大きいとされ、台湾では新生児対象のスクリーニング検査が始まっているという。
酵素がより筋肉に取り込まれやすいようにした薬や、酵素をつくる遺伝子を体内に入れる遺伝子治療の研究も進んでおり衛藤教授は「治療が一度で済む時代がやがて来るだろう」と期待する。
◆参考:日本ボンベ病研究会
http://www.japan-soc-pompe-d.jp/index.html
◆厚生労働省難治性疾患事業
http://www.japan-lsd-mhlw.jp/lsd_doctors/pompe.html
12.隠れ塩分にご用心-米は食生活ガイドラインを強化へ
THE WALL STREET JOUNAL2010年8月4日
米国では成人の90%近くが、食生活ガイドライン以上の塩分を摂取している。しかも、新たなガイドラインはさらに厳しくなる見通しだ。
塩の主成分であるナトリウムの取りすぎは、心臓疾患など健康上の問題を引き起こしかねない高血圧につながる恐れがある。ただ、塩分は隠れていることも多いことなどから、減らすのが難しい。摂取量の4分の3以上が加工食品や外食によるものだ。その上、口にする食品中のナトリウムが必ずしもしょっぱいとは限らない。食パンや鶏肉料理がその例だ。
米国人はこれまでもっぱら、肥満と戦うために砂糖を減らし、心臓を守るために脂肪を減らそうと努めてきた。当局は40年にわたり減塩を訴えてもうまくいかず、摂取量が増える一方だったため、対策の強化に乗り出した。
政府は年内に新たなガイドラインを発表する予定。諮問委員会は最近、成人は1日当たりのナトリウム摂取量を1500ミリグラムに抑えるべきだと勧告した。食卓塩に換算するとティースプーン約3分の2さじに当たる。従来は一部の人について2300ミリグラムとしていた上限を引き下げた形だが、多くの人にとって変わりはない。5年ごとに改訂されるガイドラインが現在1500ミリグラムを上限としているのは、高血圧の人や高血圧のリスクが高い40歳以上の人とアフリカ系市民だ。このグループは全成人の約70%を占める。
疾病管理予防センターの最近の調査によると、成人の現在のナトリウム摂取量は平均3400ミリグラム以上(料理に使ったり食卓で振りかける塩は含まない)と、大半の人が推奨量の2倍を上回る。中年男性の平均摂取量は1970年代初頭を約54%上回っている。女性の摂取量は67%増えた。
塩を減らすには、加工食品や外食を減らし、新鮮な食品を食べ、食事自体の量を減らすのがベストだ。栄養士はパンでなく穀物をそのまま食べることを勧めている。袋入りのパン1枚には150~200ミリグラムないしそれ以上のナトリウムが含まれていると考えられる。少しずつ減らし、塩分控えめの味に舌を慣らすことだ。
それでも加工食品を買う場合は、1食分当たりのナトリウム含有量が300ミリグラム未満、あるいは食品1キロカロリー当たりのナトリウム量が1ミリグラム以下の商品を探すようハーバード公衆衛生大学院は勧めている。
ここ数年、脂肪を減らすことに集中するあまり、健康に良さそうな食品に大量のナトリウムが含まれる可能性に気づかない消費者が多いかもしれない。たとえばクラフト・フーズのドレッシング「フリー・ゼスティー・イタリアン」2さじのカロリーはたった15キロカロリーだが、ナトリウムは480ミリグラムだ。これに対し、普通の「ゼスティー・イタリアン」なら、カロリーは60キロカロリーあるが、ナトリウムは310ミリグラム。クラフトのスポークスマンは同社が年内にドレッシング20品目以上のナトリウムを減らす計画だと述べた。
ナトリウムの量はブランドによってかなり違うことがあるため、ラベルをよくチェックすることだ。ユダヤ教の戒律に従って調理したり、海塩で味付けしたがるシェフも多いが、科学者によるとこうした食品のナトリウム含有量は普通の食卓塩と大差ない。
食品メーカーにとってナトリウムを減らすのは頭の痛い問題だ。ナトリウムを使えば、多額の費用をかけずに風味を増せるだけでなく、保存できる期間も長くなる。
ただ、政府の圧力や消費者の懸念を受け、塩を減らしている食品メーカーもある。消費者が気づかないほどゆっくりと、徐々に減らす企業もあれば、減塩をうたい文句にした商品ラインを立ち上げている会社もある。また、細かくひいて舌のより多くの部分に当たるようにしているメーカーもある。ペプシコはスナック菓子用に、食べる時にナトリウム摂取量が減るような形と大きさの結晶の塩を開発中だ。
一方、塩の業界団体ソルト・インスティテュートは、食生活におけるナトリウムに関する指針を強化することに反対だ。より広範な調査が必要であり、ナトリウム不足は健康を害すると訴えている。
しかし、医療専門家の大半は、調査によって高塩分のリスクが示されたため、全国的なガイドラインは当然だと語っている。ジョンズ・ホプキンス大学のローレンス・アッペル教授は米国の50歳以上の成人90%が高血圧になる可能性があるとの考えを示した。全米心臓協会は、全成人に対するナトリウム摂取量1500ミリグラムの制限を支持している。
ただ、塩を減らせとのかけ声だけでは足りないかもしれない。食品医薬品局(FDA)は食品中に認められるナトリウムの量を制限することを規制すべきか否か検討中だ。ただ、スポークスマンの電子メールによると、最終決定はまだ下されていない。
ニューヨーク市保健精神衛生局は、クラフト、ハインツ、スターバックス、サブウェイなど16社と、自発的な減塩イニシアチブに関する契約を結んだ。14年までに塩分摂取量を20%減らすのが目標だ。
13.認知症抑制にサプリメント
脳血流を増やし周辺症状を改善するとの報告も
日経メディカル2010年8月4日
ドネペジルのほかに治療薬がない認知症。最近、フェルラ酸などを含むサプリメントが、その進行を抑制するとして注目を集めている。だが、エビデンスや安全性に疑問を投げ掛ける声もある。
フェルガードを摂取した患者12人のSPECTの結果を、SPM(statistic parametric mapping)で解析したもの。赤色は血流量が摂取前に比べて有意に増加していることを示す。
フェルラ酸とセイヨウトウキの根抽出物を混合したサプリメント(商品名フェルガード)の摂取で、せん妄や異常行動など、認知症に伴う周辺症状が改善─。このような研究結果を、6月26日の日本老年医学会学術集会で、東京医大八王子医療センター老年科部長の金谷潔史氏が発表した。
せん妄や異常行動が改善
金谷氏はアルツハイマー病患者20人とレビー小体型認知症患者4人の計24人を対象に、観察期間4カ月の無作為化クロスオーバー試験を実施。フェルガード摂取群と非摂取群に分けて経過を観察した。患者の精神症状と介護の負担度(NPI-D)を評価し、認知機能検査、うつスケールの測定、脳血流シンチグラフィー(SPECT)なども行った。
その結果、フェルガードの摂取により、認知機能には変化がなかったが、精神症状と介護の負担度が改善。また、SPECTでは、右後頭葉と左小脳半球に脳血流量の増加が認められた(写真1)。これらの結果は、7月に米国で開かれる国際アルツハイマー病会議でも発表する予定だ。
金谷氏は、脳血管性認知症に周辺症状を合併した患者でも、症状の改善を認めたケースを経験。「興奮や妄想が強く、家族も困り果てていた患者が、投与後は異常行動、易刺激性、妄想、脱抑制、興奮などが劇的に改善し、介護負担度も低下した」(同氏)という。
フェルラ酸は、米ぬかや小麦のふすまなどから抽出されるポリフェノールの一種だ。抗酸化作用のほか、神経保護効果を有するなどの報告もあり、アルツハイマー病に対しても何らかの効果があると期待されている。もう一つのセイヨウトウキはセリ科シシウド属の植物。アセチルコリン分解酵素を阻害するとされる成分(クマリン類)が含まれており、海外ではハーブや生薬として利用されている。
国内では08年、フェルラ酸とセイヨウトウキ根抽出物の別の混合サプリメント(商品名ANM176顆粒、アルチーマ-J)を143人のアルツハイマー病患者が9カ月間摂取する臨床試験が行われた。その結果、軽症であるほど認知障害が悪化しないという結果が得られている(図1)。同試験をまとめた洛和会音羽病院神経内科の中村重信氏は、「今後は軽症患者を対象とした二重盲検比較試験でも検討したい」と話す。
軽症の患者ほど、認知機能(ADAS-Jcog:アルツハイマー病用心理テスト)が低下しにくい傾向にあった。
(出典:Geriatric Medicine 2008; 46: 1511-9.)
DHA摂取にも効果か
現在、アルツハイマー病の治療薬として承認されているのはドネペジルのみ。東北大老年科教授の荒井啓行氏は、「現状では、患者が自覚するほどにまで物忘れの症状が改善する、といった治療法はなく、現在の認知症治療薬に対する患者満足度はまだまだ低い」と話す。そのような背景から、ほかの選択肢を待ち望む声も多い。治療薬にとどまらず、サプリメントなどで認知症の進行抑制や発症予防を図れないかと、多くの施設で研究が行われている。
島根大環境生理学講座准教授の橋本道男氏らは、65歳以上の健常者108人を対象に、魚油成分であるDHA1700mg、EPA400mgを添加した食品を毎日摂取した群と、オリーブ油を添加した食品を摂取した対照群とで、認知機能を比較した。半年後、DHA強化群で認知機能が改善したと同時に、赤血球膜中のDHA濃度が上昇。DHA濃度と認知機能には相関性が認められた(図2)。
認知機能の変化(介入6カ月後の前頭葉機能検査[FAB]の値から介入前の値を引いたもの)と赤血球膜中のDHA濃度に相関関係が認められた。
「加齢により脳内の脂肪酸量は減少するが、特にDHA量の減少は顕著だ。アルツハイマー病患者は、海馬のDHA量が極端に少ないともいわれている。DHAの摂取により、認知機能の低下を抑制できる可能性がある」と橋本氏は話す。
RCTで否定されたサプリも
しかし、これらのサプリメントの有効性は、患者を対象としたプラセボ対照無作為化比較試験(RCT)で実証されたわけではなく、認知症への効果があると結論付けるのは早計だ。かつて認知機能の低下を抑制すると期待され、広く用いられているイチョウ葉抽出物については、米国でThe Ginkgo Evaluation of Memory(GEM)Studyという大規模臨床試験が行われたが、08年には否定的な結果が報告された。
同試験では、75歳以上の高齢者約3000人を無作為に2群に分け、一方のグループはイチョウ葉抽出物120mgを1日2回、もう一方のグループはプラセボを摂取し、平均6年間追跡した。その結果、イチョウ葉抽出物を長期に摂取しても、認知症全般やアルツハイマー病の発症率には影響しないことが示された。
ただ、筑波大精神神経科講師の久永明人氏は、「同試験は、既にβアミロイドの凝集が進行していたと考えられる高齢者が対象者であったため、介入効果が表れにくかった可能性もある」と分析する。
一方、医薬品に匹敵する効果があるとすれば、それ相応の副作用も生じ得るのではないか、という懸念もある。サプリメントは、食品衛生法で定める食品の範疇に含まれる。効果・効能の表記は禁じられているが、一方で安全性を改めて検討する義務は課されない。久永氏は「抽出・精製された成分は、厳密には食品と同等でないため、長期に投与した場合の安全性についても確認できることが望ましい」と話す。荒井氏も、「生薬成分を含むサプリメントなどについては、たとえ医薬品とは異なるとしても、安全性の担保が必要だろう」と話している。
14.血糖センサー付インスリンポンプ、1型糖尿病患者の血糖コントロール有意に改善
CareNet2010年8月4日
近年、1型糖尿病患者向けにインスリン治療器具が様々に開発され、従来の注射療法に代わる、小型携帯型24時間自動注入可能なインスリンポンプ、さらには血糖センサー付インスリンポンプが登場した。本論は、米国ミネアポリスにあるPark Nicollet国際糖尿病センターのRichard M. Bergenstal氏ら「STAR 3」研究グループが、最新の血糖センサー付インスリンポンプについて、従来の注射療法との有効性を比較した1年にわたる多施設共同無作為化試験結果の報告で、小児、成人とも有意に血糖コントロールが改善し、目標血糖値達成割合も高かったという。これまでも、インスリンポンプが注射療法よりも有効であることは明らかにされていたが、小児については結果にバラつきがあった。NEJM誌2010年7月22日号(オンライン版2010年6月29日号)掲載より。
成人329例、小児156例を、最新ポンプ療法群と従来注射療法群に無作為化
試験は、1型糖尿病で血糖コントロール不良の、成人(19~70歳)329例と小児(7~18歳)156例の計485例を、血糖センサー付インスリンポンプで治療する群(ポンプ療法群、成人166例、小児78例)と、1日複数回の注射療法群(成人163例、小児78例)とに無作為化して行われた。
主要エンドポイントは、追跡1年時点の血糖値(HbA1c)の、ベースラインからの変化。患者は、遺伝子組み換え型インスリンアナログ製剤を投与され、専門家医療チームが管理指導にあたった。
1年時点の血糖値低下、7%未満達成割合ともにポンプ療法群に軍配
ベースラインでの両群の平均HbA1c値はともに、8.3%だった。
1年時点で、その値は、ポンプ療法群は7.5%と、注射療法群の8.1%よりも有意に低下していた(P<0.001)。
<7%目標達成患者の割合は、注射療法群よりもポンプ療法群で大きかった(27%対10%、P<0.001)。
重症低血糖発生は、ポンプ療法群は100人・年につき13.31例、注射療法群は100人・年につき13.48例で、有意差は認められなかった(P=0.58)。また、両群とも体重増加はみられなかった。
Bergenstal RM et al. Effectiveness of Sensor-Augmented Insulin-Pump Therapy in Type 1 Diabetes. N Engl J Med. 2010 Jul 22;363(4):311-320. Epub 2010 Jun 29.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20587585
15.膝前十字靱帯断裂の急性期は、まずリハビリを
CareNet2010年8月4日
米国では毎年20万件以上の膝前十字靱帯(ACL)再建手術が行われ、直接医療費は約30億ドルに上ると推計されるが、ACL再建が他の治療に比べて優れているとのエビデンスは、質の高い無作為化試験によっても明らかにはなっていない。ACL断裂は、若年者の活動性に重大な損傷をもたらすため、特にスポーツ愛好者・選手は、スポーツ再開を望み断裂修復こそが最良であるとみなし手術を受けるが、治療の中心はあくまで保存療法(体系的リハビリテーション)である。ただし現状では必ずしもリハビリは行われていない。そこで、スウェーデンのランド大学臨床科学整形学部門のRichard B. Frobell氏らは、ACL断裂の至適な治療戦略に関する検討を行った。NEJM誌2010年7月22日号掲載より。
リハビリ+早期ACL再建 vs.リハビリ+必要に応じたACL再建
Frobell氏らが検討した治療戦略は、体系的リハビリテーション+早期ACL再建(早期再建術群)と、体系的リハビリテーション+必要に応じて行うACL再建(待機的再建術群)の2つで、無作為化試験にて行われた。
対象は急性期のACL断裂を有した活動的な若年者121例。
主要アウトカムは、ベースラインから2年時点までの、KOOS(Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score)の、4つのサブスケール(疼痛、症状、スポーツ・レクリエーション時の機能、膝に関係するQOL)の平均スコア(0~100;点が高いほど良好)の変化とした。
副次アウトカムには、KOOSのサブスケール5つすべて(前述+ADL機能)、SF-36健康調査票の結果、Tegner Activity Scaleスコアを含んだ。
2年時の主要アウトカムの差は0.2ポイント
早期再建術群に割り付けられた被験者62例のうち、1例は手術を受けなかった。一方、待機的再建術群に割り付けられた被験者59例は、手術を受けたのは23例で、36例はリハビリテーションのみで手術は必要としなかった。
KOOS(4)の平均スコアの変化は、2年時点で、早期再建術群が39.2ポイント、待機的再建術群が39.4ポイントで、両群の絶対差は0.2ポイント(95%信頼区間:-6.5~6.8、P=0.96)だった。
副次アウトカムについても、両群治療戦略間に有意な違いは認められなかった。有害事象は両群で同等に認められた。実際に行われた治療に基づき分析した結果も同様だった。
これらからFrobell氏は、「ACL断裂を有した活動的な若年者では、リハビリ+早期ACL再建術の治療戦略が、リハビリ+必要に応じたACL再建術の治療戦略と比べ、優れているとは認められなかった。また後者の治療戦略を取ることで、再建手術がかなり減った」と結論している。
Frobell RB et al. A randomized trial of treatment for acute anterior cruciate ligament tears. N Engl J Med. 2010 Jul 22;363(4):331-42.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20660401
16.カルシウム補給、心筋梗塞リスク上昇と関連、メタアナリシス
文献:Bolland MJ et al. Effect of calcium supplements on risk of myocardial infarction and cardiovascular events: meta-analysis. BMJ. 2010;341:c3691
カルシウム補給と心血管イベントリスクの関連を無作為化プラセボ対照試験のメタアナリシスで調査。プラセボ群に比べカルシウム補給群で心筋梗塞リスクの有意な上昇が見られ、脳卒中・死亡などのリスク上昇は有意ではなかった。著者らは、骨粗鬆症治療におけるカルシウム補給の役割を見直す必要があると指摘している。
http://www.bmj.com/cgi/content/abstract/341/jul29_1/c3691
17.学校ベースの介入、小児の2型糖尿病リスクに有効?
文献:The HEALTHY Study Group. A School-Based Intervention for Diabetes Risk Reduction. NEJM. 2010;363:443-453
42の学校(参加児童数4603名)を対象に、糖尿病リスク因子に対処する学校ベースの多面的介入の効果をクラスター無作為化比較試験で検討。介入群で評価のみ実施した対照群に比べ、主要評価項目とした過体重・肥満の複合有病率の低下に有意差は見られなかったものの、脂肪蓄積の各指標では有意な低下を認めた。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1001933
18.去勢抵抗性前立腺癌への細胞免疫療法、生存期間を4.1カ月延長
文献:Kantoff PW et al. Sipuleucel-T Immunotherapy for Castration-Resistant Prostate Cancer. NEJM. 2010; 363:411-422
sipuleucel-T免疫療法の転移性去勢抵抗性前立腺癌に対する有効性を多施設二重盲検プラセボ対照第3相試験で検討。sipuleucel-T群(341名)ではプラセボ群(171名)に比べ死亡リスクが22%低下し、生存期間中央値が4.1カ月改善した(25.8カ月対21.7カ月)。無増悪生存期間は両群で同程度だった。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1001294
19.院外心停止に対する胸骨圧迫単独CPR、標準的CPRと生存率に有意差なし
文献:Svensson L et al. Compression-Only CPR or Standard CPR in Out-of-Hospital Cardiac Arrest. NEJM. 2010; 363:434-442
救急隊の到着まで電話で指示する心肺蘇生(CPR)に関して、院外心停止者1276名を対象に、換気を併用する標準的CPRに対する胸骨圧迫単独CPRの優越性を前向き無作為化試験で検討。主要評価項目の30日生存率は、胸骨圧迫単独群8.7%、標準的CPR群7.0%であり、両群に有意差は見られなかった。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0908991
20.Vitamin B May Not Guard Against Second Stroke, Heart Attack
Jury still out on the vascular benefits of supplementation, experts say
HealthDay News2010年8月3日
Stroke patients who take vitamin B supplements to lower their homocysteine levels may not be protected from second strokes or heart attacks, a new study finds.
Earlier studies found an association between homocysteine, an amino acid, in the blood, and an increased risk for stroke and heart attack. Vitamin B supplements lower homocysteine levels, but whether this really has an effect on stroke and heart attack risk has been unclear, the Australian researchers noted.
"B vitamins are safe, but they were not, statistically, significantly more effective than placebo in preventing major vascular events among stroke and TIA [transient ischemic attack] patients," said lead researcher Dr. Graeme J. Hankey, head of the stroke unit at Royal Perth Hospital in Western Australia. "B vitamins have not been proven to have a role in secondary stroke prevention."
The report is published in the Aug. 4 online edition of The Lancet Neurology, and will appear in the September print issue of the journal.
For the study, Hankey and his colleagues in the Vitamins to Prevent Stroke (VITATOPS) trial tested whether lowering homocysteine with a combination of folic acid, vitamin B6 and vitamin B12 would lower the risk of a second stroke or heart attack in patients who had a recent stroke or transient ischemic attack.
In the trial, 8,164 patients were randomly assigned to daily doses of either B vitamins or a placebo in addition to standard care.
Over 3.4 years of follow-up, the researchers found the vitamins were no more effective than placebo. In all, 15 percent of the people taking B vitamins had a second stroke, heart attack or died, compared with 17 percent of those receiving placebo. B vitamins did, however, lower homocysteine levels.
People taking the vitamins had no adverse reactions and the vitamins were well-tolerated, the researchers noted.
Despite these findings, Hankey isn't sure that B vitamins don't work. "Our study may well have been underpowered statistically," he said.
Had the trial gone on longer, a "significant treatment effect may have emerged, and has thus been missed in our study," Hankey added.
"I don't think it is the end of the road for B vitamins in stroke prevention. We need to see the effect of B vitamins in the three other ongoing trials, particularly in patients who have been treated for several years, and particularly in patients with stroke caused by small vessel intracranial disease," he added.
Dr. Larry B. Goldstein, director of the Duke Stroke Center at Duke University Medical Center, agreed that the question of whether or not B vitamins lower the risk of a second stroke or heart attack was not answered fully by this trial.
"High homocysteine is associated with both stroke and coronary heart disease. Homocysteine can be lowered with B-complex vitamin supplements, but whether doing so lowers the risk of vascular events is uncertain," Goldstein said.
Earlier studies found no benefit of homocysteine lowering in subjects with coronary heart disease or renal failure. "The VISP trial, conducted in North America, found no benefit of B-vitamin treatment in subjects with prior stroke, but had several important methodological limitations," Goldstein added.
This new report also finds no benefit of treatment with B-complex vitamins in patients with stroke or TIA, but the adverse event rates in both the treatment and placebo groups were lower than anticipated, he pointed out.
"A benefit by as much as an 18 percent reduction in risk remains possible," Goldstein said. "Treatment with B vitamins appeared safe, and the results of other ongoing trials should help more definitively answer the question."
21.Patients With Hepatitis B May Face Greater Risk of Blood Cancer
Study finds twice the risk of non-Hodgkin lymphoma
HealthDay News2010年8月3日
People with hepatitis B infection have about twice the risk of developing non-Hodgkin lymphoma, finds a new study.
Previous research has established that hepatitis C infection is linked with increased risk of non-Hodgkin lymphoma (NHL), but only small studies have been conducted on hepatitis B and NHL.
It's believed that liver infection caused by hepatitis results in sustained immune system activation that may trigger lymphocytes (white blood cells that are part of the immune system) to develop DNA mutations that can lead to NHL.
This study, published online Aug. 4 in The Lancet Oncology, included people in South Korea, where hepatitis B (HBV) was endemic until 1995 when the country began vaccination of all newborns. However, HBV infection remains common in adults because of infections acquired in childhood.
The researchers analyzed data from the Korean Cancer Prevention Study and found that 53,045 -- or 9 percent -- of 603,585 participants tested positive for HBV at baseline. During 14 years of follow-up, NHL was diagnosed in 133 people with HBV infection and 905 people who were HBV-negative.
The incidence of NHL was 19.4 per 100,000 person-years among those with HBV infection and 12.3 in those who were HBV-negative.
The American and South Korean researchers also found that people with HBV infection were nearly four times more likely to develop a rare condition called malignant immunoproliferation, a collection of immune disorders related to NHL.
"In this large cohort study of health workers and their families in South Korea, we documented an excess risk of NHL in people infected with HBV ... Additional research is needed to clarify whether the association between HBV infection and NHL is causal," the researchers wrote in a news release from the journal publisher.
"For HCV-infected patients with low-grade NHL [especially marginal zone lymphomas], HCV treatment seems effective for hematological remission. Thus, we speculate that treatment directed at HBV in similar low-grade NHLs might lead to a clinical response and remove the need for chemotherapy. Further investigation in appropriate clinical series will be important," they conclude
22.プレスリリース
1) COPD治療薬として「インダカテロールマレイン酸塩」を日本で承認申請
慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として「インダカテロールマレイン酸塩」を日本で承認申請
ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:三谷 宏幸)は、7月30日、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として、長時間作用性吸入気管支拡張剤である「インダカテロールマレイン酸塩(一般名、以下:インダカテロール)」(開発コード:QAB149)の製造販売承認申請を行いました。
インダカテロールは、吸入5分後から気管支拡張効果が発現し、1日1回の吸入で呼吸機能改善効果が24時間持続することが示された新しい長時間作用性β2刺激剤です。COPD患者を対象とした国内外の臨床試験結果から、インダカテロールは、1日1回の吸入で、優れた呼吸機能の改善効果を示しました。さらに、日常生活の活動度が改善するといったQOLの向上が認められ、良好な安全性も確認されたことから、臨床的に有用な薬剤であることが示唆されました。インダカテロールは、即効性と持続性の両特性を兼ね備えた新しい気管支拡張剤となる可能性があります。
COPDは、たばこの煙などの有害物質を長期間にわたり吸入することで発症する肺の慢性疾患です。気管支や肺の慢性的な閉塞症状をきたし、主な症状は、咳、痰や息切れなどで、その症状は徐々に進行して肺の機能が失われ、呼吸不全を起こす命にかかわる病気です。
厚生労働省の2008年の患者調査によると、医療機関でCOPDと診断された患者数は17万3000人ですが1、2000年に実施された疫学調査によるとCOPD患者数は約530万人と推定されており2、多くの潜在患者がいることが示唆されています。また、喫煙率が高く、喫煙開始年齢が若年化している日本では、今後さらに患者数が増えることが懸念されています。
Onbrez(R) Breezhaler(R)の製品名で、欧州連合(EU)、スイス、オーストリアをはじめ世界30カ国以上で承認されている(2010年7月現在)インダカテロールは、有効性、安全性、および1日1回投与という利便性の面から有用な薬剤であり、今後日本でも、COPDの治療において重要な選択肢の一つとなるものと期待しています。








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