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Jan 31, 2012 [Clipping News]

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1.診療報酬改定、再診料は据え置き 厚労省方針
2.ネットで測る心の体温 自治体が相次ぎ導入 茨城
3.脳の形で統合失調症診断 MRI画像を分析
4.チョコレートに結腸がんの予防効果、スペイン研究
5.肺炎球菌、他の菌からゲノムを借りて耐性獲得
6.関節リウマチ 早期診断の新基準導入 薬物治療でかなりの改善
7.絶対ダメ 下剤ダイエット 腸の粘膜に炎症…結果的に肥満にも
8.感染症と人の戦い:国立感染症研究所情報センター長・岡部信彦
9.モノづくりを変える人工遺伝子合成
10.千葉大など3大学、G蛋白質共役型受容体の結晶立体構造解析に成功
11.クックジャパン、浅大腿動脈用の薬剤溶出ステントが承認
12.中医協総会、医療技術300超が4月に保険適用
13.オーバスネイチ、PTCAバルーンの世界最細・最短品が快走
14.[医学研究]鎮痛薬の感受性決める遺伝子特定、テーラーメイド疼痛治療開始
15.特定看護師は、「ミニ医師」なのか◆Vol.2
16.「ダ・ビンチ」、前立腺がんで保険適用
17.「後発品のある薬の一般名処方」で加算
18.【中医協】緩和ケア入院料、算定対象拡大へ
19.【中医協】認知症入院料、3段階の評価に- 30日以内の早期退院を促進
20.「介護を見下さない医師は稀少で貴重」- 介護関係者覆面座談会(上)
21.医師にも認めてほしい「治す」以外の意識- 介護関係者覆面座談会(下)
22.2011年の医療機関倒産は32件、2年連続減少
23.【結婚】教授への謝礼は半数が「30万円以上」
24.大都会の医療“過疎”地で起こっている悪循環
25.地域の実情に沿うのが家庭医、米国式を直輸入するつもりはない
26.日本老年医学会が終末期医療への立場表明を改訂
27.平成の大合併に消えた福祉のまち・鷹巣
28.市民ランナーの心停止、「男性」「フルマラソン」がハイリスク
29.妊娠後期のSSRIは新生児遷延性肺高血圧症リスクを高める
30.複数の州でリステリア症が流行
31.超早産児無呼吸へのカフェイン療法、長期5年での無障害生存に有意な改善を示さず
32.P2Y12阻害薬cangrelor、待機的CABG患者の橋渡し使用の有効性と安全性
33.D3P前のホルモン療法はリスク?
34.Statins Equally Effective in Women and Men
35.More Newborns Suffering Drug Withdrawal at Birth
36.First Drug Ok'd to Combat Spreading Basal Cell Skin Cancer
37.Ultrasound As a Male Contraceptive?
38.JMM:東京都北西部と埼玉県南西部の小児医療を守るための小児科医共同声明
39.JMM:刑事罰で医療を縛ると国民の犠牲が増える~新型インフルエンザのパブリックコメント~
40.プレスリリース
1) 『メラニン色素』の逆行性輸送の仕組みを解明
2) 抑制性シナプス形成に重要なタンパク質を発見
41.Other Topics
1) 東北沖、M8級地震起きやすく 震災で岩板変化 海洋機構が分析、沿岸に津波も
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1.診療報酬改定、再診料は据え置き 厚労省方針
日本経済新聞社2012年1月31日

 厚生労働省は30日、2012年度の診療報酬改定で、外来診療の基本料金である再診料を据え置く方針を固めた。医療機関などの報酬の受け取り側が「引き上げるべきだ」と主張してきたが、救急や在宅に重点配分するという昨年末の財務省との合意は重いと判断した。健康保険などの支払い側も引き上げ反対の立場を崩さなかった。
 診療報酬の配分は中央社会保険医療協議会(中医協)で決める。厚労省は再診料を据え置く方向で、報酬の受け取り側と支払い側の意見を調整する。受け取り側は引き上げが認められなかった場合、2年後の次回改定までに再診料の在り方などを議論するように求めている。厚労省は次回改定に向けた論点に含めるか、慎重に判断する。
 再診料は前回(10年度)の改定で710円から690円に下がった。このため、受け取り側は開業医の収益の柱である再診料の「回復」を強く求めていた。ただ、財政難が続くなか、開業医の収益を一律に押し上げるべきだとの主張には理解が広がらなかった。


2.ネットで測る心の体温 自治体が相次ぎ導入 茨城
朝日新聞社2012年1月31日

 自殺する人や心の不調を訴える人があとを絶たないなか、インターネットを使って自分で心の状態をチェックするシステムを導入する自治体が増えている。携帯電話やパソコンで手軽にできて、ストレスなどがイメージの画像で分かるのが特徴。自治体の担当者は、専門の機関に相談するきっかけになることを期待する。
 このシステムの名前は「こころの体温計」。東海大医学部付属八王子病院健康管理センターの人間ドック受診者用に開発されたものが基礎という。各自治体のホームページからつながり、質問に答えていくとストレスや落ち込みの程度が絵で示される。あわせて、相談機関の連絡先も表示される。
 茨城県内では昨年、つくば市と古河市が取り入れ、今年の1月10日には東海村が運用を始めた。鹿嶋市は2月、阿見町も4月の利用開始を目指して準備している。こころの体温計を納入した会社によると、ほかにも数自治体が導入を検討している。


3.脳の形で統合失調症診断 MRI画像を分析
共同通信社2012年1月31日

金沢医科大の川﨑康弘教授(精神神経科学)のグループは29日までに、脳の形を見て統合失調症の診断につなげる手法を開発した。磁気共鳴画像装置(MRI)の画像をコンピューターで分析し、患者と健常者のわずかな差を見分ける。医師による問診頼みが現状の精神疾患の診断に客観的なデータを持ち込む試みで、病気の早期発見や予防に役立てるため、同グループは精度向上に取り組む。
 病気の有無や進行の程度を脳の形態と関係づける研究は、アルツハイマー病で進んでいる。同病患者の脳では記憶などをつかさどる部位「海馬(かいば)」が萎縮することが知られる。
 統合失調症など精神疾患では、同様の研究は緒に就いたばかり。病気の診断は専ら医師の問診によっているが、診断がつけにくいケースもしばしばある。
 川﨑教授は富大大学院医学薬学研究部神経精神医学講座と協力して、進行した統合失調症患者の脳では、前頭葉や側頭葉の特定の部位が萎縮したり、周囲の溝が深まるなどの傾向があることに着目して研究を進めてきた。
 金沢医科大の松田幸久研究員が担当する最新の分析では、これらの形態的な特徴をコンピューターによって数値化して横軸に、脳の容積など男女の脳の違いを考慮した点数を縦軸に取ったグラフ上に、患者と健常者計約300人のデータを点で表した。
 その結果「男性患者」「男性健常者」「女性患者」「女性健常者」が、はっきりと4群に分かれた。グラフ上の分類と従来の問診による診断は8~9割の高い確率で一致し、分析が診断の補助に使える可能性が示された。
 コンピューターの分析では、画像を目で見ても見分けられない小さな形の差もとらえられるため、症状がはっきり表れていない患者や病気の一歩手前の人を、早い段階で発見できると期待されるという。川﨑教授は「引き続き症例を積み重ね、追跡調査などによって分析の精度を一層高めたい」と意気込んでいる。


4.チョコレートに結腸がんの予防効果、スペイン研究
AFPBBNews2012年1月31日

チョコレートの効用は、とろけるような甘さを楽しむことだけではなかった。その原料のカカオに結腸がんなどの腸疾患予防に効果があるとする論文を、スペインの研究チームが24日、発表した。腸病理学に関連した研究としては初めての研究だという。
 研究チームは、カカオ含有率が12%の餌を8週間、ラットに与えた後、がんの誘発要因を加える実験を行った。その結果、カカオを多く含む餌を摂取していたラットは、結腸がんの兆候である異常陰窩巣の形成が大幅に低下していた。陰窩とは、直腸や結腸の内壁表面に見られる管状の腺で、正常に機能しているときは常に腸の内壁を再生し粘液を生産する。
 また、抗酸化機能も高まり、発がん性物質による酸化損傷が減少していた。こうした実験結果から研究チームは、体内で腫瘍を発生させる細胞増殖に関連した細胞シグナルの伝達経路をカカオが遮断し、体の防御システムとして機能しうると結論付けた。カカオを多く摂取する食生活は老化細胞や不健康な細胞が自然死する「アポトーシス(機能的細胞死)」を促し、新細胞が生じる余地を作る効果があることも突き止めた。これが、がんの進行を防ぐ「化学予防メカニズム」になるという。
この論文は専門誌「Molecular Nutrition & Food Research」に掲載されている。


5.肺炎球菌、他の菌からゲノムを借りて耐性獲得
AFPBB News2012年1月31日

小児の肺炎や髄膜炎を起こす肺炎レンサ球菌が、他の菌のゲノムの一部を取り込んで進化し、ワクチンの効果が出ないようになっているとの研究が、29日の英科学誌「ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)」に掲載された。
 素早く遺伝子的なおとりを借りて自らの姿をごまかす致死性の病原体に、医療が追いつくのがいかに困難かを示す研究成果だ。肺炎レンサ球菌による子供の死者数は、世界で年間100万人を超えているとされる。
 肺炎球菌感染症のワクチンは、菌の細胞の外壁にある多糖体を認識するよう設計されている。肺炎球菌の「血清型」は90種近くあるが、それぞれ型が異なる多糖体の表面を持っている。
 米国で2000年に導入された7種の血清型を対象にしたワクチンは、当初は高い効果を示した。子どもから成人への感染も予防するこのワクチンは英国でも採用された。
■外見を変えてワクチンから逃れる
 だが、オックスフォード大学(University of Oxford)のロリー・ボーデン(Rory Bowden)氏率いる研究チームによると、時を経るにつれてこのワクチンの効果が弱まってきたという。
 感染症の拡散を分析する疫学と最新の遺伝子解析を使い、研究チームは、肺炎球菌が自分たちとよく似たバクテリアと遺伝子を取り替えることで、ワクチンによる探知を逃れていたことを突き止めた。
 驚くことに、取り替えられていた遺伝子の部分は、正確に細胞の外壁を作るのをつかさどる部分だった――まさにワクチンが標的としていた領域だ。言い換えるなら、このバクテリアはその病原性を損なわないまま、外側の見た目だけを変えたのだ。
「それぞれの肺炎球菌の株が、学校の制服を着た児童たちだと考えてみてください。もしも少年が街角の店で盗みをはたらけば、警察官―ワクチン―は制服から、その少年がどの学校の生徒なのかすぐにわかる」(ボーデン氏)
 しかし、少年がセーターを別の学校の友だちと取り替えていたら、警察官はどこを見て見分ければ分からなくなり、泥棒は逃げ延びてしまう。バクテリアもこれと同じだと、ボーデン氏は説明する。
 研究チームは、こういった「再結合」され、ワクチンに対する耐性がある血清型を複数発見した。そのうちの1つの型は、数年間かけて東から西に米国全体に広がっていたという。
■急速に耐性を獲得する恐れ
 また研究チームは、実験室の外で初めて、肺炎球菌が同時に複数のゲノムを取り替えることができることを発見した。
「これは特に懸念すべきだ。DNAの複数の部分が関係する再結合によって、重要な遺伝子領域を急速に同時進行で取り替えることが可能になる。つまり、抗生物質に対する耐性を急速に獲得できる可能性があるのだ」
 米国と英国で当初使われていた7種の血清を対象としていたワクチンは、現在は13種の血清を対象としたものに置き換えられた。だが科学者たちは、バクテリアが今後もどんどんと新しい形に変化し続けるだろうと警告している。(c)AFP


6.関節リウマチ 早期診断の新基準導入 薬物治療でかなりの改善
産経新聞社2012年1月31日


関節リウマチ診断
 関節に腫れや痛みが起き、骨の変形にもつながる関節リウマチの薬物治療がこの10年でめざましく進歩した。早期発見・早期治療すれば、9割近くの患者の症状改善が果たせる。日本リウマチ学会(東京都港区)は早期診断の新基準を導入して普及に努めており、患者の症状に応じた積極的な治療が展開できる道が開けている。(坂口至徳)
患者は60万人以上
 関節リウマチは、病原体などを排除するはずの体内の免疫システムが自分を攻撃するという異常によって関節を包む膜(滑膜(かつまく))に炎症が起こり、腫れや痛みが生じる病気。治療としては、薬物療法や手術による外科治療がある。適切な治療を受けずに炎症が長引くと、関節の骨が破壊され、変形してしまうこともある。日本人の患者は約60万~100万人とされ、特に女性に多いという。
 岡山県に住む30代のA子さんは2人目の子供を出産後、右手の関節が痛むようになった。「リウマチかもしれない。でも授乳中なので、薬を飲めば乳児に影響が出る」と思った。
 しかし、右手が腫れて授乳するのも困難になったため、病院を訪れた。レントゲン撮影では右手首の関節は壊れていないとされた。だが、MRI(核磁気共鳴画像診断装置)のデータでは、典型的なリウマチの所見である虫食いのような骨びらんが起こっていた。このため、母乳での育児をやめ、薬物の投与など積極的な治療に取り組んだ。今では快方に向かっている。
「リウマチは治らないという古い考え方はもう通用しません。発症後、半年以内の早期に適切な薬物治療などを始めれば、関節の変形が起こる前に進行が食い止められ、患者の炎症や痛みの症状が抑えられる寛解(かんかい)という状態にも持っていけます」と、川崎医科大学付属病院(岡山県倉敷市)でリウマチ外来を担当する守田吉孝講師は話す。
早期治療で寛解に
 注目されている薬は、免疫にかかわる細胞(T細胞)や物質(サイトカイン)を直接調節できるバイオ(生物学的)製剤で、6種類ある。
 守田講師は約14年前、米ミシガン大に留学し、いち早く欧米で始まったバイオ製剤の劇的な治療効果を目の当たりにした。バイオ製剤や、サイトカインの産生を抑える免疫抑制薬などを使った早期治療で、80~90%の患者に改善が見られ、寛解に近い状態になったのは30~40%という。
 守田講師は「関節リウマチの診断が確実になり、治療の開始は早ければ早いほど効果があります。免疫を抑えることによる感染症のリスクなどがありますが、今後の生活のことを含めて医師とよく相談し、関節の変形が起こる前に積極的に治すという希望を持って治療してほしい」と話している。
【用語解説】関節リウマチの新診断基準
 欧米のリウマチ学会が早期診断のために作成した基準を導入した。チェックする項目は、腫れや痛みがある関節の数▽血液検査による免疫の異常や炎症反応の有無▽症状の持続期間。症状の程度を点数化することにより、治療の効果を客観的に評価して治療方針を立てやすくしている。


7.絶対ダメ 下剤ダイエット 腸の粘膜に炎症…結果的に肥満にも
産経新聞社2012年1月31日

女性の間でひそかに行われているといわれる「下剤ダイエット」。下剤を使って排便することで、体重が減ってやせるのだという。下剤はやせるための薬ではない。むやみに下剤を使うことで別の病気になる可能性もあり、専門家は「ダイエット目的で下剤を使うのは絶対やめて」と注意を呼びかけている。(平沢裕子)
排便でやせない
 今年1月、テレビのトーク番組で30代の女性タレントが過去に下剤ダイエットをしていたことを打ち明け、話題になった。10代後半の頃、通常は2錠飲む下剤を7、8錠飲んでいたという。飲むのをやめたのは「血が出たから」ということだが、下剤の乱用で血便が出たとみられる。
 中学生を対象に厚生労働省の研究班が平成21~22年に行った摂食障害の調査によると、「やせることを目的にした行為(4週間に2回以上)」として、「下剤を使った」と答えたのは、女子が1・1%、男子が0・7%。わずかとはいえ、やせるために下剤を使った経験のある中学生がいることに驚かされる。
 順天堂大学医学部付属順天堂医院で「便秘外来」を開設する小林弘幸教授は「便秘の人が太りやすいのは確かだが、下剤を使って多くを排便してもやせるわけではない。下剤は刺激剤なので使い続けると腸の粘膜に炎症を起こし、食べ物の吸収を悪くする。結果的に皮下脂肪や内臓脂肪を増やすことになり、逆効果」と指摘する。
腸内環境整えて
 便秘の人が太りやすいのは、便が体にたまっているからではない。便秘は、腸がうまく働かないために起こる。腸がきちんと動いていないと、摂取したカロリーが各細胞に行き渡らず、本来なら全身の細胞で働くはずのカロリーが皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積される。これが太る原因だ。下剤で排便して一時的に体重が減っても、腸がうまく働くための腸内環境を整えない限り、同じことの繰り返しになる。
 「下剤をむやみに使い続けると腸内環境が乱れるから、今度は食べたらもっと太る。太らない体にするには、まず腸内環境を整えることが大事」と小林教授。
 腸内環境を整えるには、食事と運動の生活習慣を見直すしかない。朝食は必ず食べ、夕食は就寝3時間前までにとる。食事は、水溶性食物繊維の多い野菜やイモ類、海藻、果物などを多く食べるようにする。
 運動は、通勤・通学時に駅のエレベーターは使わず階段を利用する、電車の中では座らずに立つなど、日常生活を見直すだけでも効果がある。血流を良くするため、40度の温度で15分間の半身浴、寝る前のストレッチもおすすめだ。
 便秘はおなかが張るなどの違和感があった場合をいう。2、3日に1度の排便でもおなかに違和感がなければ便秘ではなく、逆に毎日排便していてもおなかが張る人は便秘といえる。
 小林教授は「下剤の乱用は体内のミネラルなどのバランスが崩れる電解質異常になったり、肝機能障害になる危険もある。ダイエット目的で使うのは絶対やめてほしい」と話している。


8.感染症と人の戦い:国立感染症研究所情報センター長・岡部信彦
産経新聞社2012年1月31日

 ■乳児の下痢 ワクチンで予防
 赤と白いウンチは要注意! かつての小児科医はこんな言葉で乳幼児を持つ保護者に注意を呼びかけていた。赤いウンチは血液が混じっている便で、赤痢や腸管出血性大腸菌感染症は激しい血便が出る。時には外科手術が必要になる腸重積症も血便が特徴で、これらは今でも要注意だ。白いウンチの新生児は、胆道閉鎖症という難病のこともあるが、多くは冬シーズンにみられる嘔吐と熱を伴う乳幼児の「白色便性下痢症」。激しい下痢のため、脱水症となって点滴などによる水分補給が必要になることが少なくなく、時には生命の危険もはらみ、当直小児科医は眠れぬ夜を過ごすことが多かった。
 白色便性下痢症の原因が「ロタウイルス」と分かったのは30年ほど前。ロタウイルスは世界中いたるところで見られ、乳児の死亡原因のトップクラス。2004年には世界で約52万人の小児がロタウイルス感染症によって死亡したと推計されている。その最大の原因は体内の水分不足「脱水症」。不思議なことにロタウイルスによる白い下痢便は、海外ではほとんど見られない。わが国では、「水分をこまめにとって脱水症にならないようにする」という対処法が広く理解されるようになって重症者が減少し、便の色も白くなくなってしまった。
 今の日本ではロタウイルスによる下痢はそれほど恐れる病気ではなくなったが、まれに急性脳症などを起こすこともあり、やはり注意は必要だ。途上国では、きれいな水が手に入りにくい▽医療機関へのアクセスが悪い▽水分を与える重要性が理解されていない-などから、ロタウイルスによる下痢は依然、子供の命にかかわる病気で、その対策は、重要課題となっている。
 そこに登場してきたのがロタウイルスワクチンだ。米国で導入した当初、ワクチン接種後に腸重積症が合併しやすいとの疑いから、一時使用中止となっていたが、安全性の高い新たなロタウイルスワクチンが2種類登場した。
 WHO(世界保健機関)はロタウイルスワクチンを子供の最重要ワクチンの一つに位置づけている。フィリピンでは来年から、国家のワクチンプログラムとして赤ちゃん全員にロタウイルスワクチンを接種させるという方針を最近表明した。ウイルスに感染する前に早く免疫をつくり、下痢を防ぐか軽くすませることによって、多くの子供を救い、入院患者を少なくすることができる。医療経済的にも助かることになる。
 日本ではどうか。ワクチンで予防できる病気は予防した方がいいのはもちろんであり、ロタウイルス感染症も国内でワクチンで防げるようになったのは良いニュースだ。ことに乳幼児を抱える共働き夫婦などにとってはメリットは高いといえよう。
 だが、国の予算が限られている中、より重要度の高いワクチンをより多くの人が利用しやすくすべきだという考えも必要になる。たとえば、水ぼうそう、おたふくかぜなどで重症化したり、合併症に悩む子供は少なからずおり、大人の重症者もいる。途上国におけるロタワクチンの強いニーズと、わが国のそれとはその質にかなりの違いがあるのだ。(おかべ のぶひこ)


9.モノづくりを変える人工遺伝子合成
化学工業日報社【社説】2012年1月31日

革新的バイオ技術によって細菌のゲノム(全遺伝情報)を人工合成して、副作用のない抗がん剤、高機能新材料などを創出しようとする人工遺伝子合成技術開発が2012年度から始まる。わが国の成長戦略につながる既存技術の延長線上にない「未来開拓技術」の新規テーマとして推進する。米国が先行しているが、日本でも優れた研究成果が生まれており、付加価値の高い医薬品のみならず、ガラス繊維や炭素繊維などを代替できるバイオマテリアル、さらに水から水素を低コストで直接製造することも可能な夢のある技術開発である。
10年5月、米国のJ・クレイグ・ベンター研究所は人工的に化学合成したゲノムを持つ細菌を作製して世界的に注目された。これはマイコプラズマ・ミコイデスという細菌のゲノムを人工合成して、別の細菌であるマイコプラズマ・カプリコルムに移植、移植先の細胞を制御させることに成功した。合成ゲノムで細胞の制御に成功したことで、遺伝情報を設計する「人工生命」誕生につながる可能性を示したことになる。
新しい遺伝子を設計して生物を構築する合成生物学と育種技術を融合させることで、ゲノムを設計して有用な物質を生産するバクテリアを作製しようという試みも進んでいる。慶応大学の板谷光泰教授も世界的研究成果を発表している。
経済産業省が始める「革新的バイオマテリアル実現のための人工遺伝子合成技術開発」は、バイオインフォマティクス(生物情報科学)などの最先端バイオ科学の成果を生かす。複雑な高分子化合物を合成して副作用のない抗がん剤など画期的新薬のほか、強度と弾力性などトレードオフの関係にある高機能繊維やプラスチックなどモノづくり、バイオ燃料、水から水素の直接生産など環境・エネルギー分野などにも衝撃を与える可能を秘めている。
バイオ技術を使った物質生産に期待は大きかったが、生物内の遺伝子の働きが複雑なため想定外の抑制反応を起こす、手作業による組み換えに手間と時間がかかるなどのハードルを解決していない。新技術は微生物内の遺伝子の反応全体をシミュレーションによる生物設計図を作成して、人工的に遺伝子を合成し、自動的に細胞に組み入れる装置の開発に取り組む。
目標は5年計画で5万塩基対の微生物の開発を目指す。創製した微生物は触媒作用を持つ酵素の役割を果たすことになる。予算規模は小さいが、わが国が推進するライフイノベーション、グリーンイノベーションに貢献する技術として挑戦的なテーマであることは間違いない。


10.千葉大など3大学、G蛋白質共役型受容体の結晶立体構造解析に成功
化学工業日報社2012年1月31日

千葉大学大学院理学研究科など3大学の研究グループは、医薬品の重要な標的となるGたん白質共役型受容体(GPCR)に結合するモノクローナル抗体作製法を考案し、GPCRの結晶化に成功、立体構造解析を可能とする一連の技術を開発した。新薬開発で求められるGPCRの鍵穴発見や候補化合物の結合した状態が確認できるため、薬剤設計の基盤技術として新しいツールへと発展させる。
この成果は科学技術振興機構(JST)が推進する研究プロジェクト「岩田ヒト膜受容体構造プロジェクト」の一環として、千葉大の村田武士特任准教授が京大、東大のメンバーとともに得た。
開発した技術は、まず酵母を用いて遺伝子組み換え技術を工夫。今回対象モデルに選んだのはGPCRヒトアデノシンA2a受容体で、同受容体産生遺伝子が高発現する方法を考案。次に正しい立体構造を保持したままの状態にするため、脂溶性である同GPCRのまわりを界面活性剤で覆いミセル構造に仕上げた。精製したミセル構造中のGPCRは結晶ができにくく検出が難しいが、抗体を結晶化のリガンドに利用することで親水性領域を拡張させ、規則正しく安定して並べることに成功。これにより抗体との複合体にして精製できた。具体的には、マウス体内で免疫反応が起こるようにするため、リポソーム免疫法の要領で注射し、体内で抗体を作らせた。従来、GPCRの構造を保つことが難しく、特異的な抗体作製は困難だった。同受容体はパーキンソン病の重要な標的GPCR。
この一連の技術により、結晶化が比較的しやすくなった。得られる結晶はナノサイズで大変小さいが、英国の大型放射光施設「ダイアモンド」のマイクロフォーカスビーズを用いることで立体構造が解析でき、詳細な結合部位などが確認できたという。
今回のアデノシンA2a受容体を対象としたモデルでは、Fab抗体(抗体がGPCRと結合する可変領域だけを断片として作製した低分子化合物)だけを切り出す作製技術を構築。この技術をもとに解析を進めれば、アレルギー、神経変性、高血圧などの疾患に関与するさまざまなGPCRに対する効果が高い低分子化合物の拮抗薬(アンタゴニスト)や作動薬(アゴニスト)候補を見つけ出せるほか、抗体医薬候補の設計ツールとして基盤技術になる。
また今回得た抗体の1種類は、GPCRのアンタゴニストとの結合に影響はないが、アゴニストとの結合を完全阻害する機能性抗体であるアロステリック・インバースアゴニスト(医薬品が標的とする結合部位と異なった部位に結合して標的受容体の状態を制御する逆作動薬)であることがわかった。成果を基盤技術に生かし、研究グループは製薬企業との共同研究を開始している。


11.クックジャパン、浅大腿動脈用の薬剤溶出ステントが承認
化学工業日報社2012年1月31日

クックジャパンは、浅大腿動脈(SFA)用ステント「ジルバーPTX」の薬事承認を厚生労働省から24日に取得した。パクリタキセルを塗布した薬剤溶出型ステント(DES)でSFAステントとしては国内初。
同製品はナイチノール素材の自己拡張ステントに、薬剤パクリタキセルを塗布。大腿動脈の伸縮に対応できるよう柔軟性に優れたステントで、薬剤コーティングにポリマーを使用していないため、遅発性ステント血栓症のリスクを軽減できるのではないかと期待されている。
国内ではテルモもSFA用ベアメタルステント「ミサゴ」を開発中。昨年9月末に国内薬事承認申請しており、来期中の承認取得を目指している。


12.中医協総会、医療技術300超が4月に保険適用
化学工業日報社2012年1月31日

中央社会保険医療協議会(中医協)総会は27日、先進医療など300以上の医療技術を4月の診療報酬改定で保険適用にすることを承認した。
内訳は、医療技術評価分科会が提案した胸腔鏡下・腹腔鏡下手術など304技術と先進医療専門家会議提案の先進医療23技術。
保険適用となる主な先進医療技術は、抗がん剤の感受性検査や内視鏡下手術用ロボット「ダヴィンチ」を用いた前立腺全摘除術など。
分科会経由の技術では、放射線治療用金属マーカー留置術や移植時などに行う抗HLA抗体検査などがある。


13.オーバスネイチ、PTCAバルーンの世界最細・最短品が快走
化学工業日報社2012年1月31日

香港に本社を置く医療機器メーカー、オーバスネイチメディカルの世界最細・最短のPTCAバルーンカテーテル「サファイア2,」の販売が好調だ。冠動脈が完全に詰まったCTO(慢性完全閉塞)病変に対応したセミコンプライアントタイプのバルーンカテーテルで、通過性能を重視した構造になっている。昨年5月に上市したが、生産が追いつかず、いまだに出荷先を絞っている状態。同製品の販売効果で同社のPTCAバルーンの販売数量は、1年前の月1300本から3000本近くに拡大している。
同製品は血管病変部での通過性を重視したセミコンプライアントバルーン。主にステントを留置する前の拡張に使う。製品ラインには、拡張後のバルーン径が1ミリメートル、長さ5ミリメートルという世界最細・最短サイズを揃えており、完全に詰まった病変でも通過できる。
バルーン径に応じて先端チップの長さを変えるなど、病変通過性能を良くするためにバランスのとれた設計になっている。また、従来は親水性コーティングと疎水性コーティングを使いわけていたが、同製品は先端チップからシャフトまですべて親水性コーティングに代えるなど、通過性能に絞った構造にした。
素材は先端チップ、バルーン、シャフトがすべて柔軟性のあるポリエーテルブロックアミド共重合体(PEBAX)。チップとバルーンは高密度PEBAXと低密度PEBAXの3層構造になっており、細く柔らかいセミコンバルーンながら、耐圧性能も持たせてある。保険償還価格は10万円
オーバスネイチは、1996年にコーディスが米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に買収されるまで、コーディス製品のアジア太平洋地域での独占販売権を持っていたコーディスネイチが前身。当初はバルーンカテーテル専業だったが、05年に米ステント開発ベンチャーのオーバス社と合併し、血管内治療機器全体をカバーするメーカーとなった。
現在、同社のPTCAバルーンの国内シェアは約15%。テルモ、グッドマン、カネカの国内メーカー、ボストン・サイエンティフィック、アボット、日本メドトロニックの外資ステントメーカーに次ぐポジションにある。


14.[医学研究]鎮痛薬の感受性決める遺伝子特定、テーラーメイド疼痛治療開始
厚生政策情報センター2012年1月31日

世界初 テーラーメイド疼痛治療の開始 -遺伝子検査で鎮痛薬適量を予測-(1/17)《東京都》
  財団法人東京都医学総合研究所は1月17日に、テーラーメイド疼痛治療を開始することを公表した。
  鎮痛薬の感受性(効きやすさ)には大きな個人差があり、臨床での疼痛管理において大きな問題となっている。今般、同研究所では、鎮痛薬の感受性に関連する遺伝子多型を特定し、それをあらかじめ調べることにより、患者個々人に合った鎮痛薬の投与量を予測することを世界で初めて可能にした。この予測に基づいたテーラーメイド疼痛治療を、東京歯科大学水道橋病院で下顎形成外科手術を受ける患者を対象に開始するという(p1-p2参照)。
  また、今回開始する下顎形成外科手術におけるテーラーメイド疼痛治療は、数十例実施後に従来法と比べて有用であるか検証するとともに、さらに改良を加え、将来的には、がん性疼痛やその他の手術後の疼痛などに対しても、同様のテーラーメイド疼痛治療を行えるよう、システム開発を継続するとしている(p2参照)。
  資料には、テーラーメイド疼痛治療のイメージが示されている(p3参照)。
http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201201_5/1703_5_1.pdf


15.特定看護師は、「ミニ医師」なのか◆Vol.2
コメディカルの誕生経緯で認識の相違も
M3 2012年1月31日

――星先生は、「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」で、特定看護師について「ミニ医師を作るのか」と発言されたこともありました。
星 そう。ミニ医師を作ってはいけない。「医師が全体を俯瞰している」と言いながら、特定看護師を作ったら、俯瞰しなくなるし、コントロール不能になる。医師の指示の下にやると言っても、現実にはそうではなくなる可能性がある。
前原 米国を見ても、医師とPAやNPとの関係は逆転していない。
星 この前、「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」の業務試行事業の視察に行ったのですが、「処方せんは書いてはいけないのですか」と、看護師さんに真顔で聞かれた。同行した薬剤師の先生と、思わず顔を見合わせてしまいましたが。
 つまり、看護の専門性と医療・医学の専門性が異なるからこそ、一緒にチーム力を発揮して価値を増大する方向に働くわけです。それぞれの専門性の間にある信頼関係と相互補完が絶対条件なのです。看護師の専門領域を医師が侵さないのと同じように、医師がやるべき仕事に、看護師が手を出してはいけない。専門性の異なる人が協同するのが、我々が今まで培ってきた医療。お互いの専門性をかじりあって、何とかをすればいい、それぞれ足りないところを補えばいい、というのがチーム医療だとすれば、それは「かじり合い医療」。
前原 いや、医師と看護師の中間的な仕事は絶対あると思う。そこを縦割りにしてやっていたら、それこそチーム医療じゃない。特定看護師は、“診療の補助”の部分を医師の指示の下にもっと役割拡大しましょうという話。米国のNPとは根本的に違い、むしろPAに近い。忙しくても、お互いにカバーし合えるところをやらないから、「医師が来るまで待っていましょう」、あるいは「看護師さんが来るまで待っていましょう」となる。医師がやったっていいわけですよ、看護師さんの仕事を。
 例えば、救急医療でも、トリアージは看護師さんが担う病院が出てきている。あれはもともと医師の仕事。
 透析も以前は医師がやっていたが、今は臨床工学技士がやっている。心臓手術の人工心肺装置の操作もそう。僕も一生懸命勉強した。しかし、今は臨床工学技士が専門にやるようになり、より安全にできるようになった。それで臨床工学士が医師の上に来ましたか。
 だから、中間的職種は絶対に必要。なぜ看護と医学を分けて、その中間を担う職種を作っていけないのか。臨床工学技士を作っていけないとなるのか。
星 前原先生は歴史も、法律も知らないのでは。昔の病院医療では、薬剤師もいたけれど、決して薬局から外に出てこなかった。だから、助産師を除くと、医師と看護師がやっていた。
 看護の専門、つまり診療の補助と療養上の世話は、一般論として全部看護師の仕事だった。これには間違いがない。だからこそ看護教育は非常に幅が広い。ただ、今一般に行われている、例えばリハビリにしても、系統的なリハビリについて看護師は学んでこなかった。今の法律体系において、新しい職種はすべて、「保助看法の第37条の規定にかかわらず」となっています。「保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があった場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をし、その他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない」が第37条。基本的に患者さんに直接触れる医療行為については、すべてそう規定している。
 「リハビリはPT、OT、STに任せましょう」などと進め、確かにその分野の専門性は高まった。けれども、各分野は非常に大きく成長しているので、看護の分野が狭まったかと言うと、そうではない。看護そのものも技術的に進化したので、看護分野も広がっている。
 つまり、私が言っているのは、三次元の問題。医師と看護師の仕事の違いは、ベクトルの違い。そのほかに、看護師にやや近いのかもしれないが、その他の職種のベクトルがある。医師と看護師の仕事の間には、確かに「モザイク」があるかもしれない。しかし、今までその間に、その他の職種が入ったことはない。例えば、医師がSTを通じて看護師と仕事をするということはない。医師はSTに直接指示をする。
前原 だけどそれは言葉の問題であり、反対をするための意見では…。
星 いや違う。僕が言いたいのは、そこが本質だということ。看護の専門性がある。医師の専門性がある。全く同一ではないかもしれないけれど、同じ平面上にある。そして方向性は多少違うかもしれないけれど、両者は患者さんを治すというベクトルを形成している。ただし、看護職の仕事に、いわば穴を開けて作った様々な職種は、看護師と医師の間には入ってこない。
前原 同じ平面にはなくても、縦軸に入っているかもしれない。大きな立体を考えた際に、患者のため、医療を向上するためのベクトルの中に入っているのでは。
星 これははっきり言うけれど、看護の専門性と医師の専門性とは次元が全く違う。
前原 違う、それは認める。
星 他の職種の方に叱られるかもしれないけれど、簡単に言えば、リハビリなどの仕事は、もともとは看護の専門性の一部に付いていた仕事。今までの私たちは、それでバランスを取ってきた。
前原 星先生は看護に対してすごく熱いね。僕は薄いとは言わないけれど、同じ医療をやっていると思っているだけ。看護と医学は、本質的にはベクトルが違うのかもしれない。だけど、ベクトルが違っても、両方を足したもので、医療は成り立っている。
 ただし、こうしたベクトルだけでは、もう賄いきれなくなっている。だから、この新しい制度、特定看護師という制度では、中間的な、より医学に、医療に介入するような人を作りたいと思った。看護師さんも医学のことは多少勉強していますが、今の単位数や実習では圧倒的に足りないでしょう。
星 何度も言っているけれど、私は医師と看護師が目指しているベクトルの間に、他のベクトルを入れるべきではない。しかし、看護師の周りにPT、OT、STがいるように、医師の周りにPAを、全く看護の専門性とは切り離して自分たちが育てて、「それは俺のアシスタントだと」と言うのだったら、私は説明のしようもあるし、理解もできる。
前原 中間の職種は、何も米国にあったからそれを直輸入するのではなく、今の日本の医療を支えるために、維持するために必要。「医師に来てください、と言っても、すぐ来てくれるわけではない」という歴史を繰り返している中で、医師がいなくても、「包括的指示」が出ていれば、やれる部分がある。今の医療は、こうしたことができる人を求めている。そこが出発点だと思う。臨床工学技士のように、より専門性を高くしていけば、医療のレベル、安全性は上がる。
 では、今の医療は安全なのか。今の外科医の労働環境は厳しく、アンケートをすると、若い勤務医では週80時間前後も働いている。これでは、過労死しかねない。こうした勤務医たちを何とかしなければいけないと同時に、より安全・安心の医療を国民に提供し続けなければいけないという事情が、もう一つある。
星 今の話は、先生がいみじくも、自分の首を絞めている。実はおっしゃる通り、PA。外科系の医師のアシスタントが必要だという意味でしょう。


16.「ダ・ビンチ」、前立腺がんで保険適用
第2項先進医療技術のうち23技術も保険で可能に
M3 2012年1月31日

中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が1月30日に開催され、内視鏡下手術用ロボット、「ダ・ビンチ」を用いた前立腺悪性腫瘍手術が、2012年度診療報酬改定で保険適用されることが決定した。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021670.html
特定保険医療材料価格は設定せず、新規技術料の形で評価する。従来は、個別に医療機関を認定して行う「高度医療」(第3項先進医療技術)の形で実施されてきた。
 「ダ・ビンチ」の適用は拡大しており(『ロボット手術「ダ・ビンチ」、日本の消化器癌治療で広がるか』を参照)、前立腺悪性腫瘍手術以外にも、ダ・ビンチによる手術が高度医療の形で実施されているが、その中で前立腺悪性腫瘍に限って保険適用されるのは、有効性・安全性が確認されたため。ただし、それ以外に手術について、「有効性がないわけではなく、今後、確認されれば、保険適用されることになる」(厚労省保険局医療課企画官の迫井正深氏)。
 ダ・ビンチを用いた「根治的前立腺全摘出術における内視鏡下手術用ロボット支援」が高度医療として認められたのは、2009年1月1日。2010年7月1日から1年間の実績を見ると、全国で176件実施され、高度医療の総額は、1億2481万2500円。1件当たり平均約71万円。点数は未定だが、これを参考に設定される。2012年1月1日現在で高度医療の形で実施しているのは、東京医科大学病院(東京)、長久保病院(東京)、岡山大学病院(岡山)、鳥取大学医学部附属病院(鳥取)、藤田保健衛生大学病院(愛知)の5施設。
 そのほか、2012年度改定では、先進医療については、2010年6月までに承認され、実績報告がある89の第2項先進医療技術のうち、23技術が保険適用される(『278の医療技術、新規収載・優先評価』を参照)。CTガイド下気管支鏡検査、腹腔鏡補助下膵体尾部切除又は核出術、内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼術、肝切除手術における画像支援ナビゲーション、マイクロ波子宮内膜アブレーション、内視鏡的大腸粘膜下層剥離術などだ。さらに、新規保険収載128件、既に保険収載されている158件、計278の医療技術について、優先度高く評価する。


17.「後発品のある薬の一般名処方」で加算
処方せん様式も変更、薬局にも後発品の情報提供促す
M3 2012年1月31日

 中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が1月30日開催され、院外処方せんを発行する場合、後発品のある医薬品について一般名処方した場合、加算を新設することが決定した。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000215yd.html
 後発医薬品の使用促進のため、薬局の在庫管理の負担を軽減するのが狙い。処方せん様式も変更、現在は一つでも後発医薬品への変更が不可の場合、すべて「変更不可」になる様式だが、個々の医薬品について変更の可否を明示する方式に改める。
 一方、薬局にも後発医薬品の使用促進策が講じられ、「薬剤服用歴管理指導料」の算定要件に、後発医薬品に関する情報(後発医薬品の有無、価格に関する情報など)の提供が加わるほか、「後発医薬品調剤体制加算」も変更される。
 後発医薬品の使用促進策関連の主な改定項目は以下の通り。
◆ 医療機関における「後発医薬品使用体制加算」の見直し
 ・後発医薬品の採用品目が全体の3割以上と、2割以上の2段階の設定に施設基準を変更(従来は2割以上のみ)。
◆ 一般名処方の推進
・医師が処方せんを交付する際、後発医薬品のある医薬品について一般名処方をした場合に加算を新設。
・一般名処方を行った場合の処方せん料の算定に当たって、「薬剤料における所定単位当たりの薬価」の計算は、当該規格のうち最も薬価が安いものを用いて計算(「205円ルール」への対応)。
◆ 処方せん様式の変更
・個々の医薬品について変更の可否を明示する方式に変更。
◆ 薬局における後発医薬品使用促進策
・「後発医薬品調剤体制加算」は、直近3カ月間の医薬品の調剤数量のうち、後発医薬品の調剤数量が、22%以上、30%以上、35%以上の3段階で設定(従来は、20%以上、25%以上、30%以上の3段階)。
・「後発医薬品調剤加算」と「後発医薬品情報提供料」を廃止するとともに、「薬剤服用歴管理指導料」の算定要件を見直し(薬剤情報提供文書により、後発医薬品の有無および価格に関する情報などを提供することを要件に追加)。


18.【中医協】緩和ケア入院料、算定対象拡大へ
CareerBrain2012年1月31日

中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は30日の総会で、がん医療に関する診療報酬の改定項目について協議した。この中で厚生労働省は、入院初期の緩和ケアの評価や在宅への円滑な移行を促進するため、緩和ケア病棟入院料(一日3780点)を入院期間に応じて3段階の報酬に再編することを提案。日本医療機能評価機構による評価など、これまでの施設基準を見直し、算定対象を拡大する方針を示した。同様に、緩和ケア診療加算の施設基準も緩和し、質の高い緩和ケアを行う医療機関の評価を図る。
 緩和ケア病棟入院料と緩和ケア診療加算については現在、がん治療連携の拠点となる病院かそれに準ずる病院、または日本医療機能評価機構による評価を受けることが施設基準となっているが、厚労省案はこの要件を削除し、算定対象を拡大するというものだ。
 この日の総会では、同機構による評価を対象外とすることを懸念する意見が出たため、厚労省が改定時に出す通知などで、同機構による評価かそれに準ずる評価を受けていることを明示することになった。
■がん拠点病院加算、“がん疑い”での紹介も算定可能に
 厚労省はこれ以外にも、がん医療の改定項目に関する算定要件や施設基準の具体案を示した。
 別の医療機関の医師が悪性腫瘍と診断し、紹介を受けた患者ががん診療連携拠点病院に入院した場合、同病院を評価するがん診療連携拠点病院加算(入院初日500点)については、悪性腫瘍の疑いで紹介され、同病院の医師が悪性腫瘍と診断しても算定できるよう要件を改める。
 また、がん診療連携拠点病院などとの連携による医学管理を評価する「がん治療連携管理料」を新設する。別の医療機関の医師による悪性腫瘍の診断か、または悪性腫瘍の疑いで紹介され、同病院の医師が悪性腫瘍と診断した患者が入院に至らなかった場合、外来での化学療法や放射線治療の実施が算定要件となる。
 さらに、入院中に連携計画を策定し、退院後の治療を行う医療機関との連携を推進するがん治療連携計画策定料(750点)については、現行の報酬を引き継ぐ同策定料1のほか、同策定料2を新たに追加し、2段階に再編する。
 策定料1では、入院中だけでなく、退院後30日以内に計画を策定した場合も算定可能とし、策定料2では、策定料1を算定した患者の状態が変化し、連携医療機関からの紹介を受けて、計画策定病院が計画を変更した場合(がん治療連携指導料の算定が要件)、月1回に限り算定できる。
■外来の放射線治療、チームでの観察を評価へ
 外来の放射線治療については、医師の指示の下、看護師や診療放射線技師ら多職種による患者の観察を評価する「外来放射線照射診療料」を新設する。5年以上の放射線治療の経験を持つ医師が診察を行った日に算定となり、その後7日間は医師の診察がなくても照射を認める一方、2日目以降はチームで患者を観察。照射ごとに内容を記録し、医師に報告する必要がある。算定日を含め、3日以内で照射が終了する場合は報酬が半分になる。専従の看護師と放射線技師が各1人以上いることなどが要件だ。
■疼痛緩和指導管理料を2段階に
 緩和ケアの経験を持つ医師が、痛みの緩和を目的として麻薬を投与しているがん患者に療養上の指導を行った場合の取り組みを評価するがん性疼痛緩和指導管理料(100点)についても、同管理料1と同管理料2に報酬を改める。
 一方、15歳未満の小児患者に対する緩和ケアを評価するため、▽がん性疼痛緩和指導管理料▽緩和ケア診療加算▽外来緩和ケア管理料(2012年度改定で新設予定)―の3項目について、小児加算を新設することも盛り込まれた。
■医療用麻薬4製剤の処方制限を緩和へ
 このほか、在宅での緩和医療を推進するため、一部の医療用麻薬について、現在一度に14日分までとなっている処方制限を緩和。医療現場のニーズを踏まえ、▽コデインリン酸塩(内用)▽ジヒドロコデインリン酸塩(同)▽フェンタニルクエン酸塩の注射剤▽フェンタニルクエン酸塩の経皮吸収型製剤(外用)―の4製剤が対象で、これらの処方を30日分までに改めるとした。


19.【中医協】認知症入院料、3段階の評価に- 30日以内の早期退院を促進
CareerBrain2012年1月31日

厚生労働省は30日、認知症の入院医療を評価する「認知症治療病棟入院料」について、入院30日以内の早期治療への評価を2012年度診療報酬改定で導入する案を中央社会保険医療協議会の総会で示し、了承された。これで同入院料は、入院「30日以内」「31日以上60日以内」「61日以上」の3段階の評価になる。
 同入院料は現在、入院60日以内と61日以上の2段階の評価で、61日以上だと点数が下がる仕組み。
 厚労省の提案は、認知症の行動・心理症状(BPSD)が、入院からおおむね1か月程度で改善されるといわれていることを踏まえたもの。入院30日以内の早期治療を高く評価する一方、61日以上の長期入院の評価を引き下げることで、早期退院を促したい考えだ。
 厚労省はまた、早期退院を促すため、同入院料の「退院調整加算」の要件に退院支援部署の設置を加える一方、点数を引き上げる案を示した。
 このほか、患者の徘徊などに対応するため、夜間に看護補助者を配置し、夜勤を行う看護要員が3人以上いる認知症治療病棟で算定できる「認知症夜間対応加算」を新設する。


20.「介護を見下さない医師は稀少で貴重」- 介護関係者覆面座談会(上)
CareerBrain2012年1月31日

世界一の高齢化社会・日本で働く医師や看護師にとって、高齢者の日常生活を支える介護との連携は、必要不可欠と言える。ならば、パートナーとなる介護福祉士やケアマネジャーら介護関係者は、医師や看護師をどう見ているのか。本当に言いたいこと、伝えたいことは―。施設や在宅で医療関係者と日常的に接している7人の介護関係者に、本音を語ってもらった。
●Aさん 15年余り、介護や福祉の仕事に携わってきた。現在は、訪問介護や訪問入浴の事業所の所長をしている。女性。
●Bさん 介護福祉士として8年目。現在は特別養護老人ホームに勤務。男性。
●Cさん 介護の仕事に携わるようになって10年余り。現在は、居宅介護支援事業所や訪問入浴、訪問介護など、複数の事業所の運営を統括している。女性。
●Dさん 11年間、福祉用具相談員や訪問入浴のヘルパーとして勤務。昨年、ケアマネジャーとなった。男性。
●Eさん 介護保険が導入される前から、ヘルパーとして活動。7年前からはケアマネジャーとして活動している。女性。
●Fさん 介護福祉士。介護老人保健施設で3年余りの勤務経験がある。女性。
●Gさん 介護福祉士。デイサービスに勤務。訪問介護、訪問入浴、グループホームで勤務したことも。男性。
■敬語が使えない、意見書の字が汚過ぎて読めない…
―現場経験豊かな方ばかりなので、医師や看護師と接する機会も多いと思います。まず、医師にはどんな印象を持たれていますか。
G:真っ先に思い浮かぶのは、敬語が使えない人が大多数ということですね。この点、介護関係者も同じかもしれませんが、身内びいきを差し引いても、医師の言葉遣いはひどいと思います。
一同:そうそう。
D:あと、主治医意見書などを書いてもらっても、字が汚くて読めない人もかなりいます。
G:ああ、いますね。まるで自分用のメモ書きのような“書体”で、意見書などを書く人。
F:おかしな話ですけど、難しい字が並ぶ専門用語は、意外とちゃんと書いてあるから、分かりやすい。それ以外の日本語が達筆過ぎて読めないことが結構あります。
A:敬語の件や字の件もそうですが、医師には介護関係者や高齢者に対する配慮が足りない人が多いですね。利用者が痛みを訴えていることを伝えても、「年だからしょうがない」と、利用者の前で言ってしまう医者もいました。それどころか、生活保護を受けている利用者に対し、「この薬だって、一本3万円もするんだよ。税金がもったいない」とまで言い切る人もいました。
C:とにかく、患者や介護関係者を見下してかかる医師が多いと思う。
■「介護さん!」と呼び付ける看護師
―必要な時は敬語を使う。そして、意見書などは誰にでも分かる字で書く。何より介護職員を見下さない。まず、医師はこうした点から気を付けてかかるべきということですね。
F:介護職員を見下しているのは医師だけじゃないです。看護師も同じです。特に老健の医療関係者の中には、医師を頂点に看護師、理学療法士、介護職員という順のヒエラルキーがあると思い込んでいる人が多いから、始末が悪い。わたしは以前の職場で、ある看護師から「介護職は看護師に教えを請う立場にあるの!」と説教されたこともあります。
B:特養でもそうです。本来、看護師もオムツの交換やポータブルトイレの清掃なども、やってしかるべきです。ところが看護師の多くは、そうした業務を避けようとする人が多い。自分が利用者さんを担当している最中ですら、「ちょっと、オムツ交換してよ!」と、介護職員を呼び付ける人も珍しくありません。
F:そうそう。看護師は身体介護をあまりやりたがらないよね。それどころか、看護師の目の前で利用者が転倒したとしても、なぜか「何をやっているの、介護さん!」と、こちらが怒られてしまう。そんなありさまだから、施設の看護師の仕事は、意外と楽と言えるかも(笑)。実際、わたしの目の前で「ナースとしていろんな職場にいたけど、こんな楽な職場は初めて」なんて言う人もいたし。
B:もちろん、中には介護職員と対等という意識で仕事をしてくれる看護師もいるんですよ。そういう人は、排泄介助だって何だって、積極的にこなしてくれます。
F:そうですね…。少数ながら、自発的にポータブルトイレの清掃とかを手伝ってくれる人もいました。ちょっとびっくりして、「いいんですか、そんなことまでやっちゃって。看護部長に怒られませんか」って聞いたら、「いいのよ。もともと看護師がやるべきことなんだから」って言ってくれた。そういう看護師さんと仕事ができる時は、やっぱりうれしい。名前も覚えず、「介護さん!」って呼び付ける人たちが多い中では、本当に稀少で大切な存在だと思います。
B:介護現場にいる看護師は、医者の次のヒエラルキーにいると思い込んでいる人と、現場で働く人はすべてフラットな関係にあると考えている人で、二極化しているんです。
■訪看の“暴走”がプラン崩壊のきっかけに?
―なるほど。この点、在宅の現場ではどうですか。
C:同じですよ。やっぱり、訪問看護の看護師は介護職員を見下していることが多いです。
A:というか、介護職員に対し、直接指示を出してくる看護師が多くて困ります。それも、適切な指示ならいい。困るのは、利用者の家族に対して「何でもヘルパーさんにやってもらえばいいのよ」なんて言って、サービス提供プランにないような生活援助まで、ヘルパーや介護福祉士にやらせようとする人です。その上、褥瘡の処理など、医師の指示が必要なはずのことまで、自分で判断してヘルパーや介護福祉士に指示してくる人もいるんです。
D:確かに、訪問看護の“暴走”でプランが崩壊していくことは、結構ありますね。
―“暴走”ですか。
C:まさに“暴走”です。訪問の時間を守らず、自分の都合のいい時間にやって来る訪看は少なくないし。
E:訪問の時間を守ってくれないと、訪問介護や訪問入浴などとバッティングすることもあるんです。そうなったら、訪問看護も、他のサービスも、どちらも十分なサービスを提供できなくなってしまう。
■認知症について、もっと知ってほしい
―皆さんのお話をお聞きしていると、医療と介護が連携する上で重要なことは、医師や看護師が「介護を見下さない」ということのように思えます。
一同:その通りです。そして、それができている医師や看護師は、本当に稀少で貴重な存在です。
F:あと、利用者の立場に立って、考えたり、発言したりすることですね。
E:確かに。認知症の人に「何回言ったら分かるの?」と、説教じみた言い方をしている看護師もいましたし。
B:認知症については、もっと知ってほしいですね。これは、看護師だけでなく、医師にも言いたいことです。特に時間を割いて、知識や技術を学んでほしいというわけではありません。もちろん、そうしてもらえれば、よりよいのですが、まずは現場で接している高齢者をよく見て、認知症の実情を感覚として理解してほしい。


21.医師にも認めてほしい「治す」以外の意識- 介護関係者覆面座談会(下)
CareerBrain2012年1月30日

■「入院したらおしまい」と感じてしまう
―病院の勤務医や看護師と接することもあると思います。
C:直接、勤務医や病院の看護師と接する機会はあまり多くないのですが、病院全体に対し、はっきり思っているのは、「利用者さんが入院したら、おしまい」ということ。
一同:そうですよね。
G:病院は、利用者が入院に至った原因疾患だけを治療しようとします。例えば、肺炎で入院すれば、肺炎は確実に治るのですが、それ以外の体の機能が落ちたり、別の問題が発生していたりすることが多い。
B:そう。入院前にはなかったのに、退院したら、恐ろしく大きな褥瘡ができていたり。退院サマリーには、そんなこと、一言も書いてなかったから、後でびっくりしました。結局、その利用者さんは、褥瘡のせいで、すぐに別の病院に入院しました。
F:とにかく、利用者が病院に入ると何かがおかしくなるんです。わたしが知っている例では、圧迫骨折で入院せざるを得なくなった独居の女性がいました。骨折がなければ、一人でも自立した生活が送れていた人です。ところが、その女性は、なぜか認知症の人が集まる病棟に入ってしまった。数日後、わたしがその人のところへ様子を見に行くと、「お願い。連れて帰って」と泣いて頼まれましたよ。さらに数日後に様子を見に行った時には、認知症が劇的に進行し、別人のようになっていました…。
A:ほかにもありますよ。障害のため足が湾曲し、歩けない利用者さんが肺炎で入院したのですが、退院後に様子を見に行くと、曲がっているはずの足が妙にすらりと伸び、そして腫れ上がっていました。何と足の骨が折れていたんですよ。さすがに驚いて病院に行き、なぜこんなことになったのかを聞いたんですが、その問いに対する医師の言葉は、「何でですかねえ」。もちろん、謝罪の言葉はありませんでした。
■「病気は診ても人は見ない」ことが一番の問題
―院内で治療中の、それも歩けない人が足の骨を折っているのに、ですか?
A:そうです。とにかく医師は、利用者にも介護関係者にも、自分の間違いを認めようとしないんですよ。
F:仮に間違いを認めても、ごく平然と開き直りますね。ただ、それより頭にくることがある。病気は診ても、人である患者を見ない医療関係者が多いことです。
G:そこですね、問題は。かつてわたしが担当していた利用者さんに、パーキンソン病の人がいたんですが、ある日、投与される薬が変わりました。そうしたら、途端に大声で暴れるようになったんです。仰天して家族と一緒に医者のところへ飛んで行ったら、医者は平然と「ああ、もう薬の副作用が出たんだぁ」と言い放つんですよ。
結局、その人は入院せざるを得ませんでした。その後、入院中の利用者さんを見舞ったんですが、院内で看護師から聞いた言葉は、今でも心に刺さって忘れられません。僕と利用者さんがいるすぐ近くを、「この人、もう終わりね」と言いながら通り過ぎたんです!
■「何で救急車を呼んだ!」と怒る在宅の主治医
―とにかく、病気だけでなく患者を見ること。これを勤務医や看護師には求めたいということですね。しかし、患者の自宅で患者や介護関係者と向き合う在宅医師や看護師の場合、勤務医とは事情が違うようにも思いますが。
F:確かに、市民や介護関係者との壁を取り払おうと、努力されている医師は増えつつありますが…。
D:やっぱり、ひどい医者はいますよ。というか、わたしがケアマネとして診療所に出向くと、たいていの医師はすごく嫌な顔をします。
C:最もあり得ないのは、要介護認定に必要な主治医意見書を書いてもらう時、暗に“袖の下”を求めてくる医師がいることですね。例えば、「主治医意見書がなかったら、要介護認定できないよ」などというふうに。
A:往診に来てくれるのはいいけど、いざという時、救急車を呼んだだけで「何で救急車を呼んだ!」って、へそを曲げてしまう医師も多いですね。
E:治療や処方した薬に疑問を投げ掛けたり、注文を付けたりすると、それだけで怒ってしまう人も珍しくありません。
C:せめて医療に関することだけは、しっかりやってくれと思う瞬間すらあります。例えば訪問入浴の前には、患者の血圧などをチェックする必要があるんですが、それですら、面倒がって省こうとした人もいました。
■医師や看護師である前に「人」であって
―残念な例が多いですが、逆に、いい医師や看護師に巡り合うことはありませんか。
A:もちろん、あります。たんの吸引を必要としている利用者さんのターミナルケアを手掛けた時のことです。たんの吸引時、利用者さんが本当に苦しそうな顔をしていたので、カンファレンスの時、思い切って指摘してみたんです。
 その指摘を聞いた医師は、「わたしたちは、たんがあれば吸引するし、血が出れば止血する。その人にとって最善かどうかは分からないけど、治療の観点に立てば、やるしかない時がある。だから、皆さんのように患者さんの立場に立った意見は本当に参考になります。ありがとう」と言ってくれました。わたしたちの指摘でたん吸引を止めたわけではありません。ありませんが、医師が「治す」以外の視点や考えに目を向けてくれるという、それだけで、現場にいる介護関係者は、医師や看護師と連携する意欲がわいてきます。
F:そうですね。先にも述べましたが、介護や市民との壁を取り払おうと頑張っている医師も増え始めています。簡単にいうと、目の前の病気を治療することだけに専念するのではなく、医療の立場から、患者や家族の生活の仕方までアドバイスする「コンシェルジュ」と言える役割を果たしている人々ですが、こうした医師が増えれば、医療と介護の連携は、もっと容易になるでしょう。
G:医師や看護師は「治す」という意識の下、病気と向き合います。一方、介護関係者は、利用者がよりよい生活を送るにはどうしたらいいかという視点から、人そのものと向き合います。役割が違うのだから、意識が異なるのもやむを得ないでしょう。でも、「治す」とは別の視点で利用者を支えているのが介護だ、ということを理解し、協力してくれるだけで、ずいぶん違うでしょう。
C:中には「俺は自分の病院では治療は受けないよ。不安だから」と言う医師もいますが、それなら変える努力をしてほしい。「自分が倒れた時、今の自分の医療にわが身を預けることができるか」を常に考え、人にされて嫌なことはしないよう心掛けてほしいのです。
F:そうですね。いろいろな意味で、医師や看護師である前に「人」であってほしいですね。


22.2011年の医療機関倒産は32件、2年連続減少
東日本大震災の影響はまだ見られず
日経メディカル2012年1月31日

帝国データバンクは1月19日、2001年から11年までの医療機関と老人福祉事業者の倒産動向調査結果を公表した。11年の倒産件数は、医療機関が32件、老人福祉事業者が14件で、ともに過去最多となった09年(それぞれ52件、32件)から2年連続で減少した(図1)。
 11年の医療機関の倒産件数は、病院が5件(前年比8件減)、診療所が17件(同1件増)、歯科医院が10件(同2件減)で、合計32件(同9件減)だった。
 病院の倒産は07年に18件に急増したが、08年7件、09年10件、10年13件、11年は5件と推移している。また倒産主因も変化しており、07年は「放漫経営、設備投資・経営計画の失敗」が61.1%(18件中11件)、「収入減少」は16.7%(18件中3件)だったが、09~11年は「放漫経営、設備投資・経営計画の失敗」が50.0%(28件中14件)と依然として多いものの、「収入減少」も39.3%(28件中11件)まで増えており、収入減少の影響が大きくなっていることがうかがえる。
 過去11年間に倒産した医療機関の開設から倒産までの期間をみると、病院は「30年以上」が38.9%(90件中35件)で最も多かった。診療所は「5年以上10年未満」「10年以上15年未満」がそれぞれ20.2%(178件中36件)で最も多く、歯科医院は「10年以上15年未満」が27.4%(113件中31件)で最も多かった。診療所や歯科医院と比べ、病院では運営期間の長い病院での倒産の多さが目立つ。
 同社によると、11年3月に発生した東日本大震災を主因とする倒産は、まだ発生していないという。しかし岩手、宮城、福島県の沿岸部などにおいては相当数の施設が津波被害などで休・廃止状態となっており、時間の経過とともに法的整理に踏み切る事業者が出てくる可能性もあると同社はみている。
 12年は4月に診療報酬改定(本体はプラス1.38%)を控えている。また、中小企業の事業主などに対する貸付条件の変更などの措置を金融機関に努力義務として課す「中小企業金融円滑化法(09年12月施行)」が13年3月に終了する見通し(現時点では12年3月までだが、13年3月まで期限を延長する法案が国会に提出中)であることも、今後の倒産動向に影響するとみられる。

図1 医療機関の倒産件数の推移(2001~11年) 帝国データバンク


23.【結婚】教授への謝礼は半数が「30万円以上」
日経メディカル2012年1月31日

 人生の一大イベント、結婚。近年は挙式や披露宴を行わない「地味婚」も増えているが、医師は結婚にどのくらいのお金をかけているのだろうか。
 今回の調査回答者のうち、既婚者は843人。結婚に要した費用は1000万円以上という豪華な医師も2.4%いたが、全体では200万~500万円が5割近くを占めた(Q3)。
 ちなみに、「ゼクシィ結婚トレンド調査2010」によると結婚費用の全国平均は423万円で、今回の調査結果とさほど変わらない。ただ、開業医の子供の場合は費用がかさむ例も多いようで「平均の1.5倍前後という話もよく聞く」(ファイナンシャルプランナーの森部章氏)。
 仲人・媒酌人は、5割以上が「立てた」と答え、うち65%が教授に依頼。謝礼は「30万円以上」が約半数に上り、教授以外に頼んだ場合と比べると明らかな差が(Q4)。「仲人は教授に頼まねばならず、『謝礼は100万円』という不文律がある医局もあった」(某国立大教授)。こんなエピソードもあるだけに、やはり教授への謝礼は“割高”傾向があるようだ。
 ところで、結婚費用は価値観次第で節約が可能だが、不幸にして離婚に至った場合、離婚費用は決して節約できない。その詳細については、別掲記事を参照してほしい。


離婚でモメやすいのは財産分与
 離婚に関するマネーには、慰謝料、財産分与、養育費などがあります。慰謝料は不貞行為や暴力などに対してのみ支払われるもので、相場は100万~300万円。一方、財産分与は、結婚後に形成された夫婦の資産を、たとえ100%片方が稼いだものであっても、共有の財産と見なして2分割します(ただし相続によって得た財産は除外)。互いの資産の把握が難しく、一番モメやすい部分ですね。
 子供がいる場合は、親権を取らなかった方の親に養育費の支払い義務が生じます。養育費は夫婦の年収と子供の人数・年齢に応じた算定表を家庭裁判所が作成していて、ネットでも試算が可能です(例えば夫=非親権者が年収1000万円、妻が年収0円、幼児が1人で月10万~12万円)。この義務は、子供が親権者の再婚相手の養子になってもなくなりません。
 離婚調停の弁護士費用の相場は60万円、裁判では60万~100万円ですが、こじれる前に一度弁護士にご相談を。(談)
◆田代宏樹氏Hiroki Tashiro
弁護士●慶應義塾大学卒。2003年弁護士登録、07年グランディール法律事務所設立。企業法務全般のほか、遺言・相続問題、離婚問題なども幅広く手掛ける。


24.大都会の医療“過疎”地で起こっている悪循環
日経メディカル2012年1月31日

ワシントンD.C.にあるUnity Health Care Clinic―。この小さなクリニックには、一般内科、小児科、産婦人科と、各科のスペシャリストは豊富にそろっているのに、黒人の医師は1人もいません。しかし、ここの患者のほとんどは黒人です。こうしたミスマッチな状況は、なぜ生じているのでしょうか?
「普通」の医療ができないところに、「普通」の医師は集まらない
 私が通ったジョージタウン大学のメディカルスクールのカリキュラムは、1年生のころから基礎医学と臨床の両方を学ばせるというものでした。そこで毎週1日は、習い始めたばかりの診察の仕方を、大学と提携するクリニックで指導医と共に実際の患者を診ながら身につけることになっていました。

by Hiro Kurata at www.shiloku.com
 多くの学生は、自宅から近かったり、臨床教育に優れた指導医がいるクリニックを選びますが、医療過疎地(medically underserved areas)のクリニックにも行けると聞いた私は、そこを志願しました。「授業でよく聞く医療格差とは、いったいどういうものだろう?」という興味があったからです。
 “過疎”というほどですから、都市部から離れた田舎町のクリニックを想像していたのですが、指定されたのはワシントンD.C.の南西地区(southwest)にあるUnity Health Care Clinicでした。ジョージタウン大学のあるnorthwestから車で15分足らずの場所。しかし、このクリニックは、それまで訪れていた大学病院の付属クリニックとは全く異なる雰囲気でした。
 大学病院の付属クリニックでは、小ぎれいな待合室にテレビや雑誌が置いてあり、患者の大部分は白人で占められています。受け付けから診察に呼ばれるまでの時間は短く、何より患者たちの「生活の余裕」を感じさせる雰囲気が漂っています。
 対してUnity Health Care Clinicでは、電球が切れそうな薄暗く狭い待合室で、椅子に座りきれない患者たちが廊下にまであふれ、自分の順番をいつまでも待っています。冒頭で述べたように患者は黒人ばかりで、特に子どもでごった返している(小児科受診、あるいは患者である親に連れられて)という状況。生活に余裕のない雰囲気が一目で感じられました。
 一方で、黒人の医師はいないのです。指導医に理由を尋ねてみたところ、「黒人医師は、ここのような都会の医療過疎地のクリニックでは働きたがらない」との答えでした。マイノリティー(黒人やヒスパニック)の医師の大半は貧困層出身者。彼らが自分の出身地に戻ってマイノリティーの医療を改善するという狙いで、affirmative action(※1)が存在しています。にもかかわらず、医療格差の改善は実現されていない。明確な裏付けはないものの、「もともと経済的に苦労して育ってきた人が、医師になって研修を終えて、わざわざ収入の低い職場を選ぶことはない」(指導医)という理由が推測されるそうです。
※1 affirmative actionとは、underrepresented minoritiesに対して平等なチャンスを与えるための優遇措置で、1960年代に始まりました。例えば、黒人やヒスパニックの医師は人口比率に照らしてかなり少なく、この状況が医療格差に関係してくるのではないかという指摘があります。そのため、メディカルスクールなどが入学志願者を選考する際、簡単に言えば、同じ学力の白人・アジア人・黒人がいれば、黒人を優先的に合格させることが許されています。こうした措置は今も国家レベルで広く行われていますが、逆差別につながりかねないという反対意見もあります。
医療過疎地となっている地域の住民は無保険者または公的保険(メディケイドやメディケア)の対象者であることが多く、そのような患者層を対象にクリニックを経営することは、少なくとも普通の医師にとっては、国や州からの助成金がない限り不可能なのです[1、2]。したがって、医療過疎地は固定化されることになります。
 そこで働く医師は当然、「普通」の地域の一般病院やクリニックで働くよりもたくさんの患者を診なければならないし、たくさん診ても年収は低くなります。そのため、地域貢献への燃えるような志を持った医師、あるいは岡野龍介先生が書かれていたように(働き続けるために、都会の中の“医療過疎地”へ―アメリカJ-1ビザの知られざる側面、2011.10.14)、Visa Waiverが欲しい外国人医師が目立つようになり、「普通」の医師は集まりにくくなります。
 私がUnity Health Care Clinicに通っていた2006年時点では、大学病院の一般内科の平均年収16万ドル程度に対し、Unity Health Care Clinicでは9万ドル程度でした。ただし、Loan Repayment Serviceという医学部学費ローンの返済プログラムが用意されていて、医療過疎地で1年間従事すれば3万~4万ドル程度(働く年数によって変動)を政府が肩代わりして返済してくれるというメリットもあるのですが…。
治安が悪ければ運動療法もできない
 アメリカ人の医師が医療過疎地で働きたがらない理由は、その患者層に求めることもできます。まず、非マイノリティーの医師にとって、患者がマイノリティーばかりとなれば、言語やカルチャーの面で避けようのない壁が存在することになります。日々の生活の基準からして全く異なる患者と、病気という問題を共有することは難しくなります。
 例えば、貧困地域には糖尿病患者がたくさんいますが、食事療法や運動療法を勧めても全く効果はありません。なぜなら、貧困地域の人たちはヘルシーな食品を手に入れること自体が難しいからです。育った環境ゆえに形成された意識を変容させることもかなり困難です。
 運動療法にしても、治安が悪い屋外に出て運動することは、そもそもかなり危険です。屋内で運動する環境(ジムやインドアスポーツ)もありません。医師も人間ですから、こういった治療法を勧めても実行する患者が皆無であれば、仕事に対する士気が下がってしまうことが多々あります。
 2つ目の理由は、貧困地域の患者が抱える疾患の偏りです。Unity Health Care Clinicで働いていると、若い患者の性感染症を多く診ることになります。私の指導医は「こんなに性感染症ばかりを診療することになるとは思わなかった」と言っていました。
 大学病院や付属クリニックのように、幅広い疾患を診ることはありません。年配層では糖尿病、肥満、高血圧のような生活習慣病が当然多いのですが、ほとんどがコントロールされていない重度の患者ばかりです。
 私自身も経験しましたが、診察した子どもに性的虐待の痕跡が残っているようなこともあります。医師として解決できない問題に直面することが多いと、医師の心的ストレスも相当なものになります。
薬も検査も保険者から事前の許可が必要
 3つ目は、薬や検査の処方・オーダーの難しさです。特に公的保険において、むやみにコストの高い治療や検査が行われないようにする目的で、処方・オーダーの前に保険者から“pre-authorization”(仮認定)を取る必要があります。メディケイドやメディケアの患者層を対象にしていると、このpre-authorizationに常に悩まされることになります。
 例えば、未熟児として生まれてきた生後5カ月の乳児にパリビズマブ(Palivizumab:抗RSウイルスのモノクローナル抗体)を処方するため、私の指導医は電話で許可を求めたのですが、そこから2時間ほど待たされることになりました。もちろん、この間にも待合室の患者は増える一方なので、私と交代で電話番をしなければならず、大変面倒でした。確かにパリビズマブは高価な薬ですが、アメリカ小児科学会が推奨している処方ですから、どうしてそんなに時間を要するのか、学生であった当時は理解できませんでした。
 このように、エビデンスがある薬を使うことができなかったり、必要と判断した検査がオーダーしにくかったりという制限が多い現場を、大半の医師はやりがいのない職場として嫌います。
 最先端の医療を世界に誇るアメリカですが、一方では大きな医療格差という問題を抱えていることはご存知の通りです。今回は患者の経済的な事情によるものを紹介してきましたが、人種による格差もいまだになくなっていないのが実情です。例えば、同じような胸痛を訴える白人患者と黒人患者を比べると、所得や住む場所に関係なく、黒人患者の方が劣った治療を受けているとする報告があります[3]。
 そんなことも知らずにメディカルスクールに入った私は、1年生のときに大きな衝撃を受けました。次回は、その大きな衝撃について、ご紹介したいと思います。
【References】
1)Peter J. Cunningham, et al: Medicaid Patients Increasingly Concentrated Among Physicians, Center for Studying Health System Change, 2006.
 http://hschange.org/CONTENT/866/
2)The South Dakota State Medical Association: Medicaid Reimbursement: Medicaid Rates and Provider Participation: Considerations for South Dakota Policymakers, 2009.
 http://www.sdsma.org/documents/MedicaidSummerStudy.final.pdf
3) Agency for Healthcare Research and Quality: Addressing Racial and Ethnic Disparities in Health Care.
 http://www.ahrq.gov/research/disparit.htm


25.地域の実情に沿うのが家庭医、米国式を直輸入するつもりはない
米国で学ぶ日本人医師たち
日経メディカル2012年1月31日

ピッツバーグ大家庭医療講座の研修プログラムは、1969年に開始され、全米で最も古い歴史を持つプログラムの1つだ。同プログラムには、歴代15人の日本人レジデントが学び、現在も5人(うち1人はフェロー)の日本人が在籍している。
 同プログラムでは、地域医療や家庭医療センターにおける外来管理を教え、B. バナッキィ氏(本特集Vol.7参照)のような開業医からも実地診療の指導を受ける。さらに、小児科、産婦人科、ER、ICUなどを回り、一般的な疾患や出産などに対応可能な家庭医を養成している。
 同プログラム2年次レジデントの林恒存氏は、「日本でも後期研修の家庭医養成プログラムは増えている。ただ、ある程度のキャリアを積んだ医師として、仕事をしながら家庭医の知識や技能を学べるポジションを見つけるのは難しかった」と渡米の理由を話す。
 また、研修プログラムを修了し、現在、同講座指導医育成フェローの廣岡伸隆氏は、「米国はシステムづくりが上手。家庭医としての教育を受けたかったこともあるが、システムのつくり方も学びたかった」と言う。
 林氏は総合内科・救急科、廣岡氏は循環器科から家庭医療の道に飛び込んだ。米国でのプログラム修了後は、日本に戻り診療を行いたいと考えている。ただし、この2人だけでなく、他の日本人レジデント全員の共通認識は、「米国式の家庭医療を日本にそのまま持ち帰ってもだめ」ということだ。
 そもそも家庭医は、地域や患者のニーズに合わせた診療を提供することを第一の目標とする。ゆえに、「米国の家庭医療を日本の実情に合わせてアレンジする必要がある。そのための方法論も学んでいる」と廣岡氏。
 同講座の指導医を務める竹大禎一氏は、「個々の患者ニーズをまず理解すること、そして、エビデンスをよく理解して使いこなせるようになってほしい」と、日々、家庭医の基本的な考え方を指導している。


26.日本老年医学会が終末期医療への立場表明を改訂
治療の差し控えや中止を選択肢として示す
日経メディカル2012年1月31日

日本老年医学会は1月28日、「高齢者の終末期の医療およびケアに関する立場表明 2012」を理事会で承認し、終末期の治療の差し控えや中止を考慮する必要性を学会として初めて明記した。
 日本老年医学会は、死を迎える高齢者の医療やケアの指針として、01年6月に立場表明を発表。10年以上を経た現在、患者中心の医療が定着し、死や終末期をタブー視する傾向が弱まったほか、自分なりの尊厳ある終末期を迎えたいと考える人が増えている。高齢者医療やケアの実態や意識のこうした変化を踏まえ、同学会は立場表明を改訂する。
 新しい立場表明は、「年齢による差別に反対する」「本人の満足を物差しに」「緩和医療およびケアの普及」など11項目からなる。
 最も大きな変更点は、治療の差し控えや中止にまで踏み込んだ点だ。今回の立場表明では、胃瘻を含む経管栄養や、気管切開、人工呼吸器装着などの適応を慎重に検討すべきとした上で、「何らかの治療が、患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させる可能性があるときには、治療の差し控えや治療からの撤退も選択肢として考慮する必要がある」とした。
 患者に対して、「考えられる予後や終末期の医療やケアに伴って起こりうる病状経過についての話し合いと合意が必要である」ことを強調。その上で、患者の意思の確認が困難なケースでは、家族などと患者の意思を推定することや、事前指示書などの導入を検討することを推奨している。
 一方で、緩和ケアについて、「高齢者のあらゆる終末期において広く適用されることが望まれる」とした。現在、ホスピスの利用や疼痛緩和薬などの適応対象となっているのは主として癌患者だが、癌以外でも終末期に苦痛を伴うことは少なくない。
 改訂された立場表明は近く、日本老年医学会雑誌と学会のウェブサイトに掲載される見通しだ。


27.平成の大合併に消えた福祉のまち・鷹巣
色平哲郎(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)
日経メディカル2012年1月31日

かつて秋田県に「鷹巣町」という、住民参加の福祉のまちづくりで
 一世を風靡した自治体があったことを覚えておられるだろうか。
 1991年に高齢者福祉の充実を掲げた岩川徹氏が町長に当選して以来、
 3期12年、鷹巣町は全国トップの高齢者福祉の水準を維持した。
 94年オープンの「ケアタウンたかのす」は、その輝きの象徴だった。
 完全個室の定員80人の老人保健施設を核とし、
 周辺にデイサービスやケアつき住宅、補助器具センターなどを
 配した複合施設群が集積されていた。
 入居者の要介護度の平均は4を超え、重篤な症状の人もどんどん受け入れた。
 高水準を保つため、マンパワーを惜しみなく注ぎ込んだ。
 2002年末の職員の数は、医師1、看護師7、介護職員49、相談員3、
 療法士4、栄養士5……と、パートの職員も加えると実に90人。
 介護職は三交代制で、「1人夜勤」は存在しなかった。
 ケアタウンの運営母体は「たかのす福祉公社」で、町の準直営だった。
 介護保険収入だけでは人件費を賄えないので、
 人口2万2000人の鷹巣町の、一般会計予算約90億円のうち、
 老健のために毎年1億円を使っていた。
 町長の英断と裁量権があってこその高福祉だった。
 ところが、2003年の町長選挙で、岩川氏は落選する。
 「福祉のまち」に誇りを持っていたはずの町民が、
 高レベルの社会福祉に「ノー」を突きつけ、
 対立候補が主張する「市町村合併」に伴う「特例債」での
 公共事業や、「身の丈福祉」を選んだのである。
 当時この選挙結果は、介護や医療に関わる者に「鷹巣ショック」をもたらした。
 その後、鷹巣町は2005年に他の3つの町と広域合併し、「北秋田市」となった。
 「ケアタウンたかのす」の運営母体は、市の社会福祉協議会に変わっている。
 鷹巣町の軌跡を振りかえるにつけ、地方自治体の首長と、
 医療や福祉の関係はどうあるべきか、改めて考えさせられる。
 経済が右肩上がりで、都市部から剰余金(儲け)を地方へ還元できたころは、
 医療機関も自律性と自立性を保ち、首長との関係は、つかず離れずでよかった。
 しかし、平成の大合併を経て、国の地方交付税で7割近く賄われる特例債も
 結局は借金であることが明らかになった。地方財政が逼迫すればするほど、
 行政側から医療や福祉への「期待」(を込めた介入?)の度合いは大きくなる。
 だからといって、リーダーシップのある首長に依存してしまうようのも危険だ。
 民意の風向き次第で、鷹巣町のように大逆転現象が生じかねない。
 本来、医療や福祉は、政権や選挙に関係なく、
 社会的な共通資産として維持されねばならない。
 そのためには官に頼るだけではなく、「協」の役割、
 つまり「お互いさま」「おかげさまで」といった
 住民自身の力量がますます重要になってくるのではないか。
●いろひら てつろう氏。東大理科1類を中退し世界を放浪後、京大医学部入学。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。


28.市民ランナーの心停止、「男性」「フルマラソン」がハイリスク
2005年以降の発生率は大きく上昇(NEJM誌から)
日経メディカル2012年1月31日

一般市民が参加するフルマラソンやハーフマラソンなどの長距離レース中の心停止の発生率は、参加者10万人当たり0.54で、うち7割が死亡。「男性」「フルマラソン」がハイリスクで、死因として最も多いのは肥大型心筋症。生存の予測因子は目撃者による心肺蘇生開始―。そんなデータが、米Harvard大学医学部のJonathan H. Kim氏らが行ったRACER研究で得られ、NEJM誌2012年1月12日号に掲載された。
 米国でも、マラソンなどの長距離走レースに参加する一般市民が増えている。2010年には約200万人の市民がフルマラソンまたはハーフマラソンに参加したと推算されている。参加者が増えた理由の1つは、定期的な運動による健康増進に関心が集まっていることだと考えられるが、一方で、レース後の心機能の異常やレース中の心停止の報告が増えており、競技会開催の安全性について議論されるようになった。
 若いスポーツ選手の突然死については様々な分析が行われてきたが、そこで得られたデータを、より年齢の高い市民ランナーに適用することはできない。しかし、これまで、長距離レース中に発生した市民ランナーの心停止例を集めて臨床的特徴を調べた研究はなかった。
 著者らは2000年1月1日から2010年3月31日までに開催されたフルマラソンとハーフマラソンの参加者の、レース中またはゴール後1時間以内の心停止の発生率と転帰を後ろ向きに調べた。心停止後の生存者には面接調査を行い、人口統計学的特徴、ランニングその他の運動の経験、本人と家族の医療歴などの情報を収集し、医療記録も分析した。死亡例については、近親者に対する面接と、医療記録、剖検データの分析を行った。
 レース参加者1090万人のうち、59人(平均年齢42±13歳、86%が男性)が心停止を起こしていた。40人がフルマラソン、19人がハーフマラソン参加者だった。心停止の発生率は参加者10万人当たり0.54(95%信頼区間0.41-0.70)だった。
 心停止発生率は、ハーフマラソンに比べてフルマラソンの方が有意に高かった。10万人当たり0.27(0.17-0.43)と1.01(0.72-1.38)で、P<0.001。また、女性より男性に多かった。10万人当たり0.16(0.07-0.31)と0.90(0.67-1.18)で、P<0.001。
 ハイリスクの組み合わせと考えられた男性のフルマラソン参加者の心停止発生率は、10万人当たり1.41(0.98-1.97)で、00~04年は10万人当たり0.71(0.31-1.40)、05~10年は2.03(1.33-2.98)と、大きく上昇していた(P=0.01)。
 心停止を起こした59人のうち、42人(71%、10万人当たり0.39、0.28-0.52)が死亡した。死亡者の平均年齢は39±9歳、生存者の平均年齢は49±10歳だった(P=0.002)。死亡もまた、ハーフマラソン参加者よりフルマラソン参加者に多く(10万人当たり0.25〔0.14-0.36〕と0.63〔0.41-0.93〕)、女性より男性に多かった(10万人当たり0.14〔0.06-0.29〕と0.62〔0.43-0.86〕)。
 心停止の原因を明らかにするために必要な臨床データが得られたのは31人のランナーで、うち23人が死亡していた。剖検により死因が肥大型心筋症と判断された患者(左室重量が500g超)が8人、肥大型心筋症と考えられた患者(左室重量が男性は400~499g、女性は350~499g)が7人いた。これら15人中9人には、心筋症以外の疾患も見つかった。閉塞性冠疾患が3人、心筋炎が2人、大動脈二尖弁または冠動脈の異常が2人、房室結節に副伝導路が存在していた患者が1人、高体温が1人。
 左室肥大が見られなかった8人の死因は、低ナトリウム血症(2人)、高体温(1人)、催不整脈性右室心筋症(1人)、不整脈によると推定(2人)だった。残る2人は、剖検で死因が判定できなかった。
 一方、生存者8人の心停止の原因を調べたところ、5人は心筋梗塞、2人は非虚血性心室頻拍と見なされた。1人の患者については原因が特定できなかった。
 これら31人を生存者と死亡者に分けて臨床情報を比較したところ、生存者の方が年齢は高く(53.1±6.5歳と33.9±9.5歳、P<0.001)、長距離走完走経験が多かった(3.5回と1.5回、P=0.02)。また、かかりつけ医との関係を築けていた患者、心停止前にアテローム性動脈硬化の危険因子の存在を指摘されていた患者も生存群に多かった。
 生存の予測因子として最も強力だったのは、目撃者による心肺蘇生開始(P=0.01)と、肥大型心筋症以外の診断歴(P=0.01)であり、「心肺蘇生時のリズム解析で心室細動または心室頻拍を検出」と「長距離走完走歴」も、心停止後の生存の独立した予測因子であることが明らかになった。
 これまでに行われた研究では、大学の運動選手の突然死の年間発生率は4万3770人当たり1人、トライアスロン参加者では5万2630人に1人、それまで健康だった中年ジョガーでは7620人に1人と報告されている。それらと比べると、長距離走参加者の突然死の発生率は低かった。また、心停止者の死亡率は71%で、院外心停止者について報告されている死亡率(北米の報告では92%)より好ましい値だった。
 著者らは、「レースに参加する可能性がある人を診察する医師は、肥大型心筋症とアテローム性疾患のリスクに注意を払う必要があるだろう」と述べている。
 原題は「Cardiac Arrest during Long-Distance Running Races」
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1106468


29.妊娠後期のSSRIは新生児遷延性肺高血圧症リスクを高める
北欧で行われたコホート研究の結果(BMJ誌から)
日経メディカル2012年1月31日

 妊娠後期の妊婦が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を使用すると、新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)のリスクが2倍に高まることが、北欧で行われた住民ベースのコホート研究で明らかになった。スウェーデンKarolinska大学病院のHelle Kieler氏らが、BMJ誌電子版に2012年1月12日に報告した。
 PPHNは新生児の生命を脅かす深刻な病気で、主に満期産児と過期産児に見られる。危険因子として、母親の過体重、喫煙、糖尿病、妊娠中の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用などが知られている。
 一方、妊娠中に7~25%の女性がうつ状態になるといわれており、近年、妊婦へのSSRI投与が増えている。これまでにも、SSRIの使用とPPHNの関係を調べた研究は複数行われているが、SSRI使用によるリスク上昇はないとするものから、曝露児のリスクは非曝露児の6倍という報告まで、結果は様々だった。
 著者らは、これまでに行われた研究の結果に基づいて、主に妊娠後期のSSRIの使用とPPHNの関係に焦点を絞り、十分な統計学的パワーを持つコホート研究を行おうと考えた。
 デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの国民健康登録から、1996~2007年に、妊娠33週以降で単生児を出産した母親と小児161万8255組の情報を得た。
 主要評価指標は、妊娠後期のSSRI曝露と生後7日以内のPPHN診断の関係とした。加えて、妊娠初期のSSRI曝露とPPHNリスクの関係や、個々のSSRIとPPHNリスクの関係も評価した。交絡因子候補として、母親の喫煙、年齢、BMI、NSAIDsの使用、糖尿病治療薬の使用、妊娠中の病歴、出産した病院、出産した国、出産年、出産順位で調整し、SSRI非曝露児に対する曝露児のオッズ比を求めた。
 約3万人が妊娠中にSSRIを使用しており、うち20週以降にSSRIを使用していた妊婦は1万1014人、妊娠初期のみSSRIを使用していた妊婦は1万7053人いた。
 妊娠後期にSSRIの曝露を受けた1万1014人の新生児のうち、33人がPPHNと診断された。うち3人には、PPHNリスクを高めることが知られている胎便吸引が認められた。SSRI曝露群のPPHNの絶対リスクは、新生児1000人当たり3人になった。一方、SSRI曝露なしの妊婦は158万8140人で、PPHNの絶対リスクは1000人当たり1.2人だった。非曝露児と比較した曝露児の調整オッズ比は2.1(95%信頼区間1.5-3.0)となった。胎便吸引があった3人を除くと、リスクはわずかに上昇する程度だった。
個々のSSRIのPPHNリスクはほぼ同様だった。妊娠後期にフルオキセチンを使用した場合のPPHNの調整オッズ比は2.0(1.0-3.8)、シタロプラムは2.3(1.2-4.1)、パロキセチンは2.8(1.2-6.7)、セルトラリンは2.3(1.3-4.4)。エスシタロプラムは有意なリスク上昇を示さず(1.3、0.2-9.5)、フルボキサミンでは曝露してPPHNと診断された新生児はいなかった。
 著者らは、SSRIの作用機序を推定するために、セロトニンまたはノルエピネフリンの活性に影響を与える他の抗うつ薬(クロミプラミン、ベンラファキシン、イミプラミン、アミトリプチリン、デュロキセチン、ドスレピン、ミルナシプラン、トラゾドン、ネファゾドン、モクロベミド)の妊娠後期の曝露とPPHNリスクの関係も評価した。非曝露群と比較した曝露群のPPHNのオッズ比は、2.9(0.9-8.9)と、有意ではないもののリスク上昇傾向を示した。このデータを基に、著者らは、「PPHNの発症にセロトニン自体が影響する可能性がある」との考えを示した。
 一方、妊娠8週までの期間だけSSRIの処方を受けていた妊婦は1万7053人で、PPHNと診断された新生児は32人だった。調整オッズ比は1.4(1.0-2.0)と、小さいながらもリスク上昇を示した。個々のSSRIでは、シタロプラム(オッズ比1.8、1.1-3.0)、セルトラリン(1.9、1.0-3.6)以外は有意なリスク上昇をもたらしていなかった。
 セロトニンまたはノルエピネフリンの活性に影響を与える他の抗うつ薬については、妊娠初期の使用はPPHNリスクを高めていなかった(0.6、0.1-2.3)。
 「PPHNの絶対リスクは低いが、妊娠後期のSSRI曝露はPPHNリスクを有意に高めており、リスク上昇はクラスエフェクトと考えられる」と著者らは述べている。さらに、「妊婦へのSSRIの投与には注意が必要で、妊娠後期にも投与を検討せざるを得ないケースについては、利益とリスクのバランスを十分に勘案する必要がある」と注意を促している。
 原題は「Selective serotonin reuptake inhibitors during pregnancy and risk of persistent pulmonary hypertension in the newborn: population based cohort study from the five Nordic countries」
http://www.bmj.com/content/344/bmj.d8012


30.複数の州でリステリア症が流行
【原題】Multistate Outbreak of Listeriosis
Journal Watch Hospital Medicine日経メディカル2012年1月31日

Cantaloupe from a farm in Colorado has been implicated in the third largest outbreak of listeriosis in the U.S.
In humans, listeriosis usually is acquired by consumption of contaminated food. Illness is mild in most people but can cause serious problems in pregnant women and is sometimes fatal in older or immunocompromised individuals. On September 2, 2011, the CDC was notified of seven cases of listeriosis that had occurred in Colorado since August 28, 2011. Investigation revealed that the seven patients had all consumed cantaloupe during the preceding month, and three of them had eaten “Rocky Ford” cantaloupes. On September 14, the grower ― Jensen Farms, in Colorado ― issued a voluntary recall of its melons.
Four different pulsed-field gel electrophoresis pattern combinations and two serotypes of Listeria monocytogenes were associated with the outbreak. By September 29, 84 cases linked to one of the outbreak strains had been reported from 19 states. All four strains were isolated from cantaloupes collected from the patients’ homes or recovered from grocery stores or the grower’s farm.
Eighty-eight percent of patients were aged ≧60, and 55% were female; only two were pregnant. Ninety-two percent of those with information on food consumption reported eating cantaloupe during the preceding month. Fifteen patients died.
COMMENT
This listeriosis outbreak is the first to be associated with melon and the third largest ever in the U.S. The number of cases is likely to increase due to the potentially long incubation period for this infection. The current recommendation is to avoid cantaloupes from Jensen Farms and those of uncertain origin.
― Larry M. Baddour, MD, Journal Watch Infectious Diseases
Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Multistate outbreak of listeriosis associated with Jensen Farms cantaloupe ― United States, August― September 2011. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2011 Oct 7; 60:1357.


31.超早産児無呼吸へのカフェイン療法、長期5年での無障害生存に有意な改善を示さず
CareNet2012年1月31日

超早産児無呼吸に対するカフェイン投与は、生後18ヵ月における脳性麻痺や認知機能遅延リスクを低下する効果があるが、生後5年時点では、死亡と機能障害を合わせた発生率はプラセボ群と同等で、同療法が長期的には障害のない生存率の改善にはつながらないことが報告された。運動障害や認知障害などの個別の発症率についても、カフェイン投与による低下は認められなかった。米国・ペンシルベニア大学のBarbara Schmidt氏らが、約1,600例を対象とした無作為化プラセボ対照試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年1月18日号で発表した。
出生児体重500~1,250gの1,640人について5歳まで追跡
Schmidt氏らは、1999~2004年に行われた超早産児無呼吸へのカフェイン療法に関する無作為化プラセボ対照試験「Caffeine for Apnea of Prematurity」の被験者のうち1,640例について、2005~2011年にかけ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ、イスラエルの31ヵ所の教育病院を通じ追跡調査を行った。
Caffeine for Apnea of Prematurityの被験児は、出生児体重500~1250gで、担当医がカフェイン投与の必要性があると判断した新生児で、同試験では、被験児を無作為に二群に分け、一方にはクエン酸カフェイン(当初20mg/kg/日、その後5mg/kg/日、無呼吸が持続した場合には10mg/kg/日まで増加)を投与し、もう一方の群にはプラセボが投与された。
投与期間の中央値は、カフェイン群が37日、プラセボ群が36日だった。
死亡・機能障害の統合発生率、カフェイン群が21%、プラセボ群が25%で有意差は見られず
主要評価項目は、生後5年での死亡または障害が1つ以上伴う生存の複合アウトカムとした。障害の定義は、粗大運動機能分類システム(GMFCS)レベル3~5の運動障害、全検査IQで70未満の認知障害、行動障害、健康状態不良、聴覚消失、失明だった。
その結果、複合アウトカムの発生率は、カフェイン群が21.1%、プラセボ群24.8%で、両群で有意差はなかった(p=0.09)。
また、死亡率、運動障害、行動障害、健康状態不良、聴覚消失、失明のいずれの発生率についても、両群で有意差はなかった。
認知障害の発生率は、18ヵ月時点よりも5歳時点のほうが低かったが、プラセボ群と有意差は認められなかった(4.9%対5.1%、オッズ比:0.97、95%信頼区間:0.61~1.55、p=0.89)。
http://pmc.carenet.com/?pmid=22253394&keiro=journal


32.P2Y12阻害薬cangrelor、待機的CABG患者の橋渡し使用の有効性と安全性
CareNet2012年1月31日

チエノピリジン系抗血小板薬を服用する待機的冠動脈バイパス術(CABG)患者について、術前に同薬服用を中止後、代わりにP2Y12阻害薬cangrelorを投与することで、何も服用しない場合に比べて治療期間中の血小板反応性は低く維持できることが報告された。また同薬投与群のCABG関連の有意な出血リスク増大が認められなかったことも報告された。米国・フロリダ大学のDominick J. Angiolillo氏らによる試験の結果、明らかにされたもので、JAMA誌2012年1月18日号で発表された。診療ガイドラインでは、出血リスク増大のため、CABG実施前5~7日のチエノピリジン系抗血小板薬の服用中止が勧告されている。
CABG実施前、治療群にはcangrelorを48時間以上投与
研究グループはP2Y12阻害薬cangrelorの橋渡し使用について検討するため、2009年1月~2011年4月にかけて、急性冠症候群または冠動脈ステント留置術を受け、CABG待機中の患者210人を対象とする、多施設共同前向き無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。被験者は、チエノピリジン系抗血小板薬を服用していた。
研究グループは被験者を無作為に二群に分け、チエノピリジン系抗血小板薬を中止後、一方の群には可逆的P2Y12阻害薬cangrelorを0.75μg/kg/分静注投与し、もう一方の群にはプラセボを、それぞれ48時間以上、CABG実施の直前まで投与した。
主要有効性エンドポイントは、血小板反応性(P2Y12反応単位PRUで測定)で連日評価した。また主要安全性エンドポイントはCABG関連の出血とした。
PRU240未満、治療群でプラセボ群の約5倍
結果、全治療期間中の血小板反応性について、PRUが240未満と低かったのは、プラセボ群19.0%(84人中16人)に対し、cangrelor群では98.8%(84人中83人)と有意に高率だった(相対リスク:5.2、95%信頼区間:3.3~8.1、p<0.001)。
CABG関連の過度な出血の発生率は、プラセボ群10.4%に対し、cangrelor群11.8%であり、両群で有意差は認められなかった(p=0.763)。軽度の出血エピソードはcangrelorで数的には多かったが、CABG関連の重大出血に有意差は認められなかった。
http://pmc.carenet.com/?pmid=22253393&keiro=journal


33.D3P前のホルモン療法はリスク?
去勢抵抗性前立腺癌のドセタキセル導入、二次ホルモン療法歴の影響は?
第49回日本癌治療学会学術集会
 島居徹(筑波大学附属病院茨城県地域臨床教育センター泌尿器科)

2011年10月28日に行われた第49回日本癌治療学会学術集会で、「去勢抵抗性前立腺癌ドセタキセル療法における二次ホルモン治療歴はリスク因子か?」と題して発表した内容の一部を報告する。
 ドセタキセルの承認後、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対する治療戦略は変化した。海外の診療ガイドラインでは、二次ホルモン療法と同列あるいは先行させてドセタキセルを導入するよう位置づける傾向が見られるが、国内では二次ホルモン療法を先行させる例も少なくない。
 そこで、二次ホルモン療法歴の有無と、ドセタキセルの奏効率や導入後の全生存期間(OS)の差を検討した。また、CRPCの全治療戦略を鑑みるに、CRPCの診断後のOSについても解析する必要があると考えられた(図1)。

図1:画像をクリックすると拡大表示
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目的・方法
 CRPCに対する3週毎ドセタキセル・プレドニゾロン併用(D3P)療法は、日本においても標準治療として定着しつつあるが、用量、導入時期、継続期間などの課題が残されている。今回、導入時期の検討のため、二次ホルモン療法歴の有無による奏効率の差、D3P療法導入後あるいはCRPC診断後のOSをレトロスペクティブに解析した。
 対象は、2005年9月から2011年9月までの6年間に筑波大学附属病院でD3P療法を施行した37人。二次ホルモン療法歴の有無で2群に分け、効果と有害事象の差を検討した。年齢、観察期間、解析方法は図2に示した。

図2
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結 果
 患者背景では、二次ホルモン療法歴を有するのは19人で、その内訳は硫酸エストラムスチン(EMP)単独治療が11人、副腎皮質ステロイドが8人、EMPと経口エトポシド(VP-16)併用例が5人、その他が5人であった(重複あり)。年齢は、二次ホルモン療法あり群が有意に高かった(p=0.0143)が、Gleasonスコア、転移部位、活動度(PS)、導入時PSA値に差は見られなかった。
 前立腺特異抗原(PSA)奏効率は、二次ホルモン療法なし群が83.3%と有意に良好であった(あり群47.4%、p=0.022:図3)。OSについては、なし群で延長(24カ月vs 22カ月)している傾向はあるものの、有意ではなかった。一方、CRPC診断後のOSは有意にあり群が延長していた(35カ月vs 26カ月、p=0.015:図4)。多変量解析では、二次ホルモン療法歴は、D3P療法導入後のOSに関してはリスク因子であったが、CRPC診断後のOSに関しては有意なリスク因子ではなかった(図5)。

図3
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図4
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図5
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D3P導入時期に個別化の必要性
 TAX327のサブ解析では、二次ホルモン療法としてのEMP歴はOSのリスク因子とされている。今回もD3P療法の奏効率の低下、D3P導入後OSに関するリスク因子である可能性が示唆された。ただし、CRPC診断後のOSはむしろ短縮が見られ、「D3P早期導入が標準」とは言い切れないと考えられた。二次ホルモン療法あるいはD3P療法の奏効例を予測し、治療を個別化していくことが、CRPCの治療戦略では必要と考えられた。


34.Statins Equally Effective in Women and Men
Cholesterol-lowering drugs reduce cardiovascular events, death for both sexes, researchers say
HealthDay News2012年1月30日

Cholesterol-lowering drugs known as statins are equally effective in men and women, a new study finds.
For both males and females, these drugs lowered the risk of a heart attack by about 20 percent, the researchers say. Previously, some thought that statins, which include Lipitor, Lovastatin and Crestor, benefited women less than men.
"Statin therapy should be used to treat all appropriate patients, regardless of gender," said lead researcher Dr. William Kostis, of the cardiology division at Massachusetts General Hospital in Boston.
"Despite prior concerns in the literature, the benefits of statin therapy pertain to both women and men," he added.
The report was published in the Jan. 30 online edition of the Journal of the American College of Cardiology.
Cardiovascular disease remains the leading cause of death among women and men in the United States. Statins are designed to lower bad cholesterol levels, which increase the risk of heart attack and stroke, and raise good cholesterol levels.
To compare statins' effectiveness in men and women, Kostis' team analyzed data from 18 clinical trials that involved more than 140,000 patients, including more than 40,000 women.
Researchers use this kind of study, called a meta-analysis, to look for common patterns that might have been overlooked in the original report.
Kostis' group found fewer cardiovascular events and fewer deaths from any cause among those taking statins, regardless of gender.
Dr. Lori Mosca, director of preventive cardiology at New-York Presbyterian Hospital in New York City and author of an accompanying journal editorial, said that "women and men have the same relative benefit with statins as far as reducing the future risk of a heart problem is concerned, but because women often start off at a lower risk level than men the net benefit is likely less."
But there isn't enough data to make solid conclusions about gender differences in the risk-to-benefit ratio for patients who don't have definite heart disease, she said.
"However, even among patients without heart disease, statins can be considered for prevention in women, but the net benefit and risks, including potential for side effects such as muscle problems and possible increased risk of diabetes, should be taken into consideration," Mosca said.
Another expert, Dr. Gregg C. Fonarow, a professor of cardiovascular medicine and science at the University of California, Los Angeles, said many trials have shown statin treatment reduces fatal and nonfatal cardiovascular events in apparently healthy people as well as those with cardiovascular disease.
While national guidelines recommend that men and women receive statin medications to prevent and treat cardiovascular disease, some experts felt there was insufficient evidence to make strong recommendations for statin use in women, particularly in regards to preventing cardiovascular disease, Fonarow said.
But this study answers those concerns, he said.
"Statin therapy, together with a healthy diet and exercise, provides substantial cardiovascular protection to women and men," Fonarow said. "The answer to the question as to whether statins work equally well for both sexes, is a definitive yes."
More information
For more information on statins, visit the U.S. National Library of Medicine.
SOURCES: William Kostis, Ph.D., M.D., Cardiology Division, Massachusetts General Hospital, Boston; Lori Mosca, M.D., Ph.D., director, Preventive Cardiology, New-York Presbyterian Hospital, New York City; Gregg C. Fonarow, M.D., Eliot Corday Professor of Cardiovascular Medicine and Science, University of California, Los Angeles; Jan. 30, 2012, Journal of the American College of Cardiology, online
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=661103


35.More Newborns Suffering Drug Withdrawal at Birth
Doctors seeing more women taking illicit drugs, prescription painkillers during pregnancy
HealthDay News2012年1月30日

A dramatic rise in newborns experiencing drug withdrawal after being exposed in the womb poses challenges for clinicians on how to detox these tiny victims, a new report indicates.
The American Academy of Pediatrics (AAP) has released its first updated guidelines on neonatal drug withdrawal since 1998, partly in response to the escalating abuse of both illicit and prescription drugs by pregnant women and partly in recognition of better pain management techniques for babies who are critically ill.
"There have been pockets of the country where up to 25 percent of all NICU [neonatal intensive care unit] babies at any given time are being treated for withdrawal," said report co-author Dr. Mark Hudak, a professor of pediatrics at the University of Florida College of Medicine in Jacksonville. "The problem has percolated up and reached the attention of government and medical officials."
The report is published online Jan. 30 in advance of appearing in the February issue of the journal Pediatrics.
Major drugs of abuse include prescription painkillers such as oxycodone, codeine, morphine and methadone, the report noted, along with stimulants such as amphetamines and cocaine and central nervous system depressants such as marijuana, alcohol and barbiturates.
Exposure during pregnancy is linked to a host of problems among newborns, including drug withdrawal upon birth -- demonstrated by irritability, poor sucking, tremors, seizures, diarrhea, vomiting and shrill crying -- and long-term issues such as birth defects, impaired growth and behavioral problems.
The report recommended that each hospital nursery develop a system to screen mothers for drug abuse, while confirming exposure in newborns -- though not fail-proof -- usually entails taking samples of the infants' urine and meconium (their first stool).
Some drug-exposed infants don't exhibit any problems after birth, but first-line treatment for those who do includes comfort measures such as minimizing light and sound, swaddling and rocking, and offering high-calorie formula to minimize hunger. If those measures aren't effective, babies may need to be treated with therapeutic drugs to counteract the effects of the other drugs, the report said.
"There are a lot of unknowns, but it's very important that they're focusing on this problem and bringing it to everybody's attention," said Dr. Dagmar Liepa, medical director of the inpatient medical detoxification unit at Mission Community Hospital in Panorama City, Calif. "The fact is that these babies are hurting, and have to be in the hospital longer and monitored longer. We don't know what the long-term effects will be."
Hudak said the paper adds information about the effects of maternal antidepressant use, whose effects weren't as clear 14 years ago. It also discusses how to manage pain in newborns that require surgery or other painful treatments, which is better understood since the previous guidelines were issued.
"We need to provide these babies with enough [medication] that they don't feel any pain," he said, "but the flip side is if we treat babies with narcotic painkillers for a long time, they are at a high risk of being addicted."
The report is a "significant expansion" of the AAP's previous guidelines and also points to where further research in the field is needed, Hudak said.
"I think a lot of additional work needs to be done," he said. "It's state-of-the-art information -- right now."
More information
Emory University has more details newborn drug withdrawal.
SOURCES: Mark Hudak, M.D., professor, pediatrics, division of neonatology, University of Florida College of Medicine, Jacksonville; Dagmar Liepa, M.D., medical director, inpatient medical detoxification unit, Mission Community Hospital, Panorama City, Calif.; Jan. 30, 2012, Pediatrics, online
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=661177


36.First Drug Ok'd to Combat Spreading Basal Cell Skin Cancer
Pill is intended for advanced cases or those unsuitable for surgery, radiation
HealthDay News2012年1月30日

The U.S. Food and Drug Administration on Monday approved a drug to treat the most common form of skin cancer, basal cell carcinoma.
Erivedge (vismodegib) is the first drug sanctioned in the United States to treat basal cell skin cancer that has metastasized, or spread. The once-daily pill is also designed for cases deemed unsuitable for surgery or radiation, the agency said in a news release.
This usually slow-growing, painless form of cancer starts in the epidermis, the top layer of skin. Frequent exposure to sunlight and other forms of ultraviolet radiation are the typical causes, the FDA said.
Researchers evaluated the safety and effectiveness of Erivedge in a clinical study of 96 people with locally advanced or metastatic cancer. Of those with metastatic disease, 30 percent had at least a partial response to the drug, while 43 percent of people with locally advanced basal cell had at least a partial response.
One specialist welcomed the drug's approval.
"Eviredge is an amazing revolutionary approach to treating skin cancer," said Dr. Michele Green, dermatologist at Lenox Hill Hospital in New York City. "I have many patients who are elderly and infirm for whom getting surgery is a major ordeal. Molecular biology has advanced to the point where such an important advance in therapy was unthinkable even a few years ago."
Skin cancer is the most commonly diagnosed cancer in the United States, and it is estimated that one in five Americans will develop it in their lifetime. Caught early, it is highly treatable.
The most frequently cited side effects of Erivedge included muscle spasms, hair loss, weight loss, nausea, diarrhea, fatigue, distorted sense of taste, decreased appetite, constipation and vomiting.
Because of the potential risk for death or severe birth defects to a fetus, the drug will be packaged with a label warning, and doctors will not prescribe it to women who are pregnant, the agency said. Men and women will be advised to use birth control while taking the pills.
Erivedge, marketed by San Francisco-based Genentech, won expedited approval under a priority review program for drugs that may represent a major treatment advance.
More information
The Skin Cancer Foundation has details about basal cell.
SOURCE: Michele Green, MD, dermatologist, Lenox Hill Hospital, New York City; U.S. Food and Drug Administration, Jan. 30, 2012, news release
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=661242


37.Ultrasound As a Male Contraceptive?
High-frequency treatment lowered sperm counts in rats, study says
HealthDay News2012年1月30日

Ultrasound equipment used for physical therapy may have potential as a male contraceptive, according to a new animal study.
Based on their findings with lab rats, the researchers said it's possible that the commercially available equipment could make men infertile by lowering their sperm counts.
In conducting the study, researchers from the department of pediatrics at the University of North Carolina School of Medicine rotated high-frequency ultrasound around male rat testes, warming them to 37 degrees centigrade (about 98.6 degrees F). They found two 15-minute ultrasound sessions two days apart were most effective, resulting in a sperm count index of zero.
The study is published Jan. 29 in the journal Reproductive Biology and Endocrinology.
"Unlike humans, rats remain fertile even with extremely low sperm counts," said James Tsuruta of the UNC School of Medicine, in a journal news release. "However, our noninvasive ultrasound treatment reduced sperm reserves in rats far below levels normally seen in fertile men (95 percent of fertile men have more than 39 million sperm in their ejaculate)."
Tsuruta said more research is needed to determine how long sperm counts would remain low and whether or not the ultrasound procedure is safe for more than one use.
While studies involving animals can be useful, they frequently fail to produce similar results in humans.
More information
The U.S. Centers for Disease Control and Prevention provides more information on existing forms of contraception.
SOURCE: BioMed Central, news release, Jan. 29, 2012
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=661207


38.JMM:東京都北西部と埼玉県南西部の小児医療を守るための小児科医共同声明

練馬区の日本大学練馬光が丘病院(以下、日大光が丘病院)撤退、および志木市の志木市民病院からの小児科撤退により、4月以降の東京都北西部から埼玉県南西部に及ぶ広域の小児救急医療崩壊が避けられない状況になっております。
日大光が丘病院と志木市民病院が都北西部と県南西部において、小児救急医療で果たしてきた役割は非常に大きく、日大光が丘病院は小児科常勤16名で年間8,000~10,000人の小児救急対応し、志木市民病院も現在年間約12,000人の小児患者に対応しております。また小児科病床もそれぞれ34床、45床、同一医療圏の順天堂練馬病院は24床、国立埼玉病院は26床であることを考えると、日大光が丘病院と志木市民病院小児科の撤退で地域全体の60%もの小児病床がなくなることなります。これは非常に重大な事態で、患者搬送の遅滞による大事故や病院小児科のドミノ倒しに発展しかねません。
練馬区は日大光が丘病院の後継として、「日大と同等およびそれ以上」「小児科医15名」という公約のもと、日大存続を諦め、地域医療振興協会(以下、協会)を選定しました。しかし、日大光が丘病院の引き継ぎ関係者によると、平成24年1月18日に開催された日大小児科から協会小児科への引き継ぎには、協会側からは小児科医師は1人も現れず、代理人と称する他病院医師と協会側の引継ぎ責任者の2人が現れ、協会は日大が果たしてきた小児医療機能を引き継ぐつもりはないとまで明言されたと聞いております。また他の複数の診療科でも同様に、協会側の医師体制が整わず引き継ぎ業務が事実上、とん挫していることを確認しております。
このような実態は限られた医療関係者が知るのみで、このまま4月を迎えれば、医療現場そして患者さんに多大な混乱と後退が避けられません。私たちは強い危機感を持って現状を広くお伝えするとともに、都県境を超えた小児救急医療体制を守るために、東京都、練馬区をはじめとした関係機関が責任ある対応を早急に取るよう強く求めます。
以上
日本大学練馬光が丘病院 小児総合診療科診療准教授 橋本光司
志木市民病院 病院長・小児科部長 清水久志
大泉生協病院 病院長・小児科部長 齋藤文洋
国立埼玉病院 小児科部長 上牧 勇


39.JMM:刑事罰で医療を縛ると国民の犠牲が増える~新型インフルエンザのパブリックコメント~

新型インフルエンザなど、未知の新感染症に関するパブリックコメントを、国が募集しています。締め切りは1月31日です。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060011701&Mode=0
下記は、私が提出した意見です。皆様にもご一考いただけますと幸いです。
・国は、パブリックコメントを実施する際、国民が当該案件の全容を理解するに足る十分な情報、すなわち、すべての条文案を公開すべきである。
・国が医療をコントロールする手法は、災害救助法や武力攻撃事態対処法等を参考にしていると思われるが、新型インフルエンザ等新感染症の対策においては、そのような手法は不適当である。
・新型インフルエンザ等新感染症の対策における国の責務は、国民(ヒト)を規制することよりも、むしろ必要な物資(モノ)及び情報を確保し、それを国民へ迅速に供給することにある。
・ワクチン確保を迅速かつ確実なものとするため、国内マーケットのみにおいて開発している脆弱なメーカーのみに頼るのではなく、グローバルマーケットにおいて開発しているメーカーからも入手する体制を整えてリスク分散する必要がある。
・ワクチンを迅速かつ確実に国民へ供給する方策を、新型インフルエンザ等新感染症の発生前から国民に周知しておくべきである。
・「V 2.(3) 医療関係者への医療従事の要請・指示及びこれらに伴う措置、臨時の医療施設の開設及び特例」及び「VI 1. 物資の保管命令に従わなかった者等への罰則。」を削除すべきである。国の責務は、医療関係者の臨機応変な判断を阻害し行動を規制することではなく、国が発表する新型インフルエンザ等新感染症に関する情報に基づき、医療関係者がその専門性を生かした判断及び行動が可能となるよう、十分な情報開示を迅速に行うことである。罰則(刑事罰)を担保にして医療や物資をコントロールする手法や、補償と引き換えに医療従事させる手法をとるべきではない。新型インフルエンザ等新感染症による被害を受けたすべての医療関係者に対し補償すべきである。
東京大学医科学研究所
村重 直子


40.プレスリリース

1) 『メラニン色素』の逆行性輸送の仕組みを解明
~ 白髪予防の新たな分子標的として期待? ~
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20120130.pdf

2) 抑制性シナプス形成に重要なタンパク質を発見
-脳機能における抑制性シナプスの役割解明に手掛かり-
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2012/120130/image/120130.pdf


41.Other Topics

1) 東北沖、M8級地震起きやすく 震災で岩板変化 海洋機構が分析、沿岸に津波も
日本経済新聞社2012年1月31日

 海洋研究開発機構は、東日本大震災の影響で東北沖を震源に従来の想定よりも大規模な地震が起きやすくなったとする分析結果を発表した。地震の規模はこれまで最大でマグニチュード(M)7程度とみられていたが、8級に達して東北沿岸を津波が襲う恐れがあるという。海底地震計の観測データから分かった。米地球物理学連合の学術誌に31日掲載される。

 海洋機構の尾鼻浩一郎主任研究員らが解析した。東北地方の沖合約300キロメートルの太平洋プレート(岩板)内部で長さ約40キロメートルにわたって断層が動き、M8級の地震を起こす可能性があるという。東日本大震災で断層にかかる力が変化した結果とみている。変化の仕組みはよくわかっていない。
 昨年3月11日の大震災から40分後、東北地方の約200キロメートル沖にある海底の谷「日本海溝」の東側の太平洋プレート内を震源とするM7.5の余震が発生。その後も地震活動は活発だ。海洋機構はこの海域に20台の海底地震計を設置。昨年4月下旬~7月上旬に約1700回の地震を検知し、このうち50回について断層の動きを解析した。
 大震災以前は、太平洋プレート内部は深さ約20キロメートルの浅い部分では東西に引っ張り合う力が、約40キロメートルの深い部分では逆に押し合う力が働いていた。引っ張られて断層がずれる正断層型と押される逆断層型の地震が混在しているため、地震の規模もそれほど大きくならないとされていた。ところが大震災後の解析の結果、深い部分も含めて50回の地震のほぼすべてが正断層型だった。
 1896年に、東日本大震災と同じプレート境界型の「明治三陸地震(M8.2)」が起きた際には、37年後に太平洋プレート内部で「昭和三陸地震(M8.1)」が発生している。
 津波の解析が専門の佐竹健治・東京大学地震研究所教授は「太平洋プレート内部でM8級の地震が起これば、10メートルほどの高さまで陸地を駆け上がるような津波が来てもおかしくない」と指摘する。「昭和三陸地震では岩手県沿岸が同程度の津波に襲われた」という。


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