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Feb 13, 2012 [Clipping News]

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1.新たな肺がん遺伝子発見 内外の3研究チーム
2.カードでの医療費支払いに対応を- 総務省、公的病院に要請
3.癌専門医668人のアンケート結果
4.失敗しない「手荒れ」の診察(その1)
5.佐賀大病院で外科医に「インセンティブ手当」手術料の5%を術者に支払い
6.最新DI:【新薬】リバーロキサバン
7.デュタステリドが低リスク前立腺癌の進行を抑制
8.一過性脳虚血発作を発症した患者における短期間の脳卒中リスク
9.無症状の肝性脳症を補足する血液マーカー?
10.経皮冠動脈インターベンション治療後の急性心筋梗塞:退院時心拍数と予後
11.急性心筋梗塞患者の右脚ブロック:そのリスクは左脚ブロックと同じか?
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1.新たな肺がん遺伝子発見 内外の3研究チーム
日本経済新聞社2012年2月13日

国内外の3つの研究チームが、肺がんの半数以上を占めるとされる肺腺がんの原因となる異常な遺伝子を発見し、13日の米科学誌「ネイチャー・メディシン」(電子版)に同時発表した。既存のがん治療薬のなかに、今回見つかった遺伝子を抑制する効果が期待できるものがあるという。
 がん研究会や自治医科大などのチームなど、3つのチームがそれぞれ発見したのは「KIF5B―RET融合遺伝子」。正常な細胞の中では別々にあるKIF5BとRETがくっついてできており、1~2%の肺腺がん患者のがん細胞で見つかった。融合することで、細胞の異常増殖などがん化を促すという。
 一部の甲状腺がんに対して米国で承認済みの薬が、この遺伝子でがん化した細胞を死滅させることも分かった。
 また、がん研究会のチームは、「ROS1」の融合遺伝子が肺腺がんの約1%に見られ、がんの原因になっていることも突き止めた。
 現在、特定の遺伝子異常が原因だと分かっている肺腺がん患者は約6割。治療薬としてゲフィチニブ(商品名はイレッサ)やクリゾチニブといった分子標的薬が登場している。間野博行・自治医大教授は「今回の発見によって、遺伝子異常を調べてから適切な治療薬を個別に選択する医療が加速する」と話している。


2.カードでの医療費支払いに対応を- 総務省、公的病院に要請
CareerBrain2012年2月13日

総務省はこのほど、クレジットカードでの医療費の支払いに対応するよう、社会保険病院や厚生年金病院など公的病院の開設者に要請した。総務省の調査によると、昨年2月末時点で、国や独立行政法人などが開設した324病院のうち38病院(12%)が、カードでの支払いに対応していないという。
 行政相談で「民間の病院では、カードで支払うことができるところが多くなっており、公的病院でカードを利用できないのは不便だ」という声が寄せられていたことを受けた措置。
 同省では、患者の利便性が向上するだけでなく、病院側にとっても、▽未収金の縮減▽会計窓口の混雑緩和―などのメリットがあるとみている。


3.癌専門医668人のアンケート結果
癌患者の就労支援体制は医師の意識が高いほど充実
日経メディカル2012年2月10日

 癌治療にかかわる専門医668人のうち、癌患者が仕事を休まなくても受診できるよう配慮をしている医師は83%、患者の勤務形態(勤務日や勤務時間など)を知るようにしている医師は66%。医師の意識が高いほど、所属する医療機関の癌患者への就労支援体制は整っている―。そんな調査結果を、北里大学公衆衛生学講師の和田耕治氏らがまとめ、論文がJapanese Journal of Clinical Oncology誌電子版に2月8日に掲載された。
 近年、癌の治療成績の向上に伴い、癌患者が治療と並行して仕事を続けることが可能になってきている。だが、そのためには、家庭や職場の支援に加え、癌専門医の協力や、医療機関の体制面での配慮が不可欠だ。
 和田氏らは、日本の癌治療の専門医が癌患者の就労支援にどのような意識を持ち、どう行動しているのか、また、医療機関の支援体制の現状はどうなっているのかを明らかにするため、無記名方式のアンケートを行った。
 対象は、日本臨床腫瘍学会の専門医・指導医453人と、日本がん治療認定医機構の認定医で関東地方在住の外科系医師1016人。2010~11年の間に質問票を郵送し、668人から回答を得た(回答率45.5%)。回答者の内訳は、日本臨床腫瘍学会専門医・指導医223人(回答率49.2%)、日本がん治療認定医機構の外科系認定医445人(回答率43.8%)。
 患者の就労支援に関する意識や行動に関する7つの設問のうち、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した医師が多かった項目は、「就労支援に医療ソーシャルワーカーがかかわることが望ましいと考えている」(95.2%)、「治療による仕事への影響を説明する」(93.0%)だった。
 一方、「当てはまる」「まあ当てはまる」が少なかった項目は、「患者に、会社の上司に治療の見通しを説明し、理解を求めるよう伝える」(53.6%)、「患者の仕事の勤務形態(勤務日や勤務時間など)を知るようにしている」(66.1%)だった。
 残る3項目については、「仕事をなるべく休まずに受診できる配慮をする」が83.1%、「患者が会社に提出する診断書に、今後の治療の見通しや職場で必要な配慮を書く」が70.5%、「就労支援に看護師がかかわることが望ましいと考えている」が76.7%という結果になった。
 同様に、自らが所属する医療機関の体制についての6つの設問に対する回答で比較的多かった項目は、「医療ソーシャルワーカーによる就労に関する相談体制がある」(62.2%)、「問診票で患者の仕事に関する情報の記載を求めている」(60.0%)だった。逆に、少なかったのは、「放射線治療の日程を仕事の都合を考慮して決められる」(28.0%)、「看護師による就労に関する相談体制がある」(28.8%)だった。
 医療機関の規模や医師の専門科と就労支援体制の有無には有意な関連はほとんどなかったが、専門医の意識や行動については、いくつかの項目において支援体制との有意な関連が認められた。例えば、「会社を休まなくても受診できるように配慮する」と回答した医師と、医療機関側の「予約時間通りに受診できる」は有意な関連を示した。
 和田氏は、「癌患者の就労継続を支援するための癌専門医の意識や行動は、医療機関の体制整備に好ましい影響を与えている。とはいえ、まだまだ改善の余地があるので、癌治療にかかわる医師は、より積極的にリーダーシップを発揮して患者の就労を支援してほしい」と話している。
 和田氏が参加した厚生労働省研究班(厚生労働科学研究費がん臨床研究事業「働くがん患者と家族に向けた包括的就業支援システムの構築に関する研究」、主任研究者は獨協医科大学の高橋都氏)では、癌患者の就労支援に役立つ5つのポイントを示したリーフレット(写真)を作成し、Webサイト上で公表している。
http://www.cancer-work.jp/2011/10/%E5%AE%9F%E4%BE%8B%E3%81%AB%E5%AD%A6%E3%81%B6%E2%80%95%E3%81%8C%E3%82%93%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%AE%E5%B0%B1%E5%8A%B4%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%81%AB%E5%BD%B9%E7%AB%8B%E3%81%A4%EF%BC%95%E3%81%A4%E3%81%AE/


4.失敗しない「手荒れ」の診察(その1)
中村健一(おゆみの皮フ科医院院長)
日経メディカル2012年2月13日

「手湿疹? そんなもの、専門外だから診る必要はない」。そう思っている医師はいないだろうか。では、もし外来で患者に「手荒れ」を相談され、「私は専門外なので分かりません」と言ったらどうなるか?
 「さすが! あの先生は自分の専門一筋なんだな」…と思ってくれる患者なら、あなたはかなり崇拝されている。だが、大多数の患者は、「手荒れぐらい、ハンドクリームか何かをちょこっと処方してくれたらいいのに」と不満に思うだろう。
 患者の手間を思えば、その場で気の効いた処方をしたいところだが…さて、どうする? 「何かいい外用薬はないかな」と思って皮膚科の教科書をめくってみても、「手荒れ」については実に冷ややかな記述しか載っていない。
 手の病変は、ほぼ90%が「普通の手荒れ」である。ステロイド外用薬で炎症を抑制し、良くなったらハンドクリームで普段のスキンケアに励めば、それで解決する。1年目の研修医でもできる。
 はい、では今日のテーマはこれにておしまい。
 …とはならないのだ。実は、このパターンをやった後が怖い。
手湿疹診療の「落とし穴」とは?
 どんな疾患でも「イレギュラー」なことはある。この手湿疹、外界の刺激物と交流が最も多い部位である「手」にステロイド外用を行うことから、いろいろな問題が生じがち。本連載の前回記事で、「ざ瘡の診療は簡単だ」と書いた。ある皮膚科の先生からは、「それは違う、ざ瘡だっていろいろなパターンがある。一般医には難しいのではないか?」といったご意見もいただいた。
 なるほど、そういう一面はざ瘡にもある。しかし、今回の手湿疹の困難さを知ると、逆に「ざ瘡」がいかに取り組みやすい疾患かが分かるはずだ。そうした「専門医レベル」の手湿疹を扱うノウハウとは何か? 実際の症例を通じて理解してみよう。
 まず、おなじみの写真クイズから。

写真クイズ◆症例1 50歳代男性。片手(右手)のみの湿疹。数カ月前から片手のみ、とりわけ手掌に顕著な白色鱗屑が付着、軽度角化傾向あり。掻痒は時折生じる。しかし本人はそれほど気にならない。

写真クイズ◆症例2 70歳代女性。手指のわずかな鱗屑、軽度の発赤を伴う。痒みは軽度。(※クリックすると拡大表示されます)

写真クイズ◆症例3 80歳代女性。手、手掌、手首に鱗屑が付着。かなり掻痒あり。
 さて、このような患者を診察したら、どんな疾患を考えるだろうか?
 「全部手荒れだろう? 一瞥しただけで確定診断だよ。はい、終了」。
 あれ、そう考えちゃいますか? なるほど、実に手湿疹の診察は簡単だ。衣服を脱いでもらう必要もない。ついつい「流れ作業」でやってしまう。だが、それが思わぬ落とし穴になることもある。
 では、そんな「落とし穴」症例をじっくり考えてみよう。
 まず、手湿疹で除外すべき危険な2大疾患をご存じだろうか? 手の白癬(手白癬)と疥癬である。手湿疹を診たら、皮膚科医は常にこの2つを疑う。理由は簡単、「ステロイド外用薬で間違いなく増悪するパターン」だからだ。
 「ちょっと待ってくれ! カンジダはどうした? ブドウ球菌の感染、つまり伝染性膿痂疹もあるだろう。それに膠原病のGottron's signとか、手にはいろいろ疾患があるじゃないか」
 「梅毒はどうした? 手の角化とくれば梅毒だろう。そんなことも知らないの?」
 まあまあ、落ち着いて…。感染症や見逃してはならぬ疾患など、いろいろあるのは理解できる。Gottron's signや「手の梅毒」はよく国家試験の「ヤマ」にもなるので、読者の皆さんにとってはポピュラーだろう。だが、次々と訪れる手湿疹の患者を目の前にして、いきなり「梅毒」「Gottron's sign」と診断することはめったにない。念頭にはあっても、「いきなり考える疾患」ではない。
 伝染性膿痂疹は、びらん、水疱を形成する。ただし、手指に単発することはめったにない。多くは小児のわきの下などに発症し、それが全身に播種することで手にも届く、と考える。
 カンジダは指の間にびらんを生じる。ここでは部位・所見が異なるので、考えなくてよい。
 ここで大切なことは、「頻度」だ。
つまり、診断の上で重要なことは、「よくある感染症をまず否定すること」。そうすると、初歩の段階では
 ・手白癬か?
 ・疥癬の症状が手に出現したのか?
 ・普通の手荒れか?
 この3つを念頭に置いて診察に入る。
 当然ながら、教科書にはその他無数の鑑別疾患が記載されている。それらは、治療経過により判断する、つまり、後で考えればよい。
 さて、いよいよ症例をじっくり観察してみる。
片手のみの手湿疹は足も必ず診るべし
 症例1は 病変が片側のみに出現している。「片手のみの手湿疹は足も必ず診るべし」。これは手湿疹を診る上ではとても重要なことだ。手の湿疹にも、当然左右差はある。しかし、普通はそれほど激しくない。
 片手のみの手湿疹には手白癬が隠れている可能性がある。なぜか? これには諸説がある。ヒトは自分の手で足を触る場合、通常どちらか一方の手のみを使用する。そのため最初に足白癬があり、それが広がって手白癬を生じる際、病変は片方の手のみに(最初は)発症する…説。また、両手に白癬菌が付着しても手洗いすれば菌は除去される。しかし、人は手洗いをするとき、利き手が良く働く。つまり「洗浄の左右差」があり、どうしても一方のみの白癬菌が残留してしまう…説。いずれにせよ、患者自身の生活習慣と関係あるものと思われる。
 つまり、考える順番としては、「左右差があればまず手白癬を疑い、足を診る」。

写真4 症例1の両足底の角化
 足爪白癬がある、あるいは趾間に鱗屑が付着しているなどの所見があれば、その病変が手に拡大した可能性を考える。この患者は、足底に鱗屑が付着しており(写真4)、真菌顕微鏡検査にて、手、足共に白癬菌が証明されたので、診断は「手白癬」となった。しかも、「角質増殖型」という、手掌や足底が角化し、外用薬が浸透しにくいタイプの白癬だった。
 症例2は、右手指の関節部のみの単発病変。何の変哲もないただの手荒れ、と判断してステロイド外用薬を処方することが多い。問題は、「こんなところにも感染症は生じ得る」と、医師が意識しているかどうかだ。

写真5 症例2の両足底の角化
 実はこの患者も、症例1と同様に足を診たところ、足底に角質増殖型の足白癬(写真5)を認めた。このタイプの白癬は自覚症状である「掻痒」を伴わないことが多く、患者が訴えない。つまり、医師の側がそれと意識して診ようとしないと、見逃すことが多い。
 さて、症例1と同様に、「手湿疹」の患者に足白癬を認めたら、その次に医師が考えることはただ1つ。
 「この患者さん、この手で足を触っていなかったか?」
 つまり、「足白癬→手白癬」という推理だ。案の定、患者の手の鱗屑からは、白癬菌が発見された。したがって、診断は、角質増殖型の足白癬から拡大し、「手指の関節部のみに生じた手白癬」となる。
角質増殖型の白癬では抗真菌薬内服も
 では、症例1と2の治療は?
 2例とも角質増殖型の足白癬がある。この疾患、外用薬のみではなかなか治らないことが多い。多くは抗真菌薬(テルビナフィン〔商品名ラミシールほか〕など)の内服となる。つまり、手荒れを診てほしい、と来院した患者に、「足も一緒に治さないとだめです。一緒に治療しましょう」と説得することになる。
 内服期間は、症状・年齢にもよるが、1カ月から2カ月程度必要。高齢者で内服による肝機能障害などが心配ならば、尿素軟膏と抗真菌薬(ルリコナゾール〔ルリコン〕など)を重ね塗りするとよい。治療期間は数カ月かかるかもしれないが、やむを得ない。
内服薬
◆処方例:ラミシール錠(125mg) 1錠
 1日1回内服。肝機能障害に注意。1~2カ月ほど継続し、抗真菌薬外用も併用する。
外用薬
◆処方例1:ルリコンクリーム 10g
 通常の白癬にはこれのみで対処。
◆処方例2:ケラチナミン 25g
 角化が強い場合は1と2を手足に重ね塗り。
 症例3は、「高齢者の手荒れ」という時点で、「あれ、変だな」と考えるべき。なぜなら、手湿疹は別名「主婦湿疹」とも呼ばれ、水仕事、炊事の多い環境で増悪するからだ。この患者に「お仕事は?」と質問したところ、老人ホームに入居しているとのことで、これといった仕事はなく、炊事もしていないようだ。手を使う作業をあまりしていないのに、ここまで「荒れる」だろうか?
 何か別の要因が働いているとすれば、「疥癬」=ヒゼンダニによる感染をまず考えるべきだ。「ダーモスコピー」という小型のルーペがあれば、簡単に疥癬トンネルを発見できる(連載第1回参照)。この患者は、腹部に多数の掻破痕があり(写真6左)、ダーモスコピーで手掌の病変部に疥癬トンネルが発見された(写真6右)。顕微鏡にてヒゼンダニの成虫を確認し、疥癬の診断で、イベルメクチン(商品名ストロメクトール)の内服を1週間おきに2回行った。

写真6 症例3の体幹部(左)とダーモスコピー所見(右) 腹部に多数の掻破痕(黒矢印)を認める。ただし痂皮・掻破痕の部位からヒゼンダニを発見できる確率は非常に低いことに注意。ダーモスコピーでは、手掌に疥癬トンネル(黄色の矢印)を認めた。青い矢印がヒゼンダニの位置。(※クリックすると拡大表示されます)
内服薬
◆処方例:ストロメクトール錠(3mg) 3錠(体重36~50kgの場合)
 昼食前に1回内服、1週間後同量を再内服。つまり1週間おきに2回のみ内服。
外用薬
◆処方例1:オイラックスクリーム
◆処方例2:イオウサリチル酸チアントール軟膏など。
 ということで、症例写真クイズの正解は、
症例1 角質増殖型の手白癬
症例2 指に単発した角質増殖型の白癬(「汗疱」に似ることから、こだわる専門医は「汗疱状白癬」と表現する場合もある)
症例3 疥癬
 最後に、よくある失敗例を。
よくある失敗例 ~こうするとあなた評価は地に落ちる~
失敗例1:手湿疹にステロイドを処方し、足の確認を怠る
 手湿疹には、ついついステロイドを処方してしまう。このケースも、最初はなるほど本来の手湿疹があったのだろう。ステロイドの作用で少々改善する。だが問題は、「足には何も生じていないか?」だ。
 手の診察で重要なことは、他の部位、特に足の病変の有無を確認すること。もし、足白癬、足爪白癬が存在しているのに、そこは無治療。しかし手にはステロイド外用を行い続ける―という状態になると、手に広がった白癬が、ステロイドによってどんどん増悪していく。
 また、初診時に足白癬をきちんと否定していたとしても、「皮膚はすぐに変化する」ことを忘れてはならない。もし、運悪く患者が受診後に足白癬、足爪白癬を発症した場合、足から手へと白癬菌はあっという間に広がり、2週間後には手白癬が成立してしまう。そのため、「だんだん痒みが増悪し、皮膚のかさかさもひどくなっている」状態になる。
 その患者がもう一度再診してくれればよいが、あいにく都合が合わず、他の医院での診察を受けた場合、「前医では白癬と診断できず、ステロイド外用を漫然と継続してしまった」と評価されることもあり得る。繰り返しになるが、手の診察では、他の部位、特に足の病変を定期的に確認することが重要だ。
失敗例2:老人ホーム入居者の「手荒れ」にステロイドを処方する
 手荒れがあまりにひどいので、ついついステロイドを処方する。疥癬は注意していたので、念のため鱗屑の顕微鏡検査を行ったが、疥癬の原因であるヒゼンダニは発見できず、「よし! 疥癬ではない」と安心してしまった。この患者、車椅子のため再診が難儀。そのため、数カ月にわたり外用を続けてしまった。久しぶりに来院した時は、いつのまにか疥癬を発症し、全身に痒疹が多発してしまっていた。
 高齢者には少々失礼かもしれないが、「施設入居の高齢者の手荒れは疥癬を疑え」と考えていてもいいかもしれない。疥癬は否定的、しかし将来発症するかもしれない、しかも頻繁に通院できない―と考えるときは、ステロイド外用ではなく、たとえ治療効果が不十分で治癒に時間がかかるとしても、保湿剤など、免疫に影響を及ぼさない無難な外用薬を処方することだ。
失敗例3:アトピー性皮膚炎の患者の手荒れに、ステロイド療法を強化
 介護施設で働く介護福祉士。もともとアトピー性皮膚炎があり、A医院に通院し、手にステロイド外用を行っていた。A医院では仕事の内容は話していなかった。
 手荒れがひどいのでステロイド外用を行ったところ、みるみる増悪。A医院の担当医に相談したところ、アトピー性皮膚炎へのステロイドの効果不十分とのことで、さらに強力なレベルのステロイドに変更。しかし、治らない。
 不審に思った患者は、B医院を受診。担当医から「職業は?」と聞かれ、「介護関係です」と回答したところ、すぐダーモスコピーによる診察を受けた。診断は疥癬。実は施設で疥癬が流行していたのだ。患者の職業を聞くことの重要性がわかる。
 B医院の担当医は、患者の了解を得て、イベルメクチンの内服など、疥癬の治療を優先し、アトピー性皮膚炎についてはしばらくは保湿剤などでコントロールすることとした。もちろん施設の疥癬が落ち着き、患者の症状も軽快したら、慎重にステロイド外用を再開する予定だ。
今回の重要ポイント
その1◆手湿疹には多くの医師がステロイド外用薬を処方する。しかし、その陰に白癬や疥癬が隠れているかもしれないので注意する。
その2◆「片手だけの手荒れ」は手白癬を考える。
その3◆手を診たら足も診よ。「足には何もありません」と言われても(できるだけ)診察する。中でも角質増殖型の足白癬は掻痒もなく、患者自身が白癬と自覚していないことが多い。
その4◆「高齢者」または「高齢者施設で働く職員」の手湿疹は疥癬を疑う。定期的に受診させる。初診時に疥癬が否定された場合も、通院頻度・症状にもよるが、ステロイド外用は控え、保湿剤のみで経過を見ることがある。
その5◆皮膚科ビギナーの医師は、「高頻度」の疾患から攻めると良い。
 さて、これらの注意をよく理解した上で、手湿疹の診療は次のステップに進むことになる。失敗しない「手荒れ」の診察、この続きは次回に。
●なかむら けんいち氏。信州大医学部卒。宇治徳洲会病院、北里大皮膚科、聖路加国際病院皮膚科を経て、1993年に開業。著書に『診療所で診る皮膚疾患』(日本医事新報社)など。


5.佐賀大病院で外科医に「インセンティブ手当」手術料の5%を術者に支払い
日経メディカル2012年2月13日

人手不足が深刻化している外科勤務医。特に民間病院に比べて給料が少ない国立大病院では、外科医の確保に頭を悩ませている。佐賀大病院ではその対策として、外科医への手当を充実させた。
 重労働の割に給料が安いなどの理由から、若手医師の間で外科が敬遠され、将来の外科崩壊が懸念されている。2010年度の診療報酬改定では、外科医療の再建が重点課題の一つに掲げられ、外科の診療報酬が大幅に引き上げられた。難易度の高い手術の点数は、30~50%の大幅アップとなった。
 外科医の待遇改善につながると期待されたが、実現したとは言い難い。日本外科学会の調査によれば、報酬改定による増収後に外科医に特化した待遇改善策を取ったのは12.3%(学会指定・関連施設の病院長への調査、n=553)にとどまる。
 中でも給料面で見劣りするのが国立大病院だ。同学会が会員を対象に実施した調査によれば、大学病院(旧国公立)に勤務する外科医の税込み年収は平均1187万2000円。私立病院(1746万1000円)はもとより、国立病院機構(1283万7000円)よりも低かった(図1)。公務員の給与制度上、「教育職」に分類される大学病院の医師は、一般的な医療職より安い俸給表が使われていることが関係している。

図1 勤務先医療機関開設主体別にみた2010年度の外科医の年収(税込み)
手術料の5%を術者に払う
 佐賀大病院長の宮崎耕治氏は、08年に病院長に就任して以来、「高度な医療を担うべき大学病院の外科医が、給料面で不利なままでは、良い人材が民間に流出する」との危機感から、待遇改善を進めてきた。
 国立大学法人は法人化後、財務上の自由度は高まったものの、法律で06年以降の5年間で5%以上の人件費削減が求められており、医師の給料を単純に引き上げるのは難しかった。そこで考えたのが、業務に応じた手当を付けることだった。
 手当の財源は、病院の収益から捻出することにした。総人件費の削減目標は、手当の総額を、法人全体の人件費予算と実績額との差の範囲内に収めることによってクリアした。こうした手当の方針については、法人の理事会の了承も得た。
 こうして練り上げた「インセンティブ手当」が表1だ。特徴的なのが、主として外科系医師が対象となる「リスクを伴う手技」に対する手当。術者のうち主な1人に対して、診療報酬点数の5%を支払う。「若手医師に、手術ができることを目標と思ってもらえるよう、個々の術者に支払うことにした」(宮崎氏)。

表1 佐賀大病院の「インセンティブ手当」(2011年度)
例えば胃単純切除術(2万1700点)の場合、術者には約1万円が支払われる計算になる。外科医に限らず、早期胃癌の内視鏡治療(EMR)を行った消化器内科医、経皮的冠動脈形成術(PTCA)を行った循環器内科医、麻酔をかけた麻酔科医も対象となる。この手当だけで、年間予算は1億円を超える。
 なお、時間外の緊急診療やドクターカーへの搭乗など、診療科を限定しない手当も充実させた。災害派遣手当は、昨年の東日本大震災の発生後に自発的に救援に赴いた場合が対象。医療人教育支援手当は、亡くなった患者の剖検をすることについて遺族の承諾を得て、剖検に立ち会い、CPCで総括するという一連の業務を行った場合に、主治医に対して2万円が支払われる。
内科系医師も異議なし
 「リスクを伴う手技」手当を支払うようにした結果、「外科医、特に医員クラス以上のモチベーションが上がり、手術件数も増えた。病院経営上もプラスだ。該当しない内科系医師にも、おおむね受け入れられている」と宮崎氏は話す。
 その背景には、診療科によって、医師の兼業の度合いが異なることがあるようだ。外科医は時間的制約から兼業ができないケースが多いが、相対的に余裕のある内科系医師の中には、大学病院からの給料以外に兼業先から収入を得ているケースもあり、手当にこだわりがないという。
 医療従事者の人事評価に詳しい立命館大客員教授の齋藤清一氏は「手術の実施などの定量的な指標に加えて、研修医教育を担当したり、病院全体のプロジェクトリーダーとして経営に協力した場合にも、その貢献度や成果を評価すべきだろう」と話している。


6.最新DI:【新薬】リバーロキサバン
イグザレルト:脳卒中予防に使える第3の経口抗凝固薬
日経メディカル2012年2月12日

北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部
2012年1月18日、経口選択的直接作用型第Xa因子(FXa)阻害薬のリバーロキサバン(商品名イグザレルト錠10mg、同錠15mg)が製造承認を取得した。適応は「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」で、用法・用量は「成人1日1回15mg、食後投与。なお、腎障害の患者には腎機能の程度により1日1回10mgに減量する」となっている。
 多数ある血液凝固因子うち、血液凝固に中心的な役割を果たすのが、プロトロンビンからトロンビンを生成しフィブリン形成を促進する「第Xa因子(FXa)」と、フィブリノゲンをフィブリンに変える反応を触媒する「トロンビン」である。これらの働きを抑えるFXa阻害薬や抗トロンビン薬を使うことで、血栓形成を抑制することが期待できる。
 FXa阻害薬は、注射剤としては従来からエノキサパリンナトリウム(商品名クレキサン)などの低分子ヘパリンや、フォンダパリヌクス(商品名アリクストラ)が使用されてきたが、2011年に経口製剤のエドキサバン(商品名リクシアナ)が登場した。また抗トロンビン薬は、注射剤としてアルガトロバン水和物(商品名ノバスタン、スロンノンなど)が使用されてきたほか、2011年には経口製剤のダビガトラン(商品名プラザキサ)が発売されている。さらに、これらとは異なる機序(ビタミンK拮抗作用)を持つ経口抗凝固薬として、ワルファリン(商品名ワーファリンほか)が古くから使用されている。
 これら抗凝固薬は、それぞれに異なる適応を持っているが、「心房細動に伴う脳卒中」に適応を持つ経口剤は、ワルファリンとダビガトランのみであり、これまで経口FXa阻害薬には、この適応を持つ薬剤はなかった。経口FXa阻害薬であるエドキサバンの適応は「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」のみである。
 今回、承認されたリバーロキサバンは、「心房細動に伴う脳卒中」に適応を持つ初めてのFXa阻害薬となる。FXa活性部位との親和性が高く、選択的かつ直接的に第Xa因子を阻害する。また吸収が良好で、バイオアベイラビティも高いことも特徴である。
 日本での用量は、国内外の臨床試験データに基づいて、海外よりも低く設定されている。海外では、整形外科領域の適応で、カナダ、米国、欧州を含む世界113カ国(2011年10月末現在)で承認されており、今回の適応では、2011年にウクライナ、米国、欧州で承認されている。
 今回の承認は、心房細動に伴う脳卒中の予防に使用できる新たな選択肢が増えることから、注目を集めている。ただし使用に際しては、承認時までの国内第3相試験(対象は非弁膜症性心房細動患者)において、51%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が報告されていることに十分な注意が必要である。主な副作用は、鼻出血(13.8%)、皮下出血(7.8%)、歯肉出血(6.3%)などであり、重大な副作用としては、出血、肝機能障害・黄疸の報告がある。


7.デュタステリドが低リスク前立腺癌の進行を抑制
カナダでのREDEEM試験で無治療経過観察の患者を追跡(Lancet誌から)
日経メディカル2012年2月13日

 無治療での経過観察(アクティブサーベイランス)が選択された低リスクの前立腺癌患者にα還元酵素阻害薬デュタステリドを投与すると、偽薬群に比べて前立腺癌の進行リスクが4割程度下がることが、二重盲検の無作為化試験REDEEMで明らかになった。カナダToronto大学のNeil E Fleshner氏らが、Lancet誌電子版に2012年1月24日に報告した。
 著者らは、北米の65カ所の医療機関で、06年8月10日から07年3月26日まで、患者登録を実施した。48~82歳で、低リスクの前立腺癌(T1c~T2a)と診断されてから14カ月以内で、腫瘍体積が小さくグリーソンスコアが6以下(グリーソンパターンスコアが4未満)、PSA値が11ng/mL以下、余命は5年超と推定されて、無治療経過観察が選択された302人(平均年齢65歳)を登録。前立腺癌に対する放射線治療、化学療法、ホルモン治療の経験を持つ患者と重症の前立腺肥大症を合併している患者などは除外した。
 登録患者をデュタステリド0.5mg(147人)または偽薬(155人)に割り付けて1日1回投与し、3年間追跡した。ベースラインと18カ月後、3年後、さらに担当医が必要と判断した時に、経直腸エコーガイド下12コア前立腺生検を実施した。
 主要エンドポイントは、前立腺癌進行(生検による進行の確認または治療開始)までの時間に設定。
 服薬遵守率は両群ともに97%と高かった。
 302人のうち、生検を1回以上受けていた289人(96%)を分析対象にした。3年間で、デュタステリド群の144人中54人(38%)、偽薬群の145人中70人(48%)に前立腺癌の進行が認められた。ハザード比は0.62(95%信頼区間0.43-0.89、ログランク検定のP=0.009)となり、デュタステリドによる有意な進行抑制効果が示された。18カ月の時点でも、ハザード比は0.56(0.36-0.87)と有意差を示した。
 二重盲検だったにもかかわらず、癌に対する不安のレベルはデュタステリド群で低下していた。ベースラインと3年後の時点で、前立腺癌特異的な不安指標であるMemorial Anxiety Scale for Prostate Cancer (MAX-PC)を用いた評価を行ったところ、ベースラインからのスコアの平均変化はデュタステリド群が-1.5(SDは0.65)、偽薬群は0.5(SDは0.64)だった(P=0.036)。デュタステリド群では特に再発への不安が少なく、平均変化は-0.6(SDは0.19)と0.0(0.19)(P=0.017)だった。
 性機能に関する有害事象または女性化乳房を経験した患者はデュタステリド群の24%(35人)と偽薬群の15%(23人)で、差は有意ではなかった。デュタステリドに関連する有害事象として一般的な射精障害は、それぞれ5%と1%に発生した(P=0.06)。前立腺癌関連死亡と前立腺癌の転移の報告はなかった。心血管イベントはそれぞれ5%(8人)と5%(7人)に発生した(P=0.79)。
 デュタステリドは、経過観察が選択された低リスク前立腺癌患者に利益をもたらす可能性が示された。
 原題は「Dutasteride in localised prostate cancer management: the REDEEM randomised, double-blind, placebo-controlled trial」
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(11)61619-X/abstract


8.一過性脳虚血発作を発症した患者における短期間の脳卒中リスク
【原題】Short-Term Stroke Risk in Patients Who Suffer Transient Ischemic Attacks
Journal Watch Hospital Medicine日経メディカル2012年2月13日

Combining magnetic resonance imaging and ABCD2 scoring improves stroke prediction.
In traditionally defined transient ischemic attack (TIA), the neurological deficit lasts less than 24 hours. Some patients with time-defined TIAs have ischemic changes on magnetic resonance diffusion-weighted imaging (DWI); these patients have worse short-term prognoses than those with normal DWI studies.
The ABCD2 (Age, Blood pressure, Clinical features, Duration, Diabetes) score uses clinical information for short-term prediction of stroke risk in patients who experience TIAs. In this international multisite study, researchers examined whether DWI, added to ABCD2 scoring, predicts more accurately which patients with time-defined TIAs will have subsequent strokes ― defined as new deficits lasting longer than 24 hours and occurring after resolution of TIA.
Of 3200 TIA patients, 28% exhibited acute infarction on DWI. The 7-day stroke rate was 7% in DWI-positive patients but only 0.4% in DWI-negative patients. In DWI-positive patients, the ABCD2 score added prognostic information: The 7-day stroke rate ranged from 1.8% (in patients with ABCD2 scores of 0―3) to 12.5% (in patients with ABCD2 scores of 6―7). In contrast, in DWI-negative patients, the ABCD2 score added little: The 7-day stroke rate was <1% across the ABCD2 range.
COMMENT
For prediction of short-term stroke risk after a traditionally defined TIA, the clinical ABCD2 score and diffusionweighted imaging complement each other.
― Allan S. Brett, MD, Journal Watch General Medicine
Giles MF et al. Early stroke risk and ABCD2 score performance in tissue- vs time-defined TIA: A multicenter study. Neurology 2011 Sep 27; 77:1222.
ABCD2 scores range from 0 to 7: Age, >60 (1 point); systolic BP >140 or diastolic BP >90 (1 point); unilateral weakness with or without impaired speech (2 points) or speech disturbance without weakness (1 point); symptom duration, 10―59 minutes (1 point) or ≧60 minutes (2 points); diabetes (1 point).


9.無症状の肝性脳症を補足する血液マーカー?
【原題】A Blood Test for Subclinical Hepatic Encephalopathy?
Journal Watch Hospital Medicine日経メディカル2012年2月12日

In a pilot study of patients with cirrhosis, 3-nitro-tyrosine showed high accuracy in detecting or excluding MHE.
Minimal hepatic encephalopathy (MHE) ― present in as many as half of cirrhotic patients with no clinical symptoms of hepatic encephalopathy (HE) ― is associated with impaired quality of life and diminished ability to perform daily tasks. Diagnosis currently relies on the psychometric hepatic encephalopathy score (PHES), which is derived from a complex battery of tests. Now, investigators in Spain have conducted a pilot study to identify serum biomarkers for MHE.
Knowing that animal models of HE identified hyperammonemia, altered nitric oxide and cyclic guanosine monophosphate (cGMP) metabolism, and neuroinflammation as contributors to mild cognitive impairment, the researchers investigated the diagnostic value of cGMP, nitrites + nitrates, and 3-nitro-tyrosine. They measured these markers in 44 cirrhotic patients with PHESdetermined MHE, 43 without MHE, and 63 controls. The markers were also assessed in a validation cohort (44 cirrhotic patients without MHE and 18 with MHE).
Among the candidate markers, 3-nitrotyrosine demonstrated the best diagnostic accuracy, with an area under the curve value of 0.96 (95% confidence interval, 0.93― 0.99). The superiority of 3-nitro-tyrosine, used either alone or in combination with other markers, persisted in regression analysis. At a cutoff of 14 nM, the sensitivity, specificity, and positive and negative predictive values were 89%, 93%, 91%, and 91%, respectively, for the initial cohort and 94%, 83%, 70%, and 97% for the validation cohort.
COMMENT
These findings suggest that a single serum biomarker, 3-nitro-tyrosine, has good sensitivity and specificity in detecting MHE and, more important, a high negative predictive value. The results need to be validated in a larger sample and in different populations, but now we can hope that a simple test can diagnose MHE in clinical practice.
― Atif Zaman, MD, MPH, Journal Watch Gastroenterology
Montoliu C et al. 3-nitro-tyrosine as a peripheral biomarker of minimal hepatic encephalopathy in patients with liver cirrhosis. Am J Gastroenterol 2011 Sep; 106:1629.


10.経皮冠動脈インターベンション治療後の急性心筋梗塞:退院時心拍数と予後
CareNet2012年2月13日

経皮冠動脈インターベンション(PCI)を受け、薬物療法を施されているST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者において、退院時心拍数が死亡の重大な予測因子であることが明らかにされた。オランダ・ライデン大学メディカルセンター・M. Louisa Antoni氏らが、同患者1,453例を前向きに4年間追跡し退院時心拍数と死亡との関連を調べた結果で、梗塞サイズや心不全併存という因子で補正後も、退院時心拍数と死亡との関連は強固なままであることが示された。
退院時心拍数≧70bpm患者の心血管死亡リスクは、<70bpm患者の2倍超
冠動脈疾患患者における心拍数の予後予測因子としての価値は、主として左室機能障害患者で評価されており、安静時心拍数70bpm以上は2年間の長期転帰において強力な独立予測因子であることが明らかにされている。一方で、STEMI患者については、現在治療の主流となっているプライマリPCIを受けた患者集団を対象に心拍数と転帰との関連について1年以上追跡評価した報告はこれまでなかった。
Antoni氏らは、プライマリPCIを受け至適薬物療法を受けているSTEMI患者1,453例を対象に、退院前に安静時心拍数を測定し、全死因死亡および心血管死亡との関連を評価する4年間にわたる前向き追跡調査を行った。
おもな結果は以下のとおり。
●追跡期間の中央値は、40ヵ月であった。
●同期間中、全死亡は83例(6%)で、そのうち52例(4%)が心血管疾患死であった。
●梗塞サイズがより大きい、心不全併存という因子で補正後も、退院時心拍数は死亡の強力な予測因子であった。
●心拍数≧70bpm.の患者の心血管死亡リスクは、<70bpmであった患者と比較して、追跡1年時点(ハザード比:2.44)および4年時点(同:2.11)ともに2倍超であった。
●退院時心拍数が5 bpm.増すごとに、心血管死亡リスクは、追跡1年時点では29%上昇を、4年時点では24%上昇を示した。
[監修者のコメント]
本研究は、冠動脈インターベンションを施行したST上昇型急性心筋梗塞患者の退院時の心拍数がその後の独立した心血管死亡リスクとなることを示した。臨床的メッセージが明確な研究である。
現在のスタンダード治療が行われた急性心筋梗塞患者の2次予防においても、心拍数を70 bpm未満にコントロールしとくことが極めて重要であることを示している。
心血管イベントの既往の有無に関わらず、心拍数の増加は心血管リスクの増大につながる。一方、これまでの研究では、β遮断薬により心拍数を抑制することにより、予後がどの程度改善するかは、合併する疾患と年齢による。 心不全や冠動脈疾患など心疾患を有する患者や若年者では利益が大きいが、合併症のない高血圧患者や高齢者では他の降圧薬に比較して心血管イベントの抑制効果に劣る。
心拍数のみを低下させるイバブラジンを用いたBEAUTIFUL試験では、左室機能低下を伴う冠動脈疾患患者では、70 bpm以上の心拍数増加が2年間の長期予後の独立したリスク因子であった。
我が国においても、急性心筋梗塞患者に対するβ遮断薬の早期からの使用が浸透してきているが、まだまだ用量が十分でないことが多い。冠動脈疾患患者においては、心拍数70 bpm未満を目指した早期からのβ遮断薬使用により、予後が改善することが期待される。
([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
http://pmc.carenet.com/?pmid=21862462


11.急性心筋梗塞患者の右脚ブロック:そのリスクは左脚ブロックと同じか?
CareNet2012年2月13日

右脚ブロックを伴う急性心筋梗塞患者(AMI)は、その半数以上で梗塞責任動脈の完全閉塞が認められ、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)実施率も左脚ブロックを伴うAMI患者より高率であることが明らかにされた。チェコ共和国・カレル大学のPetr Widimsky氏らが、AMI患者約7,000例について調べた結果、報告したもので、「欧州心臓病学会(ESC)によるガイドラインをはじめ、米国心臓病学会(ACC)、米国心臓協会(AHA)において、現在は、右脚ブロックを伴うAMIは再灌流療法の適応症例としてリスト化されていないが、今後は、右脚ブロックを伴う場合も適応とすべきであろう」と結論している。
左脚ブロックの4割弱、右脚ブロックの5割強が梗塞責任動脈のTIMI血流分類0
研究グループは、2006~2008年にかけて8ヵ所の医療機関に入院したAMI患者6,742例について後ろ向き解析を行った。
被験者の基線特性、心電図パターン、冠動脈血管造影、心エコーのデータと、再灌流療法の実施、入院アウトカムとの関連を調べ、右脚ブロックを伴う場合と左脚ブロックを伴う場合とを比較した。
おもな結果は以下のとおり。
●右脚ブロックが認められたのは、被験者の6.3%であった。そのうち、右脚ブロックのみは2.8%、右脚ブロックと左脚前枝ブロックが認められたのは3.2%、右脚ブロックと左脚後枝ブロックが認められたのは0.3%であった。
●梗塞責任動脈のTIMI血流分類が0(完全閉塞)であったのは、左脚ブロックが認められた患者では39.4%だったのに対し、右脚ブロックの患者では51.7%と有意に高率であった(p=0.023)。
●プライマリPCIの実施率は、左脚ブロックの68.3%に対し、右脚ブロックでは80.1%と有意に高率であった(p<0.001)。
●院内死亡率は、左脚ブロックで13.1%、右脚ブロックで14.3%と同等であった(p=0.661)。
●PCI実施率は、新規発症または新規と考えられる右脚ブロック患者で最も高く84.8%であった。次いで、新規発症または新規と考えられる左脚ブロック患者が73.0%、陳旧性右脚ブロック患者で66.0%、陳旧性左脚ブロック患者で62.3%であった。
●院内死亡率も、新規発症または新規と考えられる右脚ブロック患者で最も高く18.8%であった。次いで、新規発症または新規と考えられる左脚ブロック患者が13.2%、陳旧性左脚ブロック患者で10.1%、陳旧性右脚ブロック患者で6.4%であった。
●被験者のうち左冠動脈主幹部急性閉塞は35例で、そのうち26%に、入院時心電図で右脚ブロック(ほとんどが左脚前枝ブロックを伴う)が認められた。
[監修者のコメント]
本研究により急性心筋梗塞患者において、右脚ブロックを伴う例では責任冠動脈の完全閉塞が多く、死亡リスクが最も高いことが明らかにされた。
これまでのガイドラインでは、左脚ブロックの合併例は、積極的な早期血行再建療法の適応とされてきたが、右脚ブロックについては言及されていなかった。
院内死亡率も新規の右脚ブロック患者で最も高く、新規左脚ブロック患者よりも約1.5倍である。
また、発現時期が極めて重要で、陳旧性右脚ブロックに比較して、新規の右脚ブロックでは院内死亡は約3倍となっている。 
右脚ブロック合併例では完全閉塞例が多かった。 また、左冠動脈主幹部による心筋梗塞の1/4にみられた右脚ブロックはそのほとんどが左脚前枝ブロックを伴っていた。 つまり、右脚ブロックや左脚ブロックの新規発生は急性心筋梗塞による虚血範囲が広範囲に及んでいることを意味する。
したがって、早期インターベンションが必要であり、実際に再灌流の成功後、ブロックが消失することが多い。
本研究より、左脚ブロックに加えて、新規発症の右脚ブロックを合併する急性冠症候群では、より積極的に早期からの結構再建が必要であることが伺える。
([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
http://pmc.carenet.com/?pmid=21890488

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